●飛び出しボーヤ、その21
木市で知っているのはごくわずかな地域で、阪急茨木市駅からJR茨木、そしてその前から西に延びるエキスポ・ロードくらいなもので、その脇道に入ったことがない。富士正晴が安威という地域に住んでいた。そこはエキスポ・ロードから北に数キロほどだ。



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歩けない距離ではないが、富士の家はもうないはずで、行っても仕方がない。富士が執筆した部屋ないし小屋は市立図書館に移設されているが、そこは安威ほど遠くはないが、阪急、JRどちらの駅からも北に2キロほどあったと思う。そのため、気になりながらまだ訪れていない。富士の本を読んでいると、住まいからの眺めについて書かれた下りがある。それを読むと一度はその住居付近を歩いてみたいが、そのためには半日は潰れる。また足の便が悪く、方向音痴の筆者はきっと迷う。それに家内は絶対について来ないから、ひとりで出かける必要があって、迷ったまま山に入り込んで餓死するかもしれない。茨木市内にはもうそんな深い山はないはずだが、富士が住んでいた地域は、今はどうか知らないが、かなり田舎だ。そのために富士は仙人と呼ばれたりした。茨木市に土地勘が全くないので、もうひとつ気になっていながら、今後も訪れることのない場所がある。安藤忠雄が若い頃に設計した小さな教会だ。祭壇正面に十字架の隙間があって、そこから光が入る。その建物のある場所はエキスポ・ロードから北に少し入ったところのようで、その気になれば万博公園に出かけたついでに寄ることが出来る。ところが、万博公園の内部はとても広いため、バス停から下りて民族学博物館(みんぱく)を往復すれば、もうそれだけで1日の労力を使い果たした気になる。年齢のせいもあるだろう。そう言いながら、筆者は3、4回は万博公園から阪急茨木市駅まで歩いた。往復とも歩くのはしんどいので、帰りだけ歩く。距離にして4キロほどか。1時間程度なら散歩にちょうどよい。今日は1年ぶりにその道を歩いた。家内を誘ったが、万博公園はさびしいところで、行く気になれないと言う。それでひとりで行き、帰りは歩くことにした。それには理由があった。今日の投稿のテーマのためだ。先に書いておくと、去年歩いた時に「飛び出しボーヤ」を撮影したのはいいが、1,2点撮影し忘れたことにその後気づいた。どうして気づいたかと言えば、その後また民族学博物館に行った際、バスの中から発見したのだ。それでその撮り忘れたものを撮影してからまとめて投稿しようと考えた。つまり、今日の投稿は1年前から気になっていた。ようやく今日思いを果たすことが出来るが、詳しくは後述する。万博公園からは去年と全く同じ道筋を辿った。JR茨木駅を過ぎると阪急の駅に向かって繁華な道が真っ直ぐ続き、歩くのは苦にならない。途中で茨木市役所の前を通り、そして細い川をわたると左に「茨木心斎橋」という細くて短い商店街がある。必ずその中を通り、突き当りを右に折れる。そこはもっと広い駅前商店街で、駅近くに1軒の大きなスーパーがあって、これも必ずそこに入って買い物をして帰る。毎回同じ道をほとんど同じ歩数で歩いているはずだ。もうその道を歩くことは習慣になったとは言えないが、それなりに慣れた道であるから楽しい。ただ歩くだけで何が楽しいかと思われそうだが、天気がよく、しかもエキスポ・ロードの銀杏並木は黄葉の真っ盛りだ。その落ち葉を踏みながら、そして車道沿いに東に浮かぶ夕焼け雲を見ながら進むのは気分がよい。
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 バス代は220円で、10分も待てばやって来る。今日は筆者が駅に着くまで5台が追い抜いて行った。どのバスも超がつくほど満員であった。エキスポランド横にあるサッカー場で試合があり、それが終わって観客が一斉に帰途に着いたからだ。徒歩で駅まで向かう客もたくさんいた。200人はいたのではないか。それに「みんぱく」を4時半頃に出た後、前方からぞろぞろと人がこっちに向かって来るので、一瞬中国人観光客が今頃から万博公園に何の用があるのかと思ったが、すぐに彼らがサッカーを見に来ていた人たちであることがわかった。駐車場に向かっているのか、それとも西口を出て家路に着くのだろう。万博公園の西は住宅が多く、そこから万博公園内を横切ってサッカー場に徒歩で往復するファンも少なくないだろう。今日はそういうサッカー・ファンに混じってぞろぞろとJR駅前まで歩いたので、いつものような孤独は感じなかった。彼らがJRの駅からサッカー場まで往復歩くのは若いからだろうか。筆者のように万博公園から駅まで歩くのはよほど変人と思っていたのに、案外普通のことのようだ。サッカー場からJRの駅までなら3キロもないかもしれず、それくらいならバスを待っているより歩いた方が早いこともある。JR駅から阪急の駅まではいわば茨木市の最も繁華な道で、エキスポ・ロードとは随分雰囲気が違い、店がずっと道沿いに張りついている。その店の前を歩くのは全く苦にならない。つまり、万博公園からJR駅までは銀杏並木が続く住宅が多い地域で、次にがらりと雰囲気が変わって商店街となる。この変化があるので、4キロの道のりが遠いと感じずに踏破出来る。さて、バスの中からエキスポ・ロード沿いに「飛び出しボーヤ」があることに気づいた。今日のシリーズを始めてからのことだ。それまでにも見ているはずなのに、気に留めない。何事もそうだ。興味を抱いて初めて目に焼きつく。バスの中からでもその「飛び出しボーヤ」は茨木市のみのデザインであることがわかった。それで次に「みんぱく」に行く時には、その帰りに撮影しようと考えた。そうして撮ったのが去年で、正確な日はわからないが、写真に黄葉した銀杏が写っているので今頃だ。去年歩いた時は、実が地面に落下して雲古の臭気を発散していた。それを今日はほとんど感じなかったので、去年よりも少し遅いかもしれない。エキスポ・ロードに入ってすぐ、青空に半月がくっきり浮かんでいて、黄葉の銀杏の木とともに写そうと何度もカメラをかまえながら、一度もシャッターを押さなかった。満月とは違うことと、それらの銀杏の写真は以前に撮ってブログに載せたからだ。それは2年前のことで、今調べると11月27日だ。となると、今日は2日遅い。2年前は2回に分けてエキスポ・ロードの銀杏並木の写真を載せた。話が脱線するが、とても驚いたのは万博公園を出て、バス停前から15分ほど歩いたところに右手にある大きな池の前に来た時、前方すなわち東に見える夕日を浴びた雲が去年と全く同じで、分厚く垂れ込めて壮大な山脈が彼方にあるように見えたことだ。「今年の紅葉、エキスポ・ロード、その2」に載せた最後の写真を見てほしい。それと全く同じ光景が今日は目の前にあった。今頃の季節はそういう雲が発生しやすいのかもしれない。それにしても2年ぶり、しかも同じ時間帯に歩いて風景まで全く同じに見えた。この2年がまるでなかったかのように思えた。それは1年ぶりに同じように元気に歩いている自分を確認したからでもある。これが歩くのが億劫になっていると、1年経って確実に老いたことを知る。今日はそうではなかったが、来年もまた同じ頃に同じように歩くのかと思う一方、それがいつまで続くかと想像すると、何となく怖く、また今この瞬間に銀杏のきれいな葉や西方の見事な夕焼けを味わえていることが人生の頂点といった気分にもなれた。それは永遠と言い代えてもよい。格別美しい道でもないのに永遠とはおおげさなだが、ごく普通の日にふとそういう思いになるものだ。山脈のようなピンク色と青灰色の厚い雲は、エキスポ・ロードの終点近くに来るとすっかり消え去っていた。それがまた不思議で、なおさら絶好の時間に歩いたことを思った。
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 今日のエキスポ・ロードを歩く目的は前回撮り忘れた「飛び出しボーヤ」の看板を撮影することで、その次に駅前商店街で買い物をすることだ。最初に歩いた時はそれが目的ではなかった。「おにおにっ記」に書いたように、前述の大きな池に菱が自生しているのをバスの中から見かけ、それを間近で撮影するためであった。その写真は「おにおにっ記」に載せたか、それともこのカテゴリーか忘れた。ともかく菱が繁茂している池を見つけたことが最初の歩きだ。筆者の興味は菱からほかのものに移って来たことになるが、菱をすっかり忘れたのではない。関心事は増える一方だ。そして「飛び出しボーヤ」に関してはもうさほど興味を持っていない。新しいものにあまり出会わなくなったからだ。それでもう数回でこの題名は使わなくなる可能性が大きい。それはさておき、今日この題名で投稿するのはひとつには毎月下旬に一回投稿していることと、もうひとつは昨日の続きだ。昨日の最後に店の看板として作り変えられた「飛び出しボーヤ」の写真を載せた。それは「0型」で、今日もその型の写真を載せるべきだが、昨日の紅葉とのつながりを重視する。それで今日は去年の秋に撮り忘れた「飛び出しボーヤ」を撮影したが、どれが撮り忘れたものか覚えておらず、見かけたものを全部撮ることにした。数点なので手間はかからない。筆者が「飛び出しボーヤ」を見かけて立ち止まり、写真を撮っているたびに、後方からサッカーの観客が何人も筆者を追い抜いて行った。そんな人の足元も一緒に収まってしまったが、その写真は今日は載せない。というのは、帰宅して写真を確認すると、今日撮ったもので去年撮ったものと同じものは1点だけであった。また去年あったのに今日はないものがある。消耗品なのでそういうことがあって不思議でない。あるいは筆者が見落としたかもしれない。ともかく、去年と今日で1回の投稿では載せられない分を得た。それで今日は去年の今頃に撮ったものを1,2,3枚目に載せ、4枚目は今日撮ったものとする。ただし、3,4枚目は同じ場所に設置される同じものだ。ただし、よく見ると角度が90度違う。去年のものは走る車からよく見えるようになっているのに、今日のは歩行者がよく見えて車道からは裏しか見えない。裏は真っ白であるから、運転手には「飛び出しボーヤ」であることがわかりにくい。おそらく道路とは直角になるように設置すると、車はさておき、車道を走る自転車とぶつかる可能性がとても大きい。自転車は車道の端を走ることになった。その端とは場合によっては30センチもない。それでは車道出っ張っている「飛び出しボーヤ」に衝突しかねない。そういう危険があったために、4枚目のように道と平行に立てられるようになったのではないか。ともかく、「飛び出しボーヤ」が邪魔者扱いされている。エキスポ・ロード沿いに小学校や保育園がある割りに「飛び出しボーヤ」が少ないが、これは大通りに飛び出す子どもはほとんどいないからだろう。脇道に一歩入るとたくさん見かけるかもしれない。とはいえ、そこまでして撮影したいとは思わない。たまたま見かけたというのがよい。
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by uuuzen | 2014-11-29 23:59 | ●新・嵐山だより | Comments(0)


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