●薔薇の肖像、その10
子定規に決め過ぎではないかと滞日が2、30年にわたる外国人が京都の高級旅館について苦言を呈していたのを1か月ほど前にブログで読んだ。それに対して読者の反応は、筆者が見た限りにおいてすべてその外国人の考えを否定していた。



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昨日は嵐山の高級料理旅館について少し触れたが、今春開業する外資系のホテルでも、他の日本のホテルや旅館と同じように決まりを設けるだろう。前述の外国人の苦言は、チェックインの時間より1,2時間早く旅館に着いたところ、部屋に入れてもらえなかったというものだ。すでに部屋は整えられているはずなのに、そこに時間が来るまで予約客を入れないという考えがわからないというのだ。つまり融通が利かないことに対して、もう少しもてなしの考えを持つべきではないかとの意見で、筆者はなるほどそういう考えもあるなと思ったので、その画面の下に投稿されている読者の嘲笑交じりの反論には多少意外であった。読者は旅館にもつごうがあるから、客が無茶を言うのは横柄だという考えで、それはそれでもっともという気もするが、外国人はそのことを百も承知のうえで意見している。1泊10万近い老舗旅館であるから、客に最高の思い出を提供するのが店としても当然の営業姿勢であるはずで、それを杓子定規に時間が来るまで待てというのは客の立場になっていないと思われても仕方ないのではないか。ま、筆者ならそんな旅館には最初から泊まらない。開高健が書いていたが、彼は客を選ぶような店には行かなかった。客を神様と思っていないような店は高が知れているという考えだろう。簡単に言えば、「偉そうにして何様だ」という思いが湧く。前述の老舗旅館も同じことだ。先の外国人が書いていた旅館が数年前に雑誌『家庭画報』に紹介されたことがある。一生に一度は泊まってみたいと思わせる企画で、旅館は喜んで取材を受けたのだろう。筆者が目に留めたのは、1ページ大に若冲の著色画の鶏図が印刷されていたことだ。その旅館にすれば、数千万円はするそういう絵も持っていますという宣伝のつもりだ。だが、その絵は真っ赤な贋作で、少し若冲のことを知っている人ならそのことはわかる。だが、悲しいことにその旅館にはそういう審美眼のある人がいないらしい。そのことだけでも筆者はその旅館の底が知れると思う。去年、TVにその旅館の女将が登場し、その姿や話しぶりを見た家内は雰囲気の悪い女性だと後で言ってくれた。筆者は贋若冲画のことを思い出し、家内の率直な意見はなるほどと思った。そこでまた最初に書いた外国人の意見を思うと、彼は欧州からやって来た友人たちに京都情緒を味わせるためにその老舗旅館を予約したが、それは看板だけを信じてのことで、間違った行為であったということだ。わざわざ高い料金を支払って嫌な思いをさせられるというのは、客のわがままではなく、やはりもてなしの心を理解していない旅館側の責任だ。物事には融通ということがある。それを臨機応変に出来る店が本物であり、客をなめているような名ばかりのところには踏み入れないことだ。いかに老舗とはいえ、客がひとりも来なければすぐに潰れる。だいたい京都は客をなめた店が多いのに、他府県からやって来る田舎者(東京であっても京都から見れば歴史的にはド田舎だ)は京都というだけで何もかもありがたがる。それこそ田舎者の証拠で、京都の老舗はますます増長する。
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 今日はまたいきなり辛辣なことを書いたが、それには理由がある。今日は家内の病院行きで、毎回筆者は自転車を連ねて一緒に行くことにしているが、先に出て京都市芸大の図書館に行った。もちろんネットで開館しているかどうかを確認した。去年の春に自転車で行ったところ、上り坂が長く続き、自転車を押して歩いた距離がかなりあった。それで病院の駐輪場に停め、そこから歩くことにした。地図で目測すると、わが家からムーギョまでの1・5倍ほどだ。それに上り坂であるから労力は1・5倍では済まないかもしれないが、帰りは下り坂で楽であるから、結局労力は距離に正比例か。ま、そんなことを考えながら病院の門の脇の赤いポストから歩数を数えて歩き出し、ちょうど2000歩のところで立ち止まって振り返ると、ちょっとした山のてっぺんにいるような眺めであった。国道9号線沿いは植え込みもなく、かなり殺風景で、歩いている人はほとんど見かけない。芸大に通じる上り坂と9号線の交点に着いた時、ちょうど4000歩であった。ほぼ地図で予測したとおりだ。そこから図書館まで300歩ほどか。それは数えていないが、とにかく図書館に入って扉を開けると改札口があって、それが閉じられているので2メートルほど先にいる女性に調べものに来たと告げると、改札を開けてくれた。ところが入ってすぐ、今日は休館日で中に入ってもらうことも禁じられていると言う。筆者はホームページを見て開館を確認したと言うと、パソコンで早速その画面を出して筆者の方に向ける。そこで筆者は粘ればよかったが、証拠を突きつけられた気になって、出直すことにした。ところが、病院で家内と落ち合い、検査と診療を済まして帰宅してもう一度ホームページを確認した。すると、開館カレンダーでは今日は午後8時まで開いていると記されている。日にちが色分けされていて、開館かどうか、また閉館時間まで一目瞭然だ。どの図書館でもこの開館カレンダーは最初の画面の上部にある。それを見て開館とあれば訪れる。それが行ったところ中には入れませんとはどういうことか。筆者はそそっかしい方なので、今朝はその開館カレンダーを確認し、そして画面中央の赤い文字で記された「重要なお知らせ」を見逃さないようにし、そこから導かれる別画面をも見た。すると、本を見ることだけは出来ると知ったので出かけることにした。午後8時までに時間があったので、早速電話した。抗議の電話だ。筆者が応対した同じ女性かどうか知らないが、とにかくホームページの最も目立つカレンダーに今日は午後8時まで開館とあるのに、なぜ門前払いされたのかと詰め寄った。すると彼女は同じ画面の一番下に「学外の方のご利用はご遠慮下さい」とあると返した。それは小さな文字でしかも画面を下までスクロールする必要がある。筆者がそそっかしいのでそこまで確認しなかったことが悪いと言われそうだが、その小さな文字はカレンダーに反映させるべきだろう。そこで思ったのは、その画面のデザインのまずさだ。有名な京都市芸の図書館であるからには、もっとセンスよく、わかりやすく作ってほしいものだ。家内にそれを言うと、先生たちではなく、芸術性のない事務方が画面を作っているからそのようになると返した。確かにそうだろうが、ホームページは顔だ。しかも芸大となれば誰しも芸術性を期待する。それがわかりにくい表示で、しかも司書の応対がまずい。筆者が見たかった本は近畿では大阪府立図書館の中之島ではない、荒本の本館にしかない。底まで行くのは1日がかりだ。それにその本をわずか1分ほど見るだけでよいし、また筆者の立ち位置からおそらく2,3メートルのところの棚に収められている。どうせ中に入ったのであるし、また目的の書名も告げたのであるから、司書が少し融通を利かせてくれれば、すぐにその本を手に取り、ぱらぱらとめくって2,3分後には筆者は笑顔でまた4000歩を歩いて病院に向かった。それなのに、その女性は全くの杓子定規だ。それで帰宅後に抗議の電話を入れた。「もっとわかりやすい画面にしてください」と言うと、謝ってもらえたのでどうにか腹の虫は収まった。その本はネットの「日本の古本屋」では1冊のみ在庫があり、8000円だ。それをけちったために往復8000歩が無駄になった。そう思ってはまた腹立たしいので、いい運動になったと思うことにする。
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 さて、病院に行くと、家内の番はなかなかのようだ。待つ間、筆者はソファで居眠りした。早足で8000歩、正確にはたぶん9000歩ほどを歩いたからだ。家内の番は午後5時少し前で、最後であった。家内は3時間半待った計算だが、いつも書くように、診察はまず5分はかからない。今日は診察の前にCTも撮ったが、手術後の画像と比較すると、右肺の腫瘍は全く小さくなっていない。それどころか、肝臓のいろんな数値が悪くなっている。薬の副作用だ。つまり、超高価は薬を服用し続けて治癒せずに別の臓器が悪化した。担当医はしばらく服用をやめて肝臓の機能が元に戻るのを待ちましょうと言った。3か月後の4月10日にレントゲンを撮って腫瘍の肥大があるかどうかを調べ、あればまた薬を飲み続けることになる。月5万の薬代をけちるわけではないが、全く効果がないどころか、肝臓を悪化させるのであればその薬は毒と同じだ。家内は猛列に甘い、変な味のその薬を4月まで飲まなくてよくなったことにとても喜んでいるが、腫瘍は消えたのではない。手術をした左肺の画像を見ると、手術で完治はしていないらしく、また腫瘍が大きくなって行く可能性が大きい。病院のHOSPITALはもてなしのHOSPITALITYと通じている。なるほど看護婦は病人にとっては天使のように見えることがあるが、もてなしは無料ということはあり得ない。老舗旅館と同じで、しかるべき代金を支払ってこそだ。だが、群馬の腹腔鏡手術による死亡率は他府県の倍と報告されたように、病院で殺されることもある。図書館まで往復8000歩の無駄をしたことが、家内のここ2か月の薬の服用とだぶる。薬を飲まねば腫瘍は拡大する一方ですよと医師から言われたが、今後3か月服用を休止して腫瘍がどれほど大きくなるかだ。4月10日は桜が満開だろう。それを楽しみにしながらまた家内と病院を訪れる。芸大図書館に向かう前、門を入って右手奥にある植え込みの薔薇を遠目にちらりと確認しながら、芸大から戻った時に近寄って撮影しようと思った。4000歩を数えた時、門の前に立ち、そこで歩数を数えるのを止めてその植え込みまで走った。予想どおり、濃い臙脂色の薔薇の花はみな冬特有の開花しない塊になって下を向いていた。筆者がしゃがんでもよかったが、花は逆光で暗くなる。それで最も大きそうな花の茎を持って筆者に向けて撮影した。この薔薇は入院時の「その7」にも撮影し、写真を載せた。それと今日のを比べると、同じ花でも秋と冬では開花状態に大きな差があることがわかる。だが筆者は冬の重そうな塊状も好きだ。今日の最初の3枚の、4種を1枚にまとめた薔薇の大半は、「その9」に書いたように万博公園のみんぱく前の薔薇園で撮った。1枚目の左下のみは病院の帰り、近くの民家に咲いていたもので、背丈がかなりあって手が届かず、真正面から撮影出来なかった。また「その9」の最初の写真の左上は、今日撮影した4枚目と同じ場所に咲くもので、これも入院時に撮った。二度と家内が入院や手術しないことを願うが、それにはよけいなストレスを感じないに限るし、またそれには筆者が何事も杓子定規に考えず、楽天的であることだ。
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by uuuzen | 2015-01-16 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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