●○は○か、その21
怠を覚えることは虫にもあるのかと今日は思った。裏庭の白い牡丹が今日満開になったが、10いくつかの花が今年は咲いた。



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根元から50センチ離して赤い牡丹も植えていたが、白に圧倒され、毎年花をひとつしかつけず、半年ほど前に植木鉢に植え換えた。そしてもっと陽当たりのよい隣家の裏庭に持って行ったが、今日は3分咲きといったところだ。昨日と今日は合歓木などの高い枝を切り落とすなど庭作業に従事した。隣家の裏庭も含めて少しずつ樹勢を整えて来て、最近ようやく思いどおりの形に出来た。5,6年前になるのか、家内が藤の苗木をどこかからもらって来たのが庭の片隅にあるが、家内は「下がり藤」と言ってあまり縁起がよくないなどと言うので、筆者は毎年伸びて来る蔓や葉を切り落とすことを繰り返して来た。それでてっきりもう枯れてなくなったと思っていたが、昨日その付近の雑草を抜くなどしていると、1本の曲がった苗木状の細い木の先端に藤の幼葉の小さな塊が吹き出物のように覗いていることに気づいた。本来なら今頃花が咲いてもいいのに、かわいそうにその木はまともの葉を出すことも遮られて今までかろうじて生きて来た。それで周囲の草などを取り払って風通しをよくし、また光が当たるようにして今年は伸びるだけ伸ばしてやろうとしている。秋になって大きな鉢に植え替え、盆栽ではないが、その鉢にふさわしい大きさまでしか成長しないようにすれば、直植えと違って他の植物に絡む心配もなく、「下がり藤」の汚名を払拭するだろう。話を牡丹に戻すと、家内が言うには熊蜂が花の中心に留まり、黄色い花粉を散らして飛んで行くとのことだが、筆者が見たと時は小さな蜜蜂やそれよりもっと小さな、長さ8ミリほどのバッタがいた。今日は花粉まみれになって黄金虫が埋もれていた。心地よいベッドなのだろう。つまんで放り出すのはかわいそうで、そのままにしておいた。人間でも気持ちのよい晴天で、白い牡丹の中心は、適温に保たれた真新しい白いシーツにくるまれながら、甘い香りと食べ物に囲まれて、虫にとっては天国だ。いくら黄金を貯める虫とはいえ、今日ばかりは最高の場所で怠惰に過ごす。牡丹にとっても虫にやって来てもらわねばならず、花も虫も喜んでいるし、またその様子を見つめる筆者も嬉しい。だが、そんな幸福な時間はほんのわずかだ。1年の大部分を虫も花も地味に生きる。そうであるからなおさら今日のような天気は黄金虫は何をするのも嫌で、じっと牡丹の花の中心にうずくまっていたい。熊蜂がやって来ても絶対に場所は譲らないぞといった覚悟が感じられるほどだ。それに円を描く黄色い雄蕊の群れの一画を占めているだけで、もう2,3匹の同類がやって来てもまだ花粉まみれになれる場所の余裕はある。そのため、熊蜂がやって来たとしても、黄金虫を邪魔だと思いつつ、それを追い出さずに花芯をむさぼるだろう。同じような光景を一昨日、裏を流れる小川で見た。水が上がっていて、鴨が4,5羽藻を食べていた。ちょうどそこにセグロセキレイが飛来し、鴨のすぐ近くで同じように川底を突っつき始めたが、鴨は素知らぬ風であった。食べ物はいくらでもあるからか。食べ物で言えば熊蜂は牡丹の花が大好きなようで、今まで筆者は何度も牡丹の蕊にへばりつく熊蜂を見たことがある。彼らは牡丹の花が咲かない時はどこでそのようにしているのだろう。それに、どのようにして牡丹の花を探すのか。熊蜂にしか持っていない感覚があるのだろうが、人間にもそのような嗅覚は本当はあるはずで、あまり意識しなくても自然に求めるものに足が向くのではないか。そう言えば昨日と今日はあまりうまく鳴かない鶯が裏庭の近くで何時間も鳴き続けたが、その音があまりに大きく、またきれいなので、よほど気分がよかったに違いない。もちろんそれは清々しい春の風と光があるためで、その鳴き声で雌が近くにやって来てくれれば、これ以上の天国はないといった気分であったに違いない。
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 熊蜂で思い出した。ドローンという小型のヘリコプター状の模型飛行機が大きな話題になっている。「ドローン」は音楽用語として今までもっぱら使われて来た。昨夜はビートルズの『ラバー・ソウル』と『リヴォルヴァー』を続けて聴いたが、後者は最近よく思い出す。そのアルバムの中でも最後の曲「TOMMOROW NEVER KNOWS」はジョン・レノンがインドにかぶれて僧侶が唱えるお経の雰囲気を伴奏で表現したが、蜂がたくさん飛び回るような持続音がずっと流れる。それもドローンだ。カメラを搭載する模型の飛行機は、その羽根音が蜂の飛ぶ音に似るのでドローンと呼ばれるようになったそうだが、この大型の蜂は人間が操作するロボットで、自らの意志で午睡を花芯の中で貪ろうとはしない。もっぱらの役目は上空からの撮影で、カメラが軽量化したことで鳥ないし蜂の眼差しを得て、撮影も出来るようになった。それはそれで珍しい、また面白い写真が撮れるが、筆者はそこまでして撮影したいとは思わない。技術の進歩は○ではあるが、使い方にもよるし、それに○であっても関心のない人はある。今日の最初の写真は去年10月、御影の香雪美術館で蕭白展を見た後、同美術館の近くで撮ったが、円窓が遠いのが気になりながら、それはそれでよいと思った。一眼レフのズーム・レンズであれば間近で見るように大きく撮影出来るし、またドローンを飛ばせば接近撮影が可能だが、想像で補う能力が人間にはある。そして、想像している間が楽しいことはよくある。どんなところにも潜りこんで撮影する技術が進歩して来たのは、どのようなものでも見たい、あらゆる場所に視点を置きたいという人間の欲望があってのことで、ドローンの人気が急速に高まっているのは人間の本能の正直な発露だろう。だが、何事も切りがない。欲望とはそういうものだ。ドローンが一般化すると、今度はそれを上回る何かが求められる。遠くにいる人の声が聴きたいということで電話が登場し、今度はいつでもどこでも話せるように携帯電話が登場した。より近く、より速く、より便利にとの欲望は留まることがないから、リニア新幹線も走るようになるが、留まらない欲望はどこかで折り合いをつけた方が個人は気分がさっぱりする。これは欲望を捨てろということと同義かもしれないが、「過度のそれを」という但し書きをしておこう。そういう筆者はほとんど人が常識と考えている携帯電話を持たず、そのほかにも所有しない便利な道具を持っていないから、普通の人より欲望が少ないかと言えば、そうではないかもしれない。筆者の欲望は誰もが抱くようなものと同じではない。ほとんど誰も持たないものがほしい点で、欲望はきわめて大きいと言わねばならない。だが、その誰も持たないものは、誰からも羨ましがられるものではない。それに、筆者は現状でほとんど満足している。遠くに見えているものをもっと近くで見たいと思うのは人情で、それを否定しないが、近くで見て幻滅する場合があることを知っておいた方がよい。憧れている間が花だ。今日の2枚目の写真は、2年前の10月に京都芸術文化センターで東ドイツの映画『三人目』を見た後に撮ったその元小学校の校舎で、1枚目と同じように、「もっと近くに見えればいいのに」との思いを味わった。画像をトリミングする時に円窓が最大になるようにしたのは1枚目と同じで、その加工を済ました段階で、没にせずにいつか使うことがあるだろうと納得した。本当は○とは言えない写真だが、時機が来れば○としてブログに載せられると思っていることはよくある。1、2枚目のみでは写真が少ないので今日はもう1枚使うが、これは去年の春に道後温泉で撮ったもので、没にするつもりでそのままヤフー・ボックスに保存していた。ようやく今日使える気がしているが、これを撮った時の思いが蘇る。道後温泉のすぐ近くのレストランの前に、写真のような丸い穴を開けた石の板が立てられている。その1枚から向こうの1枚を覗きながら、この板が、そしてこの穴が何の役割をしているかよくわからなかった。そうでいながら、このカテゴリーに使うことが出来ると思って撮った。この写真の使い道がなさそうで没になるかと思っていたのは、この石の板の付近で撮った別の丸穴の写真を以前に使ったことがあるからだ。それが今日使う気になったのは、昨日一遍が道後温泉の近くで生まれたと書いたことを思い出し、また穴の向こうにまた穴が見えて、先に書いた限りない欲望のたとえになりそうだ。穴を通り抜けて欲望をかなえたと思っていると、さらに奥に新たな欲望が涌いて来る。だいたいはそのことに疲れた時が人生の寿命の尽きる時だが、欲望はかなえられないほどの大きなものに定めると、気楽かもしれない。どうせ無理とわかっていれば想像もしなくなる。だが、それでは面白くないから、かなえられた時の感動を想像しながら、それで満足することだ。それは幻滅することから免れられるし、常に山頂目指して登っている気分を保てる。黄金虫が牡丹の花芯の中で午睡しているのは、待ちに待った絶頂感の充足をしみじみ噛みしめることと、絶頂の後には倦怠に陥ることを知っているからだ。そして、その快適な寝床からごそごそと抜け出した後、その幸福感を来年の命にそれをつなぐ。ということは、3枚目の写真のように穴の向こうにまた穴が見えている、つまり欲望の向こうに欲望が待ちかまえていることは生の真理ということになるが、一匹の蜂もひとりの人間も永遠に生きることは出来ない。
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by uuuzen | 2015-04-23 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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