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●第4章その1 「序」の息子の帰還
昨日、随分久しぶりに工作舎の石原さんから電話があった。その前日に、これも久しぶりのことだが、メールを4、5回やり取りした。メールではもどかしいのか、直接話した方がわかりやすいと石原さんは思ったのだろう。



ザッパに関する次の本の執筆依頼は去年から出ているが、ホームページ作りに忙しいこともあって手をつけずに至っている。年内にホームページはひとまず完成させる予定であるので、来年は多少はザッパ論の執筆に情熱を注げるかと思っているが、正直な話、ザッパの没後、どうしても話題は乏しくなっているし、以前の2冊と同じ感じの本であれば売行きも期待出来ない。そこで、どのような内容にすべきか大体決めていて、心の中で半分ほどはもう出来上がっている。しかし、書き始めるとどう膨らむか予想はつかない。そんなことをたまに思い出しながらのこの1年ほどであった。その一方、3年ほど前から筆者にはにわかに新しい興味が芽生えていて、ほとんどそれに心を奪われて行動している。その新しい興味についてほんの少しは石原さんに伝えていたが、筆者のその熱い関心事を察知したうえで石原さんなりに思っていたことがあったようだ。一昨日はついにメールでそのことを伝えて来た。こっちはその新しい関心事について、60歳前後に本にまとめられればいいかと思ってのんびりとかまえているが、面白い内容であればすぐにでも本にしようというのが石原さんの考えだ。これは編集者としては当然であろう。時代は目まぐるしいテンポで進んでおり、5、6年先の悠長なことは考えておれない。それで、石原さんは、ザッパ本は後回しにして、筆者が関心を抱いていることを早速本にしようと言う。そして、取り合えずは会議に提出するために簡単な目次を作ってほしいと言われた。これには少々戸惑う。どういう内容にすべきかについてはいくつかの大まかな項目があるが、実際に本文を書き始めると原稿がどう増え、内容がどう変化するか自分でも予想がつかない。60歳頃と勝手に思っていたこと、それに工作舎からではなしに、ひょっとすれば最悪の場合、自費出版という形になるかもしれないと思っていただけに、石原さんからの申し出は正直嬉しい。ただし、執筆内容に自信があると啖呵を切っても、本としてわざわざ書く意義のある新しい考えによる面白い内容、そしてそれ相応に評判が見込めて売れるものにするという暗黙のプレッシャーはあるから、電話をもらった昨日は妙に気分がハイになって、まるで戦いに行く兵士はきっとこんな気分だろうなと思ったほどだ。
 アメリカ在住のOさんは相変わらずネットに頻出するザッパ関連情報をメールで教えてくれている。それらは一応みなチェックはしているが、ザッパ亡き今、非常に興味深い情報にはもう出会えない。2、3日前のOさんのメールでは、ザッパ・ファミリーが今年のクリスマスにザッパのDVDやCDを発売するという情報が出たことを知ったが、かなり小出しにザッパが録音していたものが発売される現状にあっては、次のザッパ本をいつまとめるべきかの迷いが去らない。もうこれ以上はほぼ出ないという段階、つまり公式な音源資料が揃ったうえで本を書く方がたくさんの情報が盛れるし、読者にとってもその本は便利な資料となるであろうから、なるべく早くザッパの遺した音源がCDになればいいと思うが、これが全く先の見通しが立たない状態にある。この調子ではまだ数十年かかると思うほどだ。そのために書かずにいるわけではないが、書かないでいても、次の本はいつ出るのかというファンからの催促の声も伝わらないから、ザッパはひとまず置いて、新しい興味に関する本を先に書いてもいいかと思う。それも昨日の石原さんの電話があってのことだが、本の内容はまだここでは明らかには出来ない。また、たとえ明らかにしてもザッパ・ファンは関心がないだろう。ザッパとは全然関係のないところに筆者の新たな興味が発展しても、ザッパのことを忘れたわけではない。新たなザッパ本を書く前に別の方向に関心が向かうことで、またザッパ本に予想外の脹らみが生まれることも考えられる。そして、そんなことを含めて、このブログが筆者のそうした思考の跡をいくぶんは明かすものになるという気もしている。

●第4章 「序」の息子の帰還(本来は第13章)

フランチェスコ・ザッパの「フランチェスコ」の表示を英語読みにフランセスコにするかどうかで、MSI時代に意見が飛び交った。しかし何でもかんでも英語読みというのはいかがなものか。フランセスコでは一般に馴染みがない。やはりイタリア人であり、現地読みにすべきとの意見が受け入れられて、フランチェスコになった。ところがここが難しいところで、メルセデスというドイツ語読みの名前があるとして、その人がアメリカで活躍する場合、マーシーディスといった発音になるし、実際そのように筆記している場合を見受ける。これではまったくぴんと来ず、もっとまーしですと言えるものにしたい。となるとやはり日本では慣例に従ってメルセデスとする方が親切だ。本書ではややこしい固有名詞の発音に関しては、辞典で発音記号を調べ、いくつかの発音がある場合は、だいたい最初のものを片仮名に置き換えて使用している。辞典にない珍しいものは、ザッパ自身がインタヴューやレコードで発音しているものに従う。聞き取りを片仮名にするのもかなり無茶な話だが、他に方法がない場合は仕方がない。それでも発音がわからないものは想像に頼ることになる。たとえばデイヴ・パーラートの「Parlato」は、英語読みではパーレイトになるが、どうも字面を見るとラテン系の名前を語っているようだし、フランス語のパルレ(parler)、つまり「語る」を連想する。これより派生した単語で無声映画という意味のパルラーン(parlant)も目につく。おそらくパーラートはこのような言葉から出てきた名字だろう。ついでにスペイン語も調べ、「a」をアーと発音することにして、結局パーラートとした。パーレイトでも同じ字数であるから、自分なりの根拠を得てさえすれば、別にどちらでもよく、好みの問題だ。日本の名前でも発音は唯一でない場合があり、そう神経質になることもないかもしれない。
 雑事をもうひとつ。前章『ザ・パーフェクト・ストレンジャー』の最後には、CD解説では「夏終わる庭に腐乱す雑言葉集める我はザ・フロシキなり」という狂歌を置いていた。「腐乱す」は「フランス」に多少引っかけたつもりだが、深い意味はない。「雑言葉」は「ザッパ(雑葉)」と「言葉」の合成造語であるのは誰しも想像はつくと思う。若葉はどれもつやつやして同じような色、形をしていても、夏の暑い盛りによほど呟くせいか、秋になると、1枚ずつ違う色をする。一方、新緑の頃ほど虫に食われてボロボロの穴だらけになる葉もあって、植物も人間の世界そっくりだ。先の「雑言葉」は「充分呟いた後の彩り盛んな落ち葉」のイメージを込めてある。落ち葉を集めるという情景は、我が家の猫額庭での実際の経験による。熊手などの農業道具はイタリア語ではザッパという言葉が示すが、つまりザッパを使用して、自分の小さな庭に落ちこぼれた腐乱直前の葉っぱを拾い集める、すなわち自分の脳裏に浮かんだあれこれの思いをひとつにまとめ上げたことを言いたかった。次に落葉樹から別の雑事を連想する。我が家近くのある生垣には柿の木などがあり、秋には葉は黄ばみ、渋柿だらけになる。実の形がバーキング・パンプキンのロゴマークのカボチャそっくりに気づき、また道行く人に渋柿注意を喚起する目的から、3、4個の実の表皮に黒マジック・ペンでロゴマークと同じ目と口を描いたことがあった。それを写真に撮ったり、道行く人が不思議そうにそのハロウィーン柿を見ているのを眺めては、餓鬼同然に喜んだりするのだから、ノンテリ知能の程度が知れるか。とはいえどうせ渋でもあるからだが、そんな悪戯はしても、誰も勝手に「吠える柿」をもらいはしない。
 柿もらいはしないで、書きもらしたことを続ける。前章のフランチェスコの名前についての記述箇所の補足をする。フランスという言葉はいつできたか。民族大移動期にフランク族が、現在のフランスに侵攻した。このフランク族はゲルマン人の混成部族のひとつとされ、起源不明だが、その名称は3世紀には出現している。フランク族は現在のフランス語では「Francs」、ドイツ語では「Franken」と綴る。フランク王国は九世紀半ばに内紛を抱えて分裂し、現在のフランスが位置する国土は西フランク王国、ドイツは東フランク王国、その間のイタリアはロートリンゲンとなった。詳しく書かないが、フランスも聖フランチェスコも、アメリカのサンフランシスコも、モンスター映画のフランケンシュタインも、フランク・ザッパのフランクもすべて、起源がよくわからないフランク族の名称から来ている。フランク族はどこへ行ったのか、いつやって来たのか。フランチェスコはどこへ行ったのか、いつやって来たのか。ザッパはどこへ行ったのか、いつやって来たのか…。『グランド・ワズー』の裏ジャケットに描かれるアンクル・ミートの蓄音機を思い出しながら調子に乗って書いたが、ザッパがいつやって来たかは、ザッパの生まれやレコード・デビューのことではなしに、それぞれのファンにとっての最初の出会いがいつであったかという意味に捉えてほしい。曖昧模糊としている人も多いのではないだろうか。さて以下はアルバム解説ではない。ちょうど、本書の中間に当たるので、中入りとしたい。本書後半各章の裏話を交えつつ、「『序』の息子」の続きとして、それ以降の動きを3部に分けて書く。

by uuuzen | 2005-09-29 20:29 | ○『大ザッパ論』サプリメント
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