●嵐山駅前の変化、その272(桜の林、温泉)
灯の需要が減り、新調しなければならない時に困る。地蔵盆では自治会内の子どもたちの提灯をテントにぶら下げる。子どもの数だけそれが並ぶ理屈で、昔のように子どもが多かった時代は賑やかでよかったが、今では子どもがひとりもいない自治会があって、地蔵盆が高齢者の祭りのようになっている。



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こんなことになろうとはほとんど予想されなかったのではないか。政府のしかるべき機関が100年ほど前に予測し、その頃すでに対策を講じておくべきなのに、学者も役人もいい加減なものだ。人口が減り続けて困るのは、たとえば身近では前述の提灯を作る人たちで、店が減るのは当然だ。自治連合会が各自治会に別の提灯屋を紹介してくれるかと言えば、そんなことをすれば連合会が特定の店と裏取引しているように思われるので、勝手に探してほしいという。それでそのほかの困ったことも自治会長があちこち調べて新たな店を探す。提灯屋に至っては今までより数倍遠い場所まで行かねばならなくなった。その店も10年後にあるかどうかわからない。筆者は息子が小さかった頃に地蔵盆用の提灯を名前入りで作ってもらったが、地蔵盆に使ったのは10回ほどでので、ほとんど新品のまま倉庫にしまってある。名前が墨で大書されているから、ほかの子どもに譲ることが出来ず、またそんなものを収集している人もいないから、やがてゴミになるしかない。もったいないような話だが、用済みの品物はほかにいくらでもある。ほかの子どもが使い回し出来る提灯であれば、提灯屋はさらに少なくなっていたはずで、用済みとなったものをもったいないと思ってはならない。先日ネット・ニュースでどこかの市がハンコは使わずにサインでいいではないかと言ったところ、ハンコ業者から猛烈な抗議があったと読んだ。商売の邪魔をするなということだ。だが、市からそんな意見が出て来るところ、長い目で見れば街中のハンコ屋は大半が消えるだろう。そのようにして時代とともに多くの商売がなくなって来たのではないか。一方で一旦廃れかけた商売が盛り返すこともある。そうした例として、活版印刷がある。印刷された紙に凹凸が出来るのは、インク・ジェット印刷にはない、視覚にとっての愉悦で、いつも書くように、便利な何かが登場すると、一方で何か個性を確実に失う。その個性は時代遅れとして切り捨てられるものばかりではない。切り捨てる人もあるが、そうではない人もある。趣味人でなくても、これだけは本物を使いたいと思うことはあるし、そのことによって心が豊かになると信じたがる。それでも、その本物も時代とともに価値を理解する人が減少し、どうしようもない安物が幅を利かせる。それで提灯など今は完全に時代遅れで、LED照明の前では家の飾りにもなれない。そうそう、ついでに書いておく。隣家のリフォームが完成した時、どこかの部屋で使おうと、背丈160センチほどの床置きの照明を買った。それは全体が紙で出来ていて、しかも提灯の仕組みによってぺしゃんこの状態にまとまる。背丈に引き伸ばした時は直立した女性像の形になる。シャンデリア球を4個使うので、全体が中から光る。提灯屋は減っても提灯の原理は生きている。
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 わが自治会では、家の軒先に提灯がぶら下がっている区域がある。自治会とは別にそうした家は一種の組合を作っている。全員が商家であるから、その区域内に筆者が住んでいても筆者はその会には加入出来ない。その会が会員の目印として提灯を選んだのは、嵐山という昔からの観光地を思ってのことだ。家並みに適合した印となれば、提灯は便利だ。ただし、その提灯は夜間に灯されることはない。今時ローソクで提灯を灯すことがあるだろうか。まず消防署が注意しにやって来る。電球でも熱で紙が燃えるのではないかといらぬ心配をするだろう。夜に威力を発揮する提灯なのに、目立つのは昼間だけだ。形ばかりの提灯になってしまった。さて、今日の写真はいつものようにちょうど1年前、去年6月9日の撮影で、桜の林の変化ぶりは見てのとおりだ。そのため、話は温泉工事ではなく、広く自治会全般のこととするが、うまい具合に昨日と今日、自治会長から電話があった。4月前なら筆者にかかって来た電話が新たな会長に行くようになったが、彼は筆者に報告や相談を持ちかける。昨日と今日の電話の内容は、今年4月に転居したある日本料理店を購入した業者がいよいよそこを全面的に撤去して更地にし、その後マンションを建てるという話で、それについての地元説明会などをどうするかというものだ。この日本料理店は、筆者が嵐山に引っ越して来る前、梅津に住んでいた頃、店が売り物にする弁当の蓋に印刷する絵のデザインを依頼された。店が直接筆者に話を持ち込んだのではなく、当時筆者が勤めていた染色工房にいた女性の紹介だ。その女性もまた誰かに話を聞いたらしく、店と筆者の間にふたりの人物が介在していた。嵐山なので、楓と桜を全面に描いた。それが採用されたどうかは知らないまま、デザイン画を手わたしてからしばらく経って漆塗りの茶碗が2客届けられた。たぶん採用されなかった。そして数年後に嵐山に引っ越し、やがてその店に行ったが、出て来た弁当の蓋は真っ黒なままで、筆者が想像したような金泥で嵐山らしい絵が印刷されていなかった。その後店には二度行き、そのままとなったから、わが家の近くでも10年に一度しか利用していない。観光客専門の店と言ってよく、自治会内の住民はみな筆者と大同小異ではなかったか。これは最近知ったが、その店は歴史は新しかった。ちょうど筆者が弁当の蓋の絵のデザインをした頃に出来た。それ以前から、池を持つ立派な庭はあって、別の日とが商売していた。結局弁当を売りにした新たな店を継ぐ人がおらず、店主は一切合切を売り払って数キロ離れたところに転居した。
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 誰が買い、また何が建つかは春以降、わが自治会住民のひとつの関心事であった。それが昨日会長のもとに業者から電話があって、マンションが出来ることがわかった。ほとんど予想どおりのことで驚きはない。予想と違ったのは、一戸建て住宅が10数軒建つのではと思ったことだ。隣りが喫茶らんざん、その隣りが駅前ホテルという立地で、住宅ならかなり高価になる。マンションでは高さ制限があるので、全部で何世帯が入居出来るだろう。20ほどとすれば充分にひとつの町、すなわち自治会で言えば「組」に相当するから、筆者は自治会員が増える機会なのでいいと思っている。また入居する世代は住宅の価格にもよるが、3000万円台とすれば金利の安さもあって30歳くらいの夫婦が買える。となれば、小さな子どもがいるから、地蔵盆は盛り上がる。そしてそれ用の提灯も作ってもらえるから、テント下は今までにない提灯の列の賑わいとなる。去年度中によくぞ自治会の規約をまとめ上げたもので、店の跡地にマンションが出来ればすぐにその住民に対して規約を見せながら、自治会への勧誘が出来る。店は木造の日本建築で、池や多くの樹木に囲まれて、野鳥の天国のようでもあるから、味気ない鉄筋コンクリートのマンションが出来ることは環境破壊以外の何物でもない。だが、庭や建物をなるべく現状のまま残して別の経営者が料亭を続けることは無理があったのだろう。誰が買ったかは今日の電話で知った。ところが、現段階ではここに書くことはまずい気がする。それが許されるようになれば書くとして、筆者にはなかなか興味深かった。その理由も、書いてもよい頃合いを見計らう。この店の写真はすでに3回撮影した。店が壊され、更地になり、やがてマンションが建って行く様子をその3回撮影した場所から撮り続けるつもりでいる。その定点撮影場所は当初2か所と決めていたが、先日もう1か所増やした。いずれも工事の様子がよくわかり、しかも工事に左右されない場所だ。そのため、このカテゴリーは今の「桜の林、温泉」が一段落すると、次は「駅前マンション」と投稿名が変わる予定だ。自治会では年に2回、自治会内の一斉清掃があって、そのための集合場所はこの店の許可を得て駐車場を使わせてもらって来た。その駐車場が今は金網に囲われている。そのため、先月あった一斉清掃では別の場所に集まった。何事も少しずつ変わって行く。
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by uuuzen | 2013-06-09 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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