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●○は○か、その12
を踏むのではなく、轍を作る。こういう文句をポスターに印刷している市会議員がいる。新しいことを誰よりも先にやるという意気込みだが、議員はこういう殺し文句のような言葉を常に掲げておく必要があるのだろうが、議員に限らず、自己主張の謳い文句は得てして本人の本質とは正反対であるものだ。



●○は○か、その12_d0053294_028220.jpg「ゆうゆうゆうぜん」を唱えている筆者も実際は悠然にはほど遠い暮らし向きと傍からは見えているだろう。そうそう、「膏薬の辻子」を綾小路に抜け出た正面に「幽遊館」か「悠遊館」かどちらか忘れたが、目立つ看板の店があった。それはさておき、今日は毎月21日に投稿している「○は○か」という、半ばシリーズ化した内容を書く日で、「祇園祭の大船鉾を見に行く、その3」は明日に回す。とはいえ、何らかの関連はあった方がいいので、今日は京都市内で撮った写真を使う。まず最初は19日に撮った大船鉾の車輪だ。これが4個束ねられて新町通りの東側に置かれていた。鉾の組み立てが始まったのがどうやらその日からで、筆者が訪れた午後3時頃はまだ完成していなかった。車輪の手前には割った竹がたくさん見える。これは四条河原町などの四辻を回る時に車輪の下に敷く。あたりまえだが、そういう消耗品も鉾を所有する地域の人たちが賄うはずで、祇園祭は多額の費用が必要だ。大船鉾は復元に6000万円かかったというが、これは胴懸けなどが燃えなかったからで、丸ごと消失していればその倍の費用でも足りなかったのではないか。それはともかく、大船鉾の車輪は真新しく、また地面に接する部分も減りがないが、コンクリートの道路では轍がつかないとしても車輪の減り具合は地道以上だろう。山鉾の轍が見えればそれはそれで風情があって、蕪村が発句にしていそうだが、今は山鉾が通り過ぎても跡形が残らない。とはいえ、道路を管理する方としてはそれは喜ばしく、祇園祭で道路が傷ついたとなれば、車輪はタイヤにしろという意見を議員が出すかもしれない。そうなればなったでまた面白いかもしれない。引き手の学生アルバイト代がもったいないということで、次にエンジンを搭載する。そしてそれを運転するのが稚児さんだ。当然未熟であるから、先方の鉾に追突する。すると鉾同士で喧嘩が始まる。山鉾の格闘技だ。前後の祭りで2回戦とし、引き分けの場合は決勝戦でもう一度開催する。するとこれが祇園喧嘩祭と称されて全国のみならず世界的に有名になり、毎年7月には数百万の人が京都市に押し寄せ、あちこちで喧嘩が起こる。そうして溜まったエネルギーを発散させるのは祭り本来の目的にかなう。その一方でせっかくの山鉾が毎年壊れる箇所があってその修理代が大変という意見が出るが、何せ数百万人が見るから、彼らが落として行く金は莫大だ。それで充分に壊れた山鉾の修理は賄える。それどころか、今まで祇園祭とは関係が」なかった町内までもが参加しようと議員に賄賂を贈る。議員は議員で「轍を踏むのではなく、作るのだ」と威勢がいいので、京都市内中に山鉾が新しく出来る。どの町も喧嘩祭に熱を上げ、しまいに怪我人が続出し、山鉾にエアバッグを取りつけるようになる。そしてついにはいっそのこと、山鉾全体を空気で膨らませるビニール製にすれがどうかの意見が出て、それがすんなり議会で認められる。そうなれば数百店の屋台にはその小型の玩具を売るものも出て来るし、それを自国へ持って帰り、それを巨大にした本家京都の山鉾を真似たものを造る人が出て来る。そうなると、水が引くように外国人観光客は祇園喧嘩祭に来なくなる。自分の国で同じことが簡単に出来るからだ。そういうことを予期して、今の京都市は相変わらず古いままの山鉾を使い、また復元している。これは轍を踏むことであって、京都は轍を作ることはしない。
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 2枚目の写真は19日に四条大宮交差点の南西角で撮った。初めて見たもので、最近設置されたのではないだろうか。漢字が多く、外国人観光客にはあまり役に立たない。中央部にガムがこびりついているのはわざと誰かがしたものか。そうではないと思うが、この調子では数年先には全面がガムで覆われる。そうなるとなったでまた面白い。「お父さん、これ何でガムだらけになってるの」「それはな、前はもっときれいやったけど、漢字が多い道標で外国人観光客に不評やったらしいんや。今はネットでいっぺんに悪評が広がるからな。それで最初は真ん中あたりに一か所だけガムがこびりついていたんやけど、何でも増え始めると急激やからな。あっと言う間にガムでいっぱいになってしもた。それを見た地元の人がたまに掃除するんやけど、追いつけへんのや。それでもう諦めてそのままにしていることが多いんや。せっかくお金かけて地面に埋め込んだのに、ガムで被せてしまうのはどうかと思うな」「そんならぼくが今ガムを剥がしてもいいか」「そんなことしやんとき。すぐにまたガムだらけになるから」「それでも京都の恥やんか」「恥はガムを吐き捨てる人やな」「せやけどこのままにしてたら歩く人の靴底がベタベタして気持ち悪いやろ」「もうみんな知ってるから、よほどのことでないとそこを踏めへん」「そやかけ、踏む人もあるやろ」「轍を踏むのは格好悪いことで、轍は作るもんやという議員がいるから、めったなことには踏む人はないな」「このややこしい交差点で方角や道を知りたい人は多いと思うけど、道標は必要やし、どうにか字が見えるようにガムを剥がした方がええと思うけど、ガムだらけにされるんやったら、いっそのことガムで文字を書いたらええんとちゃう」「それもおもろいな。またネットでいっぺんに有名になるかもな」「ねっとりガム 吐き捨てられて 役に立ち」「ガム吐いて 掃除怠り 塚となり」「教えてよ 味なきガムの 吐き場所を」「ガム示す 今立つ位置の 不正確」「ガム吐くな 掃く人の顔 寒し山」「ガム拾う 得する人は 拾得や」「方向が わからぬことを 彷徨と」「奉公は するほど道を 知ることか」「道知れば ガム捨つること 縁遠し」……切りがないので万歳俳句はもうこのくらいに。
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 もう一段落書く。3枚目の写真は寺町通りにあるモザイクの羅針盤で、「コンパッソ寺町」とかいう呼び名がついている。四条通りと三条通り近くにあって、今回は三条通りに近い方だ。直径4メートルほどあって、人が踏まない頃合いを見計らって撮った。また全く人が写っていないと大きさがわかりにくい。これより大きな地面の羅針盤が京都市内にはあるが今日は載せない。話を戻して、寺町通りに2か所あるこのモザイク羅針盤はよく見ると、文字がない。それに東西南北もまた時計のように12分割もされていない。これは全くの飾りとして設置されたもので、無用の長物と言ってよい。わざわざ方角を示さずとも、誰でも寺町通りが南北を向いていることは知っているとの考えからだろうか。何もないよりましだとは言えるが、せっかくの費用をかけながら、もう少し工夫がほしい。直径4メートルもあれば、市内の名所の略図程度は簡単に記すことが出来る。それは無粋かもしれないが、観光客にはありがたいものだ。また、そのデザインを工夫すればわざわざ立ち止まって写真を撮る人が多いだろう。それはネットで拡散され、ちょっとした名物になる。残念ながら今のデザインでは何かあったなとの記憶がおぼろげに残る程度だ。これを作った費用は寺町商店街の人たちのはずで、ひょっとすれば市内の名所地図を描くと客が寺町以外のところに行って金を使うと考えたのかもしれない。充分あり得ることだ。四条通りに近い方は、筆者と家内がよく訪れるお好み焼き屋の窓辺からよく見える。昔から筆者はその窓辺の席に陣取りながら、このモザイク羅針盤を眺める。そしていつも時計のように12分割でもなく、東西南北も示していないことに首をひねる。4枚目の写真は三条鴨川の近くにある古いビルの窓だ。京都には円形の窓が多い。最近はよく目につく。そのたびに撮影していると切りがないが、この4枚目は出っ張り具合や石製であるのがレトロで重厚感があってよい。四角い窓にすれば半額以下で造れたはずだが、わざわざ丸にするこだわりが好ましい。道行く人はほとんどそのことに気づかないとしても、ビルの所有者はそれなりにこだわりがある。今急に思い出したが、昔大阪の天満近くだったと思うが、四角い普通のビルの中ほどの階の四隅に羊の彫刻が置かれていた。有名なビルで、もう取り壊されたであろう。筆者が見たのは10代後半で、車の中からだ。そのビルは羊毛を扱う業者が建てたものかと思ったが、実際のところはわからない。ともかく、その実物大かそれ以上の大きさの白い羊が遠目にも目立ち、味気ないビルがそれだけで見違えるようであった。ちょっとした工夫で強い印象を与える。先日書いたように、京都市は条例によって看板の色や形を規制している。それはそれでいいが、美的な街を考える場合、合理的なことだけを考えず、彫刻やモザイクを用いることで建物が見違えるものとなる。それは一歩間違えれば悪趣味にも陥るが、京都はデザインの蓄積が豊富な街で、京都らしいビルはいくらでも建てられるのではないか。そういうビルのひとつの大きな要素が4枚目の写真にある「円形」だ。この横に三角と四角の窓を並べるともっと面白いが、それが轍を作ることとすれば、もはや踏むことは避けねばならないから、やはり円形の窓だけにしておく方がよい。
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by uuuzen | 2014-07-21 00:26 | ●新・嵐山だより(シリーズ編)
●祇園祭の大船鉾を見に行く、その2 >> << ●嵐山駅前の変化、その337(...

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