●『JOE‘S CAMOUFLAGE』その2
となるものがないかと探しているが、ネットではすでに本作の録音年月日についてファンが調べただーたが出ているかもしれない。面倒なのでそれを探すことなく書く。まず、本作の音はカセットに収録されたが、1本ではないことは「The Cassettes」の表記からわかる。



それは今回、演奏メンバーとして最初に記されるデニー・ウォーレイが所有していたものだ。彼はザッパについての本を書き、そのことでゲイルとはあまり仲がよくなかったと思っていたが、カセット音源の提供を受けたところ、そうでもないようだ。ゲイルはザッパについて誰かが本を出すことを快く思っておらず、訴訟を辞さないかまえであるのは今でも同じだと思うが、デニーの本は筆者は読んでいないものの、ゲイルにすれば許せる範囲の内容であったのかもしれない。彼はザッパのアルバムでは1975年5月に収録された『BONGO FURY』に参加している。スライド・ギターとヴォーカルの担当で、本作でもそれは変わらないが、スライド・ギターは単にギターとなっている。今日の2枚目の写真では右端に見えている長髪の男がそうだ。ついでながら、この写真は以前から知られていたもので、ディスク面に印刷される1枚目の写真は初めて見る。話を戻して、2枚目の写真ではデニーの左手に薬指に金属の筒が嵌っていて、スライド・ギター担当であることがわかる。本作が75年5月のツアー以前か以降のどちらの録音かとなると、他の参加メンバーに着目するか、演奏曲目から推定するしかない。そこで75年5月のツアーに参加したのがドラムスのテリー・ボージオで、それ以前にすでにザッパと演奏していたのがベースノロイ・エストラーダとサックスのナポレオン・マーフィ・ブロックのふたりで、双方ともテリーとともに76年2月に来日しているので、本作は75年5月以降と考えるのが妥当だ。それはロイが75年5月以降に久しぶりにザッパと合流したことからも言える。次に写真の残りふたりに着目すると、ザッパの背後にいかにもヒスパニックという顔立ちをしたギタリストが立つが、これはデニーの次にクレジットされる「Robert “Frog” Camarena」のはずで、ツアーに参加せず、また生前のザッパのアルバムにも名前は見えない。その手前、ザッパの隣りに笑顔でヴァイオリンらしき弦楽器を弾くのはてっきりエディ・ジョブスンかと錯覚するが、「Novi Novag」という女性で、ヴィオラとキーボード、それに歌を担当している。ヴィオラ奏者の起用はオーケストラ・メンバーを除いては初めてだ。彼女の採用は、ヴァイオリンのジャン・リュック・ポンティとマリンバのルース・アンダーウッドを足して二で割ったようなところがある。つmり、73,4年のバンドの色合いを引き継ぐ思いが見える。その点からは本作はまさに75年の録音であることがわかると言える。また、写真には登場しないが、「スペシャル・メンション」としてアンドレ・ルイスの名前が最後に挙がっている。彼の写真は現在までのところザッパのアルバムで紹介されたことがないが、来日公演のメンバーで、黒人だ。昨年であったか、亡くなった。アンドレの演奏が本作に含まれているのかどうかはわからない。ひょっとすればテープを提供したデニーの記憶も曖昧になっているのかもしれない。そこに収録の日時でも記入されていれば本作でも明記されたのではないか。
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 カセットが複数本存在することはもっとたくさんの曲が練習されていたのだろう。本作は約48分でこれはLPに相当する演奏時間であって、少々物足りない。厳選した内容を提供しようという考えであろう。カセット音源をいつものようにジョー・トラヴァースがCDとして発売出来るように音質を改良した。4トラックに移し換えたとのことで、カセット音源ではチャンネル数はそれが限界なのであろう。ドラムスやベースはかなり奥に引っ込んでいる感じで、たとえば6「ハニー・ドント・ユー・ウォント…」のようにおそらくデニーが爪弾くギターの音色がすぐそばで聴こえるところ、デニーは自分の傍らにカセット録音機を置いていたと見える。さて、録音年月に戻ると、75年5月以降として、来日公演に至るまでのいつであるかだ。おおまかに75年の後半期としておくしかないようだが、9月にはアルバム『オーケストラル・フェイヴァリッツ』の元となるオーケストラとの共演がUCLAであり、10、11月はツアーに出ているから6,7,8の3か月と考えてよい。これは真夏であり、メンバー写真の服装とは合致するのではないか。結局本作のメンバーでは秋、そして翌年のツアーを行なわず、デニーとロバート・カマレーナ、そしてノヴィ・ノヴァーグの演奏をザッパ生前のアルバムで聴くことは出来なかった。ザッパは次のバンドとしてどういう楽器構成で行くかを迷っていたのかもしれない。女性の採用はノーマ・ベルに代わり、彼女はまた翌年にはビアンカに席を譲る格好になるが、それもごくごく短期に終わり、その後ザッパは女性をツアー・メンバーに加えない。となると、ルース・アンダーウッドはよほどザッパに深い印象を与えたと考えられる。彼女が在籍したよき時代は過ぎ、ザッパはよりロック色を含めたバンドを編成し続ける。本作にその兆候はすでに出ているが、仮に本作のメンバーでツアーに出たとして、筆者はノヴィのヴィオラ演奏がどのようなものであったかを聴きたい。彼女は6「ハニー・ドント・ユー・ウォント…」では歌詞の一部を担当しており、ザッパは当初同曲では女性の声が欠かせないと考えていたことが伝わる。同曲はその後二度と女性の声が加わらなかったので、なおさら本作でのヴァージョンは貴重かつ面白い。
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 本作が75年9月以前の演奏であることを思わせるのは9「ブラック・ナプキンズ」だ。この曲は9月のオーケストラとの共演の際にも演奏された。本作のヴァージョンはそれ以前のもので、現在のところ最も古い録音となっている。本ヴァージョンで特徴的なのはギターに添って奏でられるキーボードだ。それはクレジットによればノヴィしかいないことになるが、彼女のヴィオラがまず最初のソロを担当し、次にかなり高音のキーボードが被さって来るから、アンドレの演奏であることがわかる。そして来日公演でのアンドレのキーボードの様子は、本曲の初めてのお披露目としてアルバム『ZOOT ALLURES』に大阪公演のヴァージョンが収録されるが、それと本作ヴァージョンはキーボードが全く違う。演奏全体の迫力は大阪ヴァージョンが数段上でも、本作のキーボードはよく聴き取れてしかも捨て難い魅力がある。なぜアンドレは同じ音色を使わなかったのであろうか。本作の録音当時、ザッパは本曲をオーケストラで味つけする意図が大きかったのであろう。9月のUCLAでの演奏は、オーケストラに和音を伝え、伴奏させている。そのごく簡略形すなわち練習が本作ヴァージョンで、ヴィオラが演奏に加わっているのは納得が行く。77年のヨーロッパ・ツアーでは代わってエディ・ジョブスンが本曲で大々的にヴァイオリンを演奏するが、曲全体の雰囲気は本作ヴァージョンと変わらない。ともかく、本作収録の頃にザッパはすでに9月のオーケストラとの共演が念頭にあり、しかもその後のツアーにも思いを馳せていた。そのための練習が本作ということになるが、75年10月以降76年3月までのツアーで演奏される新曲は5「イリノイの浣腸ドスケベ」,6「ハニー・ドント・ユー…」、9「ブラック・ナプキンズ」のみで、これら3曲はザッパのお気に入りでしばしば演奏されることになる。では本作の他の曲はあまり価値がないのかということになるが、本作はアルバムとしての完結した体裁を整えるべく選曲と配置は塾考されていて、これを書きながら全体をリピートで聴いているが、48分が30分程度に感じる。つまり楽しい。
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by uuuzen | 2014-02-13 23:56 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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