●嵐山中ノ島復旧、その17(渡月橋)
裾と呼んでいいのかどうか知らないが、渡月橋の欄干のすぐ下には斜めに張り出した飾り板がついている。それが去年9月の台風に伴う洪水によってあちこち損傷を受けた。同じことは20年ほど前にもあった。



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上流からの流木は水面に浮くから、水嵩が増した時はそうした漂流物がこの裳裾の板にぶち当たる。上流側は損傷を受けるが下流はそうではないようで、これは裳裾にぶち当たった流木がそれを壊した拍子に多少勢いを失うからだろうか。あるいは藻裾を壊した拍子に水面の下に潜り、そのまま橋の幅ほどは水中を流れて行くからかもしれない。そうとしか考えられないことは今日載せる写真からでもわかる。下流側の裳裾は無疵だ。年数がかなり経って全体にかなり汚れているから、この際全部新しくしてもよさそうだが、経費削減のために破損した箇所のみ修復するのだろう。「嵐山中ノ島復旧」の題名で今まで16回投稿して来て、いつも気になっていたのは渡月橋上流側の裳裾があちこち欠けていたことだ。それがこの2週間の間にきれいになった。どのようにして修復するか、その写真を撮りたかったのに、寒い時期であり、渡月橋まで散歩する気になれない。今日は右京図書館に行かねばならず、自転車で三条通りを東進する前に渡月橋周辺の写真を撮ろうと数日前から決めていた。幸い雨が降らず、陽射しはもう3月のもので、多少の肌寒さを感じたものの、自転車で走っていて気分がよかった。日曜日であり、観光客はかなり多かった。中ノ島復旧工事は3月28日まで行なわれるが、春休みに入ると一気に人出は増える。そんなさなかに工事用の車両が出入りするのは観光気分が削がれるのではないかと懸念する一方、めったに見られない工事であり、観光客は去年9月の台風を思い出しながら、その現場を見て来たと土産話に花が咲くことも想像出来る。今日は工事は休みで、パワーショベルやトラックなどは川岸から川の中へと臨時に造られた坂道に勢揃いしていた。その光景が面白いので撮影しようかと迷いながら、休業状態を報告しても仕方がないと思いが至った。撮影順に載せるが、どれも自転車から一旦降りての撮影で、観光客の通行に邪魔にならないように気が気でなかったこともある。橋のほぼ中央部から上流を撮ったのが4枚目で、ズームをいっぱいにした。保津川下りの船着き場辺りにオレンジ色の工事用車両がいくつか見える。そこまで行っていないのでどういう工事をしているのかわからない。だが、ひょっとすれば、早ければ4月から行なわれるパラペットの設置のための前工事かもしれない。このことは今後観察するつもりでいる。この4枚目の写真は題名の「中ノ島」とは関係がないが、シリーズ化している題名であり、別に新たな題名を設ける必要もないだろう。
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 4枚目の写真はズームで撮ったものをさらに遠方がよく見えるように大きくトリミングした。渡月橋の上からはこのような間近には見えない。写真を加工する際に気を配ったのは、写真の下に堰が入り込むことだ。この堰があるおかげで上流側が水流穏やかな一種の湖になって、ボート遊びが出来る。夏の鵜飼船もこの堰の際まで船頭は船を漕ぐ。堰は木材の杭で仕切られているように見えるが、コンクリートでしっかり固めたものだろう。段差は1メートルに満たないと思う。そのため、渡月橋上から眺めても不自然ではない。ところがこの堰が今後どのように変化するかが問題となっている。去年秋の洪水と同程度の雨水を、地域を冠水させないように流すには、何度も書いているように、渡月橋の下の堆積土砂を浚うことと中ノ島公園をかなり削って川にしてしまうことのふたつの方法がある。川底を2.7メートル掘り下げれば中ノ島公園は現状のままで済むという計算のようで、地元ではそれがよいと一応は考えていると言ってよいだろう。だが、2.7メートル河床が下がると、橋の上流側も当然川底が同じように下がる。それは4枚目の写真に見える堰まで遡る。ということは、堰の段差は単純に考えても現在より2.7メートルは高くなる。少なくても3メートルで、これは橋の上から嵐山を眺めた時、かなり違和感を生むはずだ。3メートルの滝が川幅いっぱいに出来ることとなって、その落水の音もかなり響きわたるに違いない。国交省としては、それでもかまいませんかということらしい。中ノ島を現状のままにすれば、落差3メートルの堰が橋の上流に出来る。それは理屈としてはわかるが、どうも腑に落ちない。というのは、60年前の大洪水の後、現在の渡月橋や中ノ島の姿になった。その後どんどん橋の下に土砂が溜まったから、60年前の姿に戻せばいいように思うが、国交省は現在の河床の方が60年前よりも低いと言う。これに対し、地元の古老たちはみな反論している。前にも書いたように、橋の上から川に飛び込んでも川底に頭を打たないほどの水深があった。いったいどういうことなのか。筆者の考えはこうだ。60年前の台風の際に渡月橋に押し寄せた最大水位や水量については国交省は正確なデータを持っていない。おおよそはわかるだろうが、堆積土砂がどの程度であったかについては写真が残っておらず、したがって最大水位はかなりいい加減なデータであろう。60年前の水量のデータがないとしても、それは仕方がないところがある。その後の計測機器の発達は当時は望めなかった。それにこの60年の間に大きく変わったことは、上流の亀岡市内が発展したことと、日吉ダムが出来たことだ。それに上下水道の完備もあって、渡月橋まで流れて来る水量や水質は、60年前と昨年とでは同じ規模の台風であっても、いろいろと比較が難しいことは素人にでもわかる。
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 昨日従姉の夫婦と一緒にスーパー銭湯に行った。湯船に浸かりながら、従姉の旦那さんは先日新聞に載った嵐山地区の河川工事について意見を言った。それは簡単に言えば、地元が反対することはおかしく、国は大きな視点から物事を見ているはずというものだ。それに対して筆者は、確かに国は大きな河川の上流から下流までも一体として見ているし、嵐山地区の住民が地元のことだけを考えて意見することは謗られても仕方のないことがあると断ったうえで、国がすることはいつも正しいことばかりとは限らないと話を続けた。とにかく日本は世界でも冠たる土建国家なので、絶えずどこもかしこも工事していなければ経済が回らないと政治家も国民も思い込んでいる。自然災害が多いので、土木工事が多いのは仕方のない面があるが、そのままでもいいところをやたらとコンクリートで固め過ぎという見方をしてみることも必要だ。防波堤がいい例で、そこそこの高波は防げるが、それ以上の波では役立たない。では際限なく堤を高くすればいいか。そんなお金は国にはない。一時期あるから工事をしてもいいではないかというのが、ここ半世紀の日本であったが、今後人口が減少し、経済もどうなって行くかわからないというのに、堤ばかり巨大化させてどうするのか。防ぐという意識よりも逃げる考えを採った方が安上がりではないか。どこかで堤の高さを妥協する。今まではそうして来た。それが経済大国になってからはどうも考えが麻痺し、堤は高ければ高いほどよいとなって来ている。話を嵐山に戻すと、60年に一度くらいの大雨で地元の一部が床上浸水してもいいではないか。ただし、そのために景観や自然が守られるのであればだ。それがどうもおかしなことになって行きそうな気配で、前述のように渡月橋上流の堰は高さが現状の3倍ほどになるし、左岸には高さ80センチのパラペットを造るという。もちろんそれを越える大量の雨水が上流から流れて来れば、その堤防は何の役にも立たない。そしてその堤防は60年に一度やって来るかどうかわからない大雨で川の流域が冠水しないためのもので、保険とはいえ、あまりにも目障りな代物で、しかも60年の間に何度かは修復せねばならないだろう。そのパラペットが出来ると、次々と国交省が考えているように嵐山は変わって行く。渡月橋は昔は車道と歩道の境がなかった。それが車が増えたこともあって、歩道が分離され、30センチほど高くなった。その次に数メートル間隔で照明が設置された。こうした変化は便利かもしれないが、よけいなものと見ることも出来る。渡月橋がそのように変わって来ているので、川やその周辺が変わって行くことはあたりまえと見る向きは増えるだろう。少しずつ少しずつ変化し、いつの間にか最初の頃がどうであったかがわからなくなる。それが文明の発展であると歓迎する人もあれば、何かがおかしいと思う人もある。大多数の考えで事が運んで行くとして、地元としてはどうすべきか。
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by uuuzen | 2014-02-23 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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