●がんもどき、それはロケの手法、続き
え玉を使って中ノ島橋の中央から下へと飛び込ませたのかと昨夜は思ったが、先ほど録画を確認すると、飛び込む瞬間が映らない。一瞬の出来事で、うまく編集しているが、飛び込んだのは人間ではなく、人間もどき、すなわち人形のようだ。



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というのは、水量が少なく、水深50センチほどだ。それに橋は高さ5メートルほどあって、骨折する。何度も見たが、上半身を下にして落下しているので、その姿勢であれば顔を打撲する。そのような危険を冒してまで撮影するはずがない。また、真っ暗であるから、人形でもわからない。撮影場所は中ノ島の五木茶屋の裏手で、川面に近いところに段差があって、そこはどうにか人が立てる。撮影のために借りたのだろう。そこから撮影すると、橋の右奥に街灯が見える。それを消すことは出来ない。それで映らないようにカメラの角度を決めたようだが、川面に反射する。その輝いている箇所にちょうど飛び込み、水しぶきが大きく上がるという場面だ。それはわずか2秒ほどか。中ノ島橋で撮影した場面は数カットで、全部合わせても10数秒だ。たったそれだけを撮影するために数十人のスタッフが現場にいたはずで、TVドラマの製作も思ったほど簡単ではない。中ノ島橋は丸太で出来ているように見えるが、橋脚は鉄筋コンクリートだ。そのため、夜の撮影にしか使えなかった。若い町人が数人の男に追いかけられる場面で、家の中から男は外に出るが、その次の場面が中ノ島橋の上だ。その家は太秦の撮影所だろうが、カットをうまくつないで家のすぐ外に橋があるように感じさせる。各場面をどういう角度でどう撮るかが予め決まっていて、それに見合う場所を探すのだろうが、撮影所のセットでは間に合わない場合はロケに頼る。だが、それには時間も費用もかかるから、なるべく遠くに行かなくてもいいように近場で撮影するのが得策だ。このドラマは江戸が舞台で、東京で全部撮影すればいいようなものだが、もはや東京には江戸時代そのままのような場所はどこにもないのだろう。多少あっても人が多くて支障を来しやすい。その点、京都はまだましだ。シリーズの第3回だったと思うが、近江八幡の有名な水郷が映った。そうそう、それに五百羅漢像で有名な彦根の天寧寺も二度使われた。その寺は昔、田中絹代主演の『西鶴一代女』でも使われたが、まだ床の石も五百羅漢像もそのまま残っていることがわかった。彦根と近江八幡は近いのでロケにはつごうがよかったが、京都では嵐山のほかにどこが使われたかと言えば、梅の宮神社や車折神社、それに松尾大社らしき場所も映った。つまり、時代劇を撮影するには京滋が便利ということだ。それでもかなり苦労しているようで、その点が痛々しさを感じさせるということだ。昭和30年代前半までならどうにか京都の罧原堤が東海道そっくりという状態で、カメラの位置にさほど苦心しなくても撮影出来たろうが、この半世紀で京都はすっかり変わった。それはさておき、去年11月1日の投稿に載せたロケの準備の様子の写真は、大きな石灯籠が桂川沿いの自転車道路の際に立っていて、凧上げの練習をスタッフがしていた。その場面はたぶんドラマの第1回目に使われたのだろう。それを見逃したが、再々放送が今年の年末にあるだろう。それもいいとして、その石灯籠は発泡スチロール製で、同じものが毎回ドラマで使われる。同じ大きさのものが2個並べて使われたこともあって、夜の場面であったので、火袋内部は灯りが点っていたが、それがどう見ても蝋燭ではなく、明るい電球で、スタッフが火袋の中に懐中電灯のようなものを置いた姿を想像してしまう。また、その灯籠はよほど監督のお気に入りのものなのか、かなり目立つ場面で使われる。それはそうと、その石もどき灯籠を去年見たので、今年になって筆者が石灯籠を裏庭にほしくなったのかと言えば、自分ではそうは思わないが、気づかないうちに影響を及ぼしたかもしれない。
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 それはそうと、今日は家内の母の27回忌に高槻に行って来たが、帰りはみんなで駅前で会食しようということになった。筆者の隣りに家内の上の上の姉が坐った。兄弟姉妹の最年長者だ。大きな屋敷に住んでいて、確か庭に石灯籠があった気がするので訊くと、阪神大震災の時に高さ2メートル以上の春日型つまり前述のロケで使われた発泡スチロール製の形をしたものが倒壊し、笠部分が塀を乗り越えて家の外に落下したらしい。誰も通行人がいなかったからよかったが、結局その石灯籠は処分したそうだ。その費用がかなりしたらしい。春日型は具合が悪いというので、今度は雪見型の低いものにしたが、それでも高さ1メートル以上あるそうで、ま、庭に合わせたのだろう。樋が全部銅製で、腐蝕して500円玉大の穴があちこち空いて来たので近年新しくしたそうだが、600万円ほどかかったというから驚く。雨樋ひとつでそれであれば、そのほかの修理も重なると、大きな家はとんでもなく金を食う。銘木をふんだんに使ったそうで、雨樋だけブリキ製というわけには行かないのだろう。つまり、「もどき」を混ぜると全体が安っぽくなる。時代劇も本当はそうだ。前述の発泡スチロール製の石灯籠はあまりデザインがよくない。本物の貫禄にはどうしても劣る。そういう「もどき」を使うと、ドラマ全体に影響して当然だろう。それでもわずか2,3秒の場面にとんでもない手間暇をかけていて、NHKはよほど金があると思うが、一流の俳優をたくさん使っているのではないから製作費は映画並みではないだろう。だが、低予算の映画もあるから一概に言えないか。さて、今日の写真は最初の2枚が昨日の2枚と同じ場所を撮っている。昨日は下流からの撮影だが、今日は上流側に立って下流を見ている。最初の写真は右手奥の左岸に嵯峨芸術大学の何とかホールという建物が見える。左手奥は「駅前の変化」のカテゴリーを意識して、護岸工事の様子を写し込んだ。この茶店のセットは簾で囲んでいるから、その隙間から対岸が見える可能性がある。それでスタッフが背後に青いビニール・シートをかざしている。これを撮っている時、若い男性が近くでケータイを使って撮影しようとしていた中年男性に注意した。「俳優の顔が写りますのでご遠慮ください」。それでも筆者は隙を見て撮った。写しては具合の悪い俳優の顔はうまい具合に写らなかった。昨日と同じく、1枚撮ったものをトリミングして2枚目に使うが、これがドラマのどういう場面で使われるかをその後待ち続けた。11月27日からであるから、3か月半かかった。先週金曜日の回の最後の場面でついにそれが現われた。その画面もまたわずか2、3秒で、他のカットを含めても10秒に満たない。それなのに、バスやタクシーなどが7,8台来ていたし、撮影するのに1時間では終わらなかったであろう。今日の3枚目はTV画面を撮ったものだが、驚いたのは富士山がコンピュータ・グラフィックで描かれていることだ。つまり、東海道の場面なのだ。それは罧原堤が専門であったのに、そこは最初の写真からわかるように、土手沿いに大きな建物が並んでいる。だが、監督は伝統というものを知っていて、それにこだわったのだろう。罧原堤が駄目ならその対岸はどうかとの発想だ。土手の下にカメラを据えると対岸の罧原堤の建物は写り込まない。3枚目の写真を見ながら筆者は思う。コンピュータで描いた富士山を嵌め込むのであれば、背景の青空全体を同じようにして作ればよかったのではないか。どうも全体が舞台のように見えてしまうが、それは土手と空以外は「もどき」であるからか。作品というものは「もどき」と無縁であることは出来ない。「もどき」は「嘘」と多少は重なっているが、人間は誰でも嘘をつくから、「もどき」には理解がある。それゆえに映画や小説は不滅だ。筆者は「もどき」が苦手で、このブログでも正直に自分の思いを書いているつもりだが、それが「もどき」と人から思われない保証はない。つまり、正直に書いていると思い込んでいる自分が「もどき」そのものであり、「もどき」を使いながら多大の労力と時間を費やしてわずか数秒の場面を得るドラマは「もどき」でありながら正直とも言える。ともかく、ロケ撮影とその放送を見比べる機会を得て、ドラマ作りの労苦を今さらに知った。中ノ島橋から飛び込んだのは人形のはずで、「風風の湯」に入って来る必要はなかった。うまい具合に「もどき」を使ったものだ。
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by uuuzen | 2015-03-09 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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