●嵐山中ノ島復旧、その15(渡月橋)
出した土砂をどこに運ぶのだろう。処分場所がないと聞いた。それに水分を切るために一時的に近辺の広場で積んでおくかもしれない。去年の台風18号の被害を受けた嵐山地区のうち、渡月橋の下に長年の間堆積した土砂を先日から浚渫を始めている。



その搬出のために阪急嵐山駅前の道路を10tトラックが出入りするとのことで、3月末まで慌ただしくなる。昨日渡月橋周辺を散歩し、今日は天龍寺で行なわれる節分祭の豆撒きに行くついでに渡月橋周辺の工事の様子を写真に撮った。先ほど加工しながら、写真がえらく曇っていることに気づいたが、これは今夜のニュースで放送していたように、春の霞だ。薄手のコートでも暑いほどの気温で、ジャケット姿の人が目立った。明日からはまた0度前後の気温になるとの予想だが、春めいて来たのでもう厳しい寒さを感じなくて済むだろう。今日は午後4時から自治会の小規模な臨時集会を開き、それで数時間取られたが、珍しく朝9時に寝床から這い出し、午前中の2時間で気になっていた仕事をほとんどこなした。そのようにして体も心も春に切り替え、新たな活動を再開するつもりでいる。だが、明日は終日出かける予定があり、明後日は来客と、ゆっくり仕事をする時間がない。それに来年度の始まりに向けて自治会の会合その他の文書をいくつも書く必要がある。あれこれ気がかりなことがある中で、今日の投稿に関することもそれなりに難儀な作業が待っている。今日の会合でまた新たな情報を得たが、嵐山の景観をどうするかに関して地元でも意見がさまざまある。そんな状態で筆者が自治会住民にそうしたことを含めた現在の渡月橋を中心とした浚渫その他の治水工事をどのようにわかりやすく説明すればよいか。数回に分けた回覧文書で私見を交えず、客観的に諸問題を伝えることに留めようとは思っているが、他地域との連携を考慮する必要もあり、眠っている子を覚ますなと批判を受ける恐れがある。一方、地元住民に伝える義務があると考える人もあるだろう。何をどこから説明して行けばよいのやら、とにかく大きな問題が間近に迫っていて、自治会全体として何らかの意志表示の必要はある。断片的な説明になるが、今日もそのことで多少書いておく。
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 まず、数日前に始まった渡月橋下の堆積土砂の浚渫だが、今日耳にしたところによれば、川の水位から1メートル深さまで浚うらしい。これは60年に一度の、すなわち去年9月の洪水規模の大雨を周辺に溢れさせることなく下流に流すにはかなり足りない。川底の浚渫だけでその規模の雨水を流すには2.7メートルは掘り下げる必要がある。前にも書いたが、その深さまで掘れば中ノ島公園を削って狭くする必要はない。ただし、左岸側が浸水するので、高さ80センチのパラペットを渡月橋の上流と下流それぞれ150か200メートルほどの長さは設置する。こパラペットとは簡単に言えば堤だ。これだけでも景観が大きく変わる。それに60年に一度以上の大雨では水はそれを越えるし、頑丈とは言い難い堤防なので、老朽化は当然激しいであろうし、60年と言わず、30年やそこらに一度の大雨で決壊するかもしれない。人工的な築造物の強度をあまり信頼しない方がよい。2年前の夏、宇治五カ庄で、普段はほとんど水が流れていない用水路が氾濫し、それまで決壊が考えられなかった箇所から水が溢れ、そのすぐ近くの家の1階を泥だらけにしてしまった。頑丈なように見える堤防でも、ところどころにひびが入っていて、それが豪雨で一気に損壊する。そのため、渡月橋周辺に新しいパラペットを築いても、いつまでも安全ではない。おまけに景観を破壊する。ならばそんなものを築造しなければいいが、去年の台風の被害によって国から170億円を使えといって予算が出た国土交通省は、「またあのような浸水被害があっていいのですか」と地元に説明し、今のままではそのパラペット工事は年内に着工される。造り始めれば早いもので、数か月で終わるだろう。その完成予想図を先日の天龍寺での会合で見せられた。コンピュータ・グラフィックスを駆使した本物の写真に見えるもので、渡月橋近辺の左岸がどのように変わるか一目瞭然であった。国交省との会合は27日に天龍寺で行なわれ、筆者は義務もないし、声もかからなかったので参加しなかったが、翌日の新聞に記事が出ていて、地元はパラペットの設置に慎重論があると結んであった。だが、今のままでは工事は早期に始まる。パラペットが本当に必要なのかどうか、それを地元住民が議論を重ねるべきだが、先日書いたように、この問題はごくわずかな人しか会議に出席せず、大部分の住民は一切知らされていない。それで筆者がせめてわが自治会住民だけでも伝えようと思っている。
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 パラペットの設置は左岸側すなわち右京区嵯峨のみで、わが自治会の西京区は関係ない。ところが、もっと大きな問題がある。それは中ノ島をどうするかだ。川底の土砂を1メートルだけ掘り下げれば、まだ1.7メートルの深さに相当する流水断面が足りない。それを中ノ島公園を削ることで対処しようというのが国交省の考えで、地元住民代表者とのこれまで5回交わされた会議でそこまでいちおう話が進んでいる。地元が中ノ島を現状で保存したいと粘れば、川底を2.7メートル掘るしかないが、それでは渡月橋の基礎が露出し、また補強する必要があって、景観上具合が悪くなると国交省は言う。中ノ島を削れば渡月橋を延長する必要がある。それはいいとして、筆者が心配するのは、川底を1メートルだけ掘り下げても、その程度ならば10年かそこらでまた元の状態、つまり中洲が発生する。毎年土砂を浚えてくれれば済む問題であったのに、60年もの間、それがまともに考えて来られなかった。と筆者は思っていた。というのは、現在70代、80代の地元住民の話によると、60年前の渡月橋下はかなり深く、橋の上から飛び込むことが出来た。それほど深かったのだ。それが今はマイナスの水位で、これをもう1000年放置すると、天井川になると以前書いた。冗談ではなく、本当にそうなる。ところが、24日の天龍寺での会合で京大の若い先生が国交省が作ったデータを示しながら言ったのは、60年前にあった大洪水の雨量は去年9月の台風時と同じ規模で、渡月橋での水位も大差なかった。ということは、渡月橋下の堆積土砂も似たようなもので、まだ60年前の方がもっと積もっていたという。それを聞いたほとんどの人がそれは嘘だと発言したが、国交省のデータではそうなっている。つまり、国交省は60年前よりまだましな河床状態を維持しているという。ならば、地元の古老の記憶が間違っているのだろうか。欄干から飛び込んで頭を打たないほど川底が深かったのに、60年前はもっと土砂が積もっていたとは、聞いて呆れる。それで国交省は今回の工事で1メートルだけ掘り下げ、それで足りない川の流水断面は中ノ島を削ろうとしている。
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 中ノ島は嵐山の景観として定着している。明治初期は大きな石が転がる中洲で、一部が畑になっていた。それを歴史的景観とするのであれば、現在の中ノ島は大き過ぎる。だが、自然の景観は時代とともに変わり、歴史的景観をどの時代のものと考えるかは意見が分かれる。それで国交省は景観も大事だが、まず生活ではないか、そして60年に一度の大雨でも床上浸水しないような治水工事をしましょうと言う。嵐山の景観で生計を立てている人たちと、もっと下流の、浸水すればとんでもない大被害を受けかねない人たちの双方の考えが一致することは難しい。また、桂川や由良川はかなり長く、その全延長沿いの住民のことを考える必要がある。嵐山、しかも渡月橋下の土砂や中ノ島だけの問題ではない。確かにそうなのだが、堤防をどんどん高くすれば安全かと言えば、そうでもない。より強固なものを造れば、それがいざ壊れた時の被害は甚大だ。たとえばの話、木造の平屋とマンハッタンの高さ100メートルを超すビルだ。どちらも建物で地震などの被害を受ける。平屋ならば倒壊しても被害が少ないが、高層ビルでは桁外れの規模になる。頑丈で大丈夫と思っていても、自然の力は計り知れない。そのため、数十年に一度は造り変えるくらいの気持ちでいた方がよい場合もある。日本はそういう文化を育んで来た。確かに数十年ごとに大被害を蒙ればたまったものではないし、また元の場所に戻って生活を始めるのは愚かとも見える。だが、巨大な堤防を造るには税金がいくらあっても足りず、またそれは万全でもない。今嵐山で行なわれようとしている工事は、たとえば60年に一度の大雨でも被害を受けなくて済む工事だが、今まで60年に一度は地元が浸水してもまた蘇ってやって来た。60年に一度なら我慢すればいいではないか。わずかな浸水も許さないと考えて造った土手が、予想に反して決壊すれば、何千軒も床上や天井まで水が来る。そうなれば数十億の被害で済まない。金をたくさんかければより安全が得られると思いがちだが、一旦その安全が壊れると、被害は累乗したものになる。堤防が決壊しても被害が少なくて済むように都市開発すればよく、人は自然と沿って生きて行くべきだ。そういった考えは今や時代遅れとなった。どの家も断熱材を入れて外と内を遮断し、家の中は空調設備でコントロールする。それで冬は暖かく夏は涼しくなったが、金はかかるし、原発は必要、それにクーラーから出る埃が病気の原因にもなる。得しているようで、しっかりつけは支払っている。電気がなかった時代の人が見てもうらやましがらないだろう。むしろ現代人を馬鹿と思うのではないか。原発の事故を見てもわかるように、学者や政治家、造った業者、誰も責任を取らない。同じことが今嵐山で起ころうとしている治水工事についても言える。昔筆者は半ば冗談で嵐山の景観など、政治家は重要とも何とも思っておらず、金になるのであれば徹底的に造り変え、嵐山の向こうに高速道路が見える時代が来ると書いた。それが実現しそうな気配で、日本はそのうち「国破れて山河もなし」になる。
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by uuuzen | 2014-02-03 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(2)
Commented by 正垣裕清 at 2014-02-07 04:28 x
嵐山中ノ島復旧、その15
最近、嵐山ライブカメラをよく見ます。トラックが小さく見えるだけで、形が不鮮明でした。今回の写真でよく分かり良かったです。 2枚目の写真で看板には、橋をなおしています。と書いてあります。橋脚の点検をしているように見えますが。 尚、初めてメールしました。嵐山中ノ島復旧は一気に読ませていただきました。
Commented by uuuzen at 2014-02-07 09:07
書き込みどうもありがとうございます。ライブカメラの映像をパソコンで見られることを初めて知りました。早速確認しました。荒い映像で渡月橋が損傷を受けた部分などが見えません。もう1か月ほどで橋の修復は終わりますが、問題は土砂浚渫など、橋周辺の土木工事で、これについての大きな問題を今後数回に分けて書きます。


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