●『ROXY BY PROXY』その1
任状、代理人という意味のPROXYで、それによるROXYという変わった題名のアルバムが今日ようやく届いた。発送したとの連絡メールは14日にあったから2週間弱で届いた。前に書いたが、ヴァレンタイン・デーには発送すると告知があって、それより1か月遅れとなった。



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このアルバムは2年前の11月にゲイルが発売を予告したが、それはロキシーでのザッパとマザーズのライヴ演奏の映像を完成させるために資金が必要なので、ひとり1000ドルで1000人ほど本アルバムを自由に売ってよいというライセンス契約を交わすというものであった。それが難航したのは予想どおりで、去年6月まで申し込み期限は延長された。よほど申込み者が少なかったと見える。ゲイルと契約するのであるから、元来訴訟好きのゲイルであるからして、何かトラブルに巻き込まれるのではという予想をしたのは誰しもであろうし、筆者も一時は申し込んでみようかと考えたものの、さっぱり評判が伝わって来ないこともあって、そのままになった。そしてゲイルは痺れを切らしたのか、ライセンス契約締め切りから2か月と経たない去年8月に入ってすぐ、本アルバムの予約受付を始めた。早速予約したが、届いたのは今日で、5か月も経っていた。なぜこれほどまでに遅れたのか。当初からブックレットには打楽器奏者のルース・アンダーウッドによる詳細な解説がつくことはわかっていたから、ライセンス契約について最初に公表された時点で商品は完成したのではないだろうか。届いたCDのブックレットをざっと見たところ、2011年1月にミックスを行なったことが書かれていて、今年すなわち2014年の発売であることがわからないようになっている。ただし、ルースのライナーノーツの最後には『In Memoriary of George Duke(1946-2013),the heart and soul of the band』とあって、ジョージ・デュークが死んでから書かれたように見えるが、実際はこの1行はジョージの没後のつけ足しのはずだ。また、ジョージが存命中にルースに解説の依頼が行ったとすると、ゲイルがなぜジョージにも依頼しなかったのかという疑問が湧くが、ジョージのつごうが悪かったのかもしれないし、ゲイルが頼みにくい事情があったとも考えられる。ともかく、本作はトロンボーンのブルース・フォウラーがほんの少しおまけ程度に写っている以外、ザッパとルースの写真しか使っておらず、ルースは破格の扱いを受けている。ゲイルにすれば同性であるので頼みやすかったのかもしれない。また、この時期のマザーズはルースの打楽器はとても目立っているし、その明るい響きはまだ30そこそこのザッパのみなぎる活力によく似合ってもいる。
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 さて、肝心の本作の題名となったPROXYだが、1000ドル支払って発売権を得た人がいたのかどうか。本作のブックレットは32ページとかなり厚いが、最後に細かい、そして紫の文字でゲイルの文章がある。それを斜め読みすると、ゲイルの当初の目論見は失敗したことがわかる。ライセンスを買えばどれほど儲かるのかという質問ばかりが寄せられたらしいが、申し込み者は「Only a very loyal few」とあるように、わずか数名で、これではお話にならないということで、それら義理固い人の申し込みを辞退することにしたようだ。1000人が数名では思惑の外れ具合が尋常ではないが、ライセンス契約の条項はあまりに長文でややこしく、また不明なことが多く、協力したくても二の足を踏んだ人が多かったのではないだろう。金集めならばもっとほかの方法があったようにも思える。ともかく、カタログ・ナンバー99として本作が手元に届き、1000ドルを支払わずに済んでほっとしたというのが筆者の偽らざる思いで、今日を含めて3,4回で本作の感想を書く。それでゲイルの文章をもう少し見ると、肝心の『ROXY』の映画とDVD化は費用をどう捻出するのか知らないが、ゲイルは「The Roxy Movie has landed」とあるので、実現のめどがついたことがわかる。また、本作はその映像作品の前菜であって、『The ROXY Soundtrack』というCDの発売がメイン・ディッシュになるとのことだ。そう言われると急に本作が色褪せて見えるが、そのあたりのことをゲイルはどう思っているかは文章から何となくわかる。まず、ルースはゲイルから最初に本作を聴かされた時、正直なところ、ザッパの標準に届く演奏とは思わず、好きになれなかった。それにザッパ本人が本作を絶対に発売しようとは考えなかったと感じるとも言った。そのことをルースはブックレットの序文で書いている。そのルースの思いゲイルは受け留め、「Of course Ruth hated this.」と書き、ゲイルの本作や『ROXY』の計画が必ずしもかつての演奏メンバーに歓迎されていないことを告白している。だが、ルースはゲイルの根気に負けたのか、本当によいと思ったのか、本作を忍耐強く聴き、結局ゲイルに同意した。ゲイルはルースをどうして口説いたかだが、演奏の当事者のひとりであるルースにしても、バランスよくミキシングされた本作の音を40年前は聴くことが出来なかったという理由だ。これは主観と客観ということになるかもしれない。ルースの主観はゲイルの客観の前に崩れたということだ。ゲイルが本作を発売してよい音源と考えるのは、演奏もさることながら、音質がよいということが大きな理由だろう。
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 本作は1973年12月9、10日の録音から編集された。75分49秒で、LP時代ならちょうど2枚組だ。この時期のバンドの演奏はザッパは『ROXY AND ELSEWHERE』として2枚組LPにまとめた。それはロキシー劇場での1973年12月10、11、12日と、1974年5月8日のエディンバラ・ステイト・カレッジでの録音から編集された。ザッパにすればロキシーだけの演奏では満足なアルバムが製作出来ないと判断したのだろう。ロキシーでの演奏は何日にわたったのか、今手元に資料がないが、本作はロキシーでの最初の演奏を収録したものと言ってよく、『ROXY AND ELSEWHERE』の直前に置くべき内容をしている。このことはファンにすればありがたい。というのはこの時期のバンドのステージ丸ごとの演奏はヘルシンキでのライヴが『オン・ステージ第2巻』に収められているからで、それは1974年9月の録音で、本作、そして『ROXY AND ELSEWHERE』、そして同作と並べると、演奏がどのように変化して行ったかがよくわかるからだ。もっとも、去年11月に届いた『ROAD TAPES #2』は1973年8月23,4日のヘルシンキ・ライヴを収め、本作の直前の演奏がわかる。これらに加えてさらに『ROXY』のDVDやサウンドトラック盤が予定されているから、まるで73,4年がザッパの黄金時代のような扱いだが、そう言ってよいほどにこの時期のマザーズは独特な音を奏でていたと言ってよい。そのことがまとまった良質の映像で確認出来る日が近いようで、長年『ROXY』の映像を待たされているファンとしては、早くメイン・ディッシュにありつきたいものだ。ところで、本作は99番で、先ほど確認すると、筆者は95と97を所有していない。『MOTHERMANIA』とサウンドトラック盤『A TOKEN OF HIS EXTREME』がそれらに相当するのだろうか。前者はアマゾンで安価で売られている。後者は次回の注文時についでに買うつもりでいる。その次回は100番ということで、ひょっとすれば『ROXY』のサウンドトラックか。
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by uuuzen | 2014-03-26 23:44 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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