●健気な冬薔薇
し込む光の角度や強さが日ごとに違って感じられる。昨夜は大雨で、今日も降ったり止んだりしたが、雨の合間に強い光が裏庭に注ぎ、それでまたみかんを横ふたつに切って庭木に刺した。毎日そうしているが、2回の日もある。



d0053294_105826.jpg小川に近いグミの木に刺すと、ヒヨドリの番が陣取って目白な鶯を寄せつけない。それでも隙を狙って音を立てずに飛んで来て、ほんの少し食べただけで、ヒヨドリの大きな羽ばたき音に駆逐される。ヒヨドリにではなく、目白や鶯に与えたいのにと家内に言うと、同じ野鳥ではないかとのこと。それはそうだ。それにヒヨドリは図体が何倍も大きく、その分たくさん食べねばならない。それを目白や鶯が知っているのかどうかだが、たぶん知っているだろう。それで自分たちは遠慮気味に少しだけでよいと思っているのかもしれない。ヒヨドリの嘴は長くて鋭い。それでみかんを抉って、2,3袋を持ち去る。一気に飲み込めないから、合歓木に留まってゆっくり食べようとするが、口から放した瞬間、川に落ちてしまう。他の鳥はやって来ないはずで、みかんのところで食べればいいものを、やはり警戒しているのだろう。番であることは、二羽の形や色、文様が微妙に違うのでわかる。みかんは2か所にあるから、番でひとつずつ分け合えばいいが、たぶん雄だろう、それが見晴らしのよい場所に留まって周囲を見回している。その隙に雌がゆっくり食べる。その間も片方のみかんに目白がやって来るから、それを雄はいきりたって追い払う。雌にたくさん食わせるのは、雛を生む準備か。二羽とも別々のみかんを食べることもあるが、たいていは片方は監視役だ。また、番だけと思っていると、昨日は3羽いた。もうそうなれば、目白や鶯に当たる量はほとんどない。今月初め頃か、大きなみかんを同じようにして与えた時、翌日みかんの小袋がすっかりなくなった状態で地面に落ちていた。皮の内側もかなり突っついた様子があり、たぶん猫の仕業だろうと書いた。そのみかんの小袋はとても堅く、筆者でも飲み込めないほどであったからだ。ところが、最近わかったが、小袋を食べ尽くすのはヒヨドリだ。目白や鶯は小袋の中身と、そして皮の裏側の白い繊維を食べる。そこに栄養があることを知っているのだろう。皮まで齧られている場合もあるが、柔らかいうえに香りや栄養も強いからだろう。だが、何と言っても食べたいのは汁の多い小袋の中身で、それを目白は一口ごとに顔をあちこち向けながらついばむ。カメラで撮影するのは容易だが、食べている様子を音を立てずにじっと眺めているので満足だ。昨日は小川沿いではヒヨドリばかりが食べるので、もう2メートルほど手前の沈丁花とツツジの細い茎に刺した。筆者が半ば隠れて見る簾の陰から2メートルほどで、鳥の顔や姿はぐんと近くなる。そこまで近いとヒヨドリは警戒してやって来ないと考えたが、それは間違いで、筆者の姿を感じているはずなのに、どの鳥もせっせと食べにやって来る。人間がいるという恐怖に、食べたいという欲求が勝っている。もう庭の椿の蕾がなかり大きくなり、また2,3年前に植えた紅梅も開花しようとしているので、しばらくすると餌の虫にも困らなくなるが、今はまだみかんは大喜びだ。今日は雨が上がった頃を見計らって茎に刺し、簾の陰で待っていると、5分ほどで目白がやって来た。ヒヨドリに気づかれないうちに思う存分食べたようだが、それでも小袋にしてひとつかふたつだ。それにまた小雨が降って来て、濡れるのが嫌であったのだろう。椿の葉の下に飛び込んで、しばらくそのままでいた。その後筆者は3階へ上がり、2,30分してベランダから下を覗くと、予想どおり、またヒヨドリがふたつのみかんに覆い被さっていた。ま、仕方がない。みかんはまだたくさんあるので、もうしばらくは毎日与える。
d0053294_112131.jpg さて、今日の題名だが、9年前に『おにおにっ記』に投稿した「健気なもやし草」を思い出してつけた。今日は夕方に2週間ぶりだろうか、ムーギョとトモイチまで歩いて買い物に行った。運動不足になっていることを自覚しているが、最近とても忙しくしているうえ、家内が生協の宅配で食材を注文するようになったので、梅津まで出かける必要があまりない。今日出かけたのは、これを書く大机を照らす蛍光灯が昨夜から点滅し始めたからだ。それを買うついでに食材も仕入れに行った。早足で歩いたので、トモイチに着くと汗まみれで、顔からポタポタ汗が流れる様子を見てレジ係はいぶかしげに思ったかもしれない。松尾橋のデジタル気温計は5度を表示していて、まだ寒いはずなのに、よほどの早足であったのだろう。帰り道で気づいたが、松尾橋バス停のバスがターンする広場と四条通りの歩道との境にあった白スミレの葉が全部きれになかった。そして鉄柵にそれをむしり取って詰めたのか、ゴム袋がひとつ結わえてあった。交通局の係員が清掃したのか、あるいは市民か、別に邪魔にならない小さな花を全滅させるとはどういうことか。あるいは、まだ葉を出すには早く、また3,4月になると葉が伸び出て花を咲かせるのだろうか。筆者の記憶では真冬でもわずかに葉の痕跡といったものがあった。今日見た限りでは、根こそぎという感じで、もう生えて来ないのではないか。筆者の知る限り、そこにあった白スミレの群れは、市内で最も大きな集団であったはずで、いわば天然記念物ものだ。それを雑草と同じと考える神経がわからない。だが、去年の秋、筆者はそのスミレの葉を見ながら、ひょっとすれば市の係員がそっくり始末するかもしれないとふと感じ、スコップと袋持参で、わずかでも家に根ごと持ち帰ろうかと思った。そう思いながらそのまま橋に向かったが、それは移植はまず不可能と考えたからだ。わが家の裏庭は陽射しが悪い。そんな環境では枯れてしまうだろう。それに、庭にスミレを咲かせるという話を聞いたことがない。スミレは路傍が一番似合う。そうであるからこそ、その白スミレがもう見られないと思うとさびしい。だが、花でも人でも同じ運命だ。いつかは消える。そうであるからこそ、生きていることをありがたく思うべきだ。そうそう、その白スミレの咲く歩道から東へ50メートルほど行ったところで、2週間ほど前、トモイチからの買い物帰りか、赤い自転車に乗った女性を見かけた。彼女は筆者のことに気づかないが、こちらはすぐにわかった。家内と筆者に二度ずつ500円の商品券をくれた女性だ。もう顔を覚えた。自転車に乗っていたその姿は、白髪が少し目立ち、疲れているようであった。前籠にたくさんの荷物を詰め込み、筆者が気づいた途端、左すなわち北の路地へ入った。そこは筆者もよく利用する道だが、その日は買い物で真っ直ぐムーギョに向かうつもりであった。だが、彼女の姿が路地に消えた時、筆者は走り始めた。50メートルの差はどんどん広がる。彼女はゆっくりと運転して行くが、こっちは全速力で走る力もないし、またそのようにすれば彼女に気づかれる。そう、筆者は彼女がどこに住んでいるかを確かめたかったのだ。自転車を追いかけ、10年に一度程度しか歩かない道を進む。ところが3分ほど走ってついに姿を見失った。左手は小川で、右に折れるしかないが、その道が3,4本ある。そこで諦めた。だが、彼女が梅津に住んでいることは確かだ。筆者は道を戻らず、見失った位置から徒歩5分ほどの従姉の家に向かった。その途中、先に見かけた赤い新しい自転車が玄関口に停められている家の前を通った。同じような自転車はどこにでもあるだろうが、50パーセントほどの確率で、その家が彼女の住まいであることを確信した。となれば、次はそこから出入りする姿を見るだけだが、彼女の家がわかったからといって、どうかしようというのではない。ただ不思議な出会いであるから、彼女がどういうところに住んでいるかくらいは知っておきたいと思ったのだ。話を花に戻す。今日は梅津からの帰り、わが家の近くまで来るとすっかり暗くなっていた。そのためもあって気づかなかったが、今日の2枚の写真の小さな赤い薔薇がどうなっているかを確認しなかった。最初の写真はたぶん去年末頃で、2枚目は10日ほど前だ。とても陽当たりのよい道路際の小さな植え込みで、この薔薇は秋から冬を越え、ずっと同じように咲いたままで、造花としか思えないが、そうではない。なぜ花びらが落ちないのだろう。強い雨風に負けず、宮沢賢治のように健気だ。筆者が思うに、「健気なもやし草」とは正反対で、陽射しが終日当たるためだ。そういう庭がほしいが、人間は鳥と違って好きなところへ飛んでは行けず、たいていは小さな土地に縛られまま一生を終える。この薔薇の咲く庭を持つ人も同じだが、健気に健気な薔薇を咲かせ、また筆者の目にも入り、意味のある人生ではないか。
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by uuuzen | 2015-02-18 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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