●嵐山中ノ島復旧、その6
の上にひとが乗ったような形をした丸い花を2,3個つける葉を初めて見た時には驚いた。ハナイカダという名前の植物だ。筆者にとっての次の「花筏」は友禅の古典文様にあるそれで、丸太を組んだ筏の上に切枝の花を載せ、筏の周囲に水流を添える。



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川を下る筏に花を満載するその文様は好きだ。次に筆者が「花筏」の名前に触れたのは、嵐山の渡月小橋のほとりにある料理旅館で、斜め向かいに建つ渡月亭本館とどちらが古いのか知らない。聞くところによると、「花筏」の経営者一族は代々嵐山や市内の料理旅館を所有しているそうで、今は「花筏」の方が「渡月亭」よりも建物の数と規模はかなり劣るが、歴史は古いのかもしれない。先月中旬の台風18号による水害では双方とも浸水がひどく、「渡月亭」はまだ全部の建物が復旧してはいない。ところが、TVニュースでは「花筏」の女将ばかりが紹介され、昨夜も5分ほどインタヴューを受け、ついには社長の姿まで登場した。80畳の大広間は毎年わが自治会が地蔵盆の足洗いに宴会場として用いる。今年は台風が来る1週間ほど前であった。次の週、すなわち9月中旬になると、客が多くなるので、なるべく9月に入って早いうちに済ましてしまおうという考えだ。それが客が来るより台風に見舞われた。昨夜のニュースでは馴染みの大広間の畳がずぶ濡れになり、積み上げられた様子が映った。ちらりと床の間の掛軸も映ったが、それは1週間前に筆者が見たのと同じであった。浸水によって、また畳をめくって積み上げる過程でその掛軸に泥が飛び散ったのではないかと心配する。誰の絵か忘れたが、冨田渓仙風の著色画で嵐山と桂川を俯瞰で捉えている。「花筏」の女将が何度もTVニュースで取り上げられるのは、嵐山で一番の老舗旅館ということのほかに、浸水被害が「渡月亭」以上であったからかもしれない。だが、実際の被害は「渡月亭」の方が甚大であろう。となると、「渡月亭」の女将がTV画面に登場しないのは、「花筏」の女将の方が若いからということになりそうか。それはともかく、「花筏」がどうにか営業を始めたので、嵐山の洪水被害も一段落で、もうTVニュースが取り上げることはないだろう。とはいえ、先ほどNHKニュースで接近中の台風の様子を知らせる間、水害に遭った渡月橋界隈を映していた。京都を直撃すると、また被害が出るかもしれないという思いによる。
d0053294_0583116.jpg 今日「その6」を投稿するために中ノ島公園に行った。投稿しようと思ったのは新しい動きがあったからだ。昨夜自治会長が1枚の書類を持って来てくれた。両面印刷したもので、その裏面の地図を今日は最初に載せる。昨日と今日、地図上の赤丸地点の測量が行なわれた。表側の説明には、天気がよければ1日で終わると書いてあって、昨日は好天で、今日の作業はなかった。この書類をもう少し早く見ていれば、昨日は測量の様子を撮影したが、最初の写真にあるように、縦横1.8メートルの白黒に塗り分けた看板を3人で持って、渡月橋の上から左岸まで合計7か所を測量したようだ。赤い三角印が地図上に印されるが、それは「中ノ島カメラ」と呼んで、台風18号の折りに渡月橋の冠水の様子を撮影し続け、TVでその映像が何度も放送された。昨日の測量は、そのカメラ映像から洪水時の水量を計算するためのもので、数十年に一度の大流水量に際して観測員は目測を断念したようだ。つまり、頼りになるのは「中ノ島カメラ」が撮影し続けた様子で、映像上に標定点の設定が必要なために渡月橋の上で大きな看板を持って同カメラに撮影させたのだ。カメラは固定されているから、昨日撮影した映像と洪水時のそれを重ね合わせれば、どの程度の高さまで水が来たのかわかる。赤丸ひとつ当たり20分の撮影をしたそうで、7か所であるので2時間ほどだ。最大時にどれほど水が流れたかだが、台風時の「中ノ島カメラ」の映像からわかるように、水面は荒れ狂っていて、最大と最低の差は2メートルほどあったのではないか。間を取って水位とするしか方法がないだろう。ともかく、数十年に一度の洪水であるから、どれほどの水が渡月橋に押し寄せたかを計算するにはいい機会だ。それによって今後の治水工事の基礎データが充実する。今日は渡月橋まで歩き、「中ノ島カメラ」を見ると、作業員が2名、カメラを支えている鉄柱の裾の電気メーターのようなものを操作していた。「中ノ島カメラ」の写真は9月27日に撮った。それを2枚目に載せる。この日、中ノ島の最上流付近ではブルドーザーが2台、川の中に入って土砂を浚っていた。そのパノラマ写真を3枚目に載せる。これはいつものようにクリックで拡大する。4、5枚目は今日撮った。5枚目は渡月橋下流から上流を臨む。手前に月の満ち欠けを彫った石板が嵌め込まれている。

 中ノ島付近にブルが入って土砂を浚渫するのは毎年の光景で、確か2月頃に行なわれる。渇水期がいいのに決まっている。だが、その作業は徹底したものには見えない。なぜなら、1年経てばまた元のように渡月橋の下には広い中洲が出来て、雑草が生い茂る。わが自治会に60年ほど前のことを覚えている人が何人もいる。話を聞くと、中ノ島下流脇にロープで囲った50メートルのプールがあって、夏には小学生が泳いだそうだ。京都市から監視員が来てのことで、また水質検査も行なった。その自然プールがなくなったのは、上流の亀岡に民家が急増し、川の水質が悪くなったことと、また土砂の堆積によって、足首が浸かる程度の水深に嵩上げしてしまったためだ。渡月橋の橋脚から飛び込むと、頭が底に激突しないほどに川は深かった。それが今はどうかと言えば、橋脚はほぼ見えず、その箇所での水深は数十センチもない。数十年の間に大量の土砂が溜まり、そのままにされている。そのために先月の洪水被害があったという見方も出来る。そうした数十年に一度単位の洪水に備えて渡月橋の下や付近の川底や川幅をどうするかという議論が地元と国土交通省の間で持たれている最中で、そのことは今年3月、会長であった筆者が4年目にして初めて自治連合会の会長から会合の席で耳にした。その時に示された資料は30ページほどの図や写真入りで、部数がないのか、自治会長はもらえなかった。ところが、わが自治会のFさんが別のルートから1部貸してもらっていて、今はそれが筆者の手元にある。この資料はあまり口外すべきものではないと思っていたが、先日筆者がNHKの記者にインタヴューを受けた翌日、Fさんが同じ資料はネットに公開されていると言ってくれた。つまり、誰でも見られる状態にある。ところが、わが自治会でその資料を見たのはたぶん筆者を含めて2,3人で、連合会全体でも20名にはならないだろう。Fさんからその資料を見せてもらい、また相談を持ちかけられたのは、先月の洪水と大きく関係した問題で、つまるところ、渡月橋の下や付近をどう構造を変えれば洪水被害が減る、つまり数十年に一度がもっと確率が低くなるかだ。その案を国土交通省は4つ出していて、それぞれの工事費や欠点などを先の資料にまとめてある。当然、最初に書かれている案が一番有力なのだが、それに対して地元は反対している。その地元は桂川両岸で、中ノ島が右京区すなわち嵯峨に属するので、嵯峨地区が主になって動く。とはいえ、わが自治会ないし連合会、さらには西京区も協力して問題に対処すべきであるのは言うまでもない。ところが、前述のように、その資料を見ているのはほんのわずかな人で、しかも大半の人は自分とは関係のない問題と思っている。そこで、Fさんはこの問題を地元住民がもっと知るべきだと考えている。それは筆者も同じだ。
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 それには住民に文書を配布するのがよい。30ページほどの資料をそのまま各組長に配って回覧しても、きっと大半の人はその内容が理解出来ない。そのため、その資料の要約を作成し、そこに地元としての考えをまとめる道筋を作る。その文書関係をFさんは筆者に依頼している。それはさほど難しいことではないが、一度の文書配布ないし回覧で事が済む問題ではない。まずは、国土交通省が4つの案を作ったことの経緯を知らねばならない。それは筆者もあまり詳しくは知らない。資料を最初に見たFさんやその関連の人たちは、わが自治会内の住民であること以上に保津川あっての商売をしている。そこで国土交通省はそういう人たちと協議を重ねて4案を出して来た。ところが、それらの案にはFさんらが強く望む案が入っていない。いや、入ってはいるが、他の案との折衷を望んでいる。Fさんらが望む案は、ただ昔と同じ川底にしてほしいということだ。つまり浚渫のみだ。ただし、その深さは、Fさんが小学生であった当時のもので、渡月橋のコンクリートの橋脚基礎から川の流れに飛び込んでも頭を打たない程度まで掘り下げる。それは2.7メートルほどだ。国土交通省は、その案のみで洪水に備えることを考えていない。その最大の理由は、渡月橋の下が現況よりも3メートル近く下がると、かなり無粋で、歴史的景観が損なわれるという。だが、Fさんはその主張を笑う。歴史的景観を言うのであれば、この60年、土砂は積もるままにされて来て、すっかり橋脚の基礎は隠れてしまった。現在の渡月橋の姿は歴史的景観でも何でもない。単に土砂を浚うことをさぼって来た結果の、いわばだらしない姿だ。それを守って、ほかの場所を大きく変えてしまおうというのは、歴史的景観を守る云々は欺瞞であることを意味するのではないか。筆者も3メートルほど川底が下がっても渡月橋の景観にはあまり変化がないと予想する。それほど橋は高さがある。だが、国土交通省は、河川の氾濫による人命や経済的な損失がないように治水することが何よりも大切で、地元の一部の人間が昔の姿に戻せと主張しても、それでもしもの洪水があった時に損害を誰が保障するのかと言い返すだろう。そのため、Fさんの意見で地元の考えがまとまるにしても、それでたとえば100年に一回の洪水でせいぜい先月のような程度の被害で収まるかどうかを地元住民に納得してもらう必要がある。それには専門的な知識が必要で、国土交通省と地元住民がもっと深く話し合いをせねばならない。そのためのいい機会が先月の洪水で、昨日の測量は今後の新たな会合での資料になるはずだ。何となく筆者はこの問題に巻き込まれるような気がしている。そうなると、この「駅前の変化」シリーズの新たな章が始まる。
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by uuuzen | 2013-10-08 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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