●52年前の京都の思い出
」という言葉が小学校の校歌の歌詞に入っていて、今でも年に一度くらいはその部分を思い出す。今月1日に円山公園の有名な枝垂れ桜の写真を載せたが、枝が大幅に減って残念な姿になっていると書いた。



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それに関係することが意外なところからわかった。一昨日、「衆幸」を思い出して『想い出のアルバム 1964』と金文字が捺される小学校の卒業アルバムを取り出した。中学校時代がとても楽しかったのに比べて小学生の頃はいい思い出ばかりではないが、卒業アルバムは小学校のものを数倍よく見る。とはいえ、7,8年に一度、しかも2,3分間だ。それが一昨日はしげしげと級友のひとりずつの顔写真を眺めた。女子は結婚して名字が変わっているのでネットで探しようがないが、男子はそうではない。小学6年生の時に目立っていた男子の名前を何人か検索すると、ひとりだけ開業医になっていることを確認した。その噂は同窓生の女性から10数年前に聞いていたが、あまり評判がよくなかった。診察を受けての感想で、また彼女は偏見の持ち主ではないので、いい感情を抱かなかったのはよほど何かが気に障ったのだろう。その話を聞いて筆者は笑ったが、それは彼の小学生の頃を思い出し、どのような大人になったかがおおよそわかるからだ。中学卒業以来彼に会っていないが、会いたいとは思わない。成績は中の上で、あまり目立った生徒ではなかった。卒業間近なある日、医者になりたいと筆者に言ったことを覚えている。医者がどんな職業よりも人生の成功者であることを証明するという自覚が芽生えたのだが、それは親が吹き込み、本人もそう思ったのだ。金持ちではなかったので、苦学したと思うが、開業医になって夢をかなえたのは立派だ。なぜ検索してすぐにわかったかと言えば、とても珍しい名前で日本におそらくひとりしかいないからだ。名前を言えば、筆者は京都に来てしばらくして名前の一字を雅号にいいと思って変えた。そのため、卒業アルバムに記載される名前で検索してもヒットせず、したがってどこでどう暮らしているか小中学校の同窓生の大半は知る手立てがない。となると、小中の同窓生の中に同じように名前を変えているのがいるかもしれない。筆者は小学生の頃から郵便が好きで、雑誌の懸賞などによく応募していた。中1の時に地元で多くの借家を持っていた地主の息子と多少仲よくなり、その家に何度か行ったことがある。兄が2,3人いて、そのうちの下の兄が雑誌に漫画を投稿するようなことをしていて、ペン・ネームを持っていた。その名前で郵便物が届くとも言われたことがとても印象に残った。それで筆者は30歳前に名前の一字を変えたが、それは正式な名前のままでは、天才的な仕事をするだろうが、発狂の相が出ていると、八卦見で言われたからだ。その八卦見はその他の細々としたことも実によく言い当てた。それで画数などあれこれ調べ、運が強いと言われる字数にするために一字を変えた。それと同時に天才的な才能は消え、発狂の相もなくなったのだろう。63まで目立たずに生きて来たことがそれを証明している。天才と発狂となれば、20代半ばで死ななければならない。それはさておき、卒業アルバムに写る同窓生たちの顔を見ていると、当時の彼らひとりひとりに対する思いが蘇る。1963年春の撮影で、筆者は12歳になる数か月前であった。11歳で級友たちの性質その他を見通していたが、他者に対する直観は子どもの頃に完成する。大人よりむしろ子どもの方がより正しく見透かす。何となく虫が好かないという思いは誰でも抱くが、大人になれば理屈でそれを訂正することが往々にしてある。子どもにも社会があって、嫌な相手でもそれをあまり顔に出さずに対応する場合がよくあるが、そんなことも含めて小学校の卒業アルバムを見ていると、そこに大人社会の縮図を感じる。最前列中央に担任と校長が収まる学級写真では、シャッターが切られた時のことをよく覚えている。前髪が邪魔になったのでさっとかき上げたのだが、そのために筆者の額の髪は乱雑になっている。それに、色白であるのはいいとして、いかにも神経質に見える。その顔を自分とは思わずに、ひとりの小学5年生男子として見たが、似た雰囲気の顔が学校にはない。家内はどう見るかと思って、虫眼鏡を与えたところ、筆者の顔はとてもかわいらしいと言う。お世辞だが、筆者が20代後半になって当時の担任に会いに行った時、同じように言われた。「大山くんはとてもかわいらしかったよ」。まさか。学級写真に収まる筆者は神経質の塊で、目つきも険しい。あるいは何かに怯えているようだ。実際当時の筆者はそうであった。あまりの生活苦がそうさせていたのだろう。
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 前髪が乱れた学級写真の自分の姿を見るのは嫌で、なぜもっと普通の雰囲気を醸し出せなかったのかと思う。卒業アルバムには遠足時や授業中の写真も載っている。アルバムはB5サイズで、学級写真以外はどれも小さい。筆者は近眼ではないので、よく見えるが、虫眼鏡を用いると細部を把握しやすい。そうして一昨日はしばし時間を忘れて楽しんだが、昭和38年(1963)春に京都に遠足に行った時の数枚の写真の1枚に「丸山公園」があることに気づいた。これは「円山公園」の間違いだが、それはいいとしてその写真の中心は枝垂れ桜だ。幅4.5センチのその写真をさきほどスキャンした。まだ比較的若い木のように見えるが、同じ場所に立って撮影したものと比べると、半世紀の間にどのように変わったかがわかる。この写真には筆者は写っていないが、今日の2枚目に載せる授業中の写真ではよく見える。先の学級写真と同じく、この写真が撮影された時のこともとても鮮明に思い出す。図画工作の時間で、机は班単位でくっつけられたのか、またある程度どこに座ってもよかったと思う。カメラマンが教室に入って来た時、筆者はそちらを向いた。そして、自分が確実に写真に収まることを知って喜び、心の中で少しポーズを作った。その思いが写真にそのまま表れている。そこに写る11歳の筆者の雰囲気は今とほとんど変わらない。この写真の面白い点はもうひとつある。背後の掲示板に遠足で出かけた京都の思い出の絵が何枚か貼られている。筆者の作品は左上だ。高精度でスキャンし、さらに歪みや縦横の比率を補正したのが今日の3枚目だ。これ以上は鮮明にはならないが、雰囲気はわかる。画像で確認出来る筆者の絵の最初のもので、それが平安神宮の鳥居と周辺の景色であるのが暗示的だ。この絵を筆者は長年持っていたが、母が小中学校時代に描いた筆者のすべての絵を何かの拍子に全部処分してしまった。しかもそれを覚えていないと言う。失われたのは20年ほど前だ。家の中にあまりに物が多く、どんどん捨てた際に紛れたのだろう。筆者が描いたのは平安神宮の鳥居だ。西から見ている。京都市美術館のバス停前からだ。鳥居の背後は京都国立近代美術館で、ふたつの美術館に挟まれた位置に筆者は遠足の際に立たず、歩きもしなかった。バスの車窓から眺めた景色からの想像図だ。鳥居を自動車が2台通過している。それに画面右奥は山だが、これは実際には見えない。東山は筆者の立ち位置の背後だ。だが、平安神宮を訪れた時、山が印象的であったのだろう。右下には杉の並木がある。杉のつもりでなく、樹木が多い様子を描きたかった。同じ場所に歩道と車道を隔てる並木はあって、それが珍しかった。暗示的というのは、図画工作の授業が好きであった筆者は結局回り道をして京都で暮らすようになり、美術館通いを今なお続け、しかも手技の仕事に携わっていることだ。とはいえ、ここ10年はすっかりその仕事から遠のいている。先日松本俊夫監督のついて少し書いた。彼は30歳から50歳の間が創作者の最も重要な時期と言っている。筆者はその年齢の間は創作に励んだつもりだが、50歳以降はほとんど創作に携わっていない。それを再開するとここ10年は失われた歳月となって、50歳の時点から再出発となるが、この10年の回り道はそれなりに益があったと思っている。またそうでも思わない限り、発奮出来ない。それにしても小学校の校歌に出て来る「礎」という言葉は全くそのとおりで、どのような大人になって行くかは小学生時代にもう大方は決まる。知能の程度や性格にしたがって人生は紡がれて行く。
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by uuuzen | 2015-04-24 23:40 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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