●ムーンゴッタ・2013年1月
かれた白い粉が暗がりで目立った。松尾橋バス停は3番などの路線の終点になっていて、バスが時間待ちをしたり、ターンするための土地がある。小さな小学校の運動場の半分ほどはあるだろう。そこはバス以外に入ってはならないことになっている。



ところがタクシーがさっと入ってターンして出て行く光景はよく見かける。バスの運行を邪魔しなければいいだけのことで、タクシーはその点を心得ている。そのターン場所に今夜は白い粉があちこち撒かれていた。凍結防止剤で、塩化ナトリウムやカルシウムだ。これが松尾橋の両端のたもとに2,3袋ずつ積んであって、誰でも凍結を見つければ撒いてくださいといったことが書かれている。車に乗っている人が降りてわざわざそんなことをするだろうか。松尾橋バス停では誰が撒いたのだろう。今日は昼間が暖かい日差しであった。道路の凍結はその時点では考えにくいが、白い粉を見た直後、松尾橋たもとにあるデジタル表示の温度計は0度となっていた。一昨日は8度で、その前に見かけた時は3度であったから、今夜は筆者が見る限りでは最も凍結しやすい。その表示が凍結防止剤散布の目安なのだろう。昨夜は宴会場の窓から雪が降りし切っている様子が見えた。今日は同じ時間帯にそれがない。そして満月が冴えわたった。昨夜は雪で満月は見えなかったと思うが、宴会が終わって嵐山まで帰る20分ほどの徒歩の間、空を確認しなかった。満月の前夜であることは宴会場に出かける前には自覚していたのに、帰りはすっかり忘れていた。酒の力は恐ろしい。それでもあまりの寒さで歩いている間はほろ酔い気分は消し飛んでいた。ともかく、今日は晴れてよかった。満月が見られない場合に備えて一日前に撮影することが習わしになっているのに、昨夜は撮影せずで、一昨日はまだ青い空に浮かぶ様子を1枚撮った。満月と呼ぶにはほんの少し歪だ。それを載せずに済んだことはよい。今夜の満月は川端二条あたりで撮った。今日は市バスの一日乗車券を買って家内と展覧会をふたつ見に出かけた。その帰り、古書店に行って本を受け取る予定を組んだ。家内に言わせると、毎日本が届くので、またかと呆れ顔だ。家内に本の代金を言うと、1万円くれた。筆者ひとりで行ってもよかったが、本屋まで同行すると言う。まだ7時少し過ぎであったからだ。本屋は馴染みで、その時刻なら開いていると思ったが、閉まっていた。それに気づかず、100メートルほど先まで歩いた。後方で家内が呼ぶ。シャッターが下りていたので閉店であったことがわからなかったのだ。それにしても毎月必ずその店の前を通るのに、100メートル行き過ぎても気づかない筆者は呆け始めているのかもしれない。店が閉まっていたので家内はどうせこんなことだろうと思ったと言う。それでも昨夜のように痺れるような寒さではないのがましだ。二条大橋をまたわたっている時、ふと満月のことを思い出した。橋の上で空を見わたすと見えない。そのことを家内に言うと、筆者を振り返らないで、今夜は出るのが遅いのだと言いながら先を歩いて行く。筆者もたぶんそうかなと思いながら、視線をぐんと落として二条通りの東を見ると、信号の赤や青に混じって黄味がかった満月が低い空に浮かんでいるのが見えた。そして河原町通りに出るまでの間、撮り続け、さきほど選んだ3枚の加工を終えた。3枚目は先に書いた白い粉の散布を見かける5分ほど前、ムーギョの前から振り返って撮った。信号の赤と青の間に着きが浮かび、三角形を成しているのが面白かった。筆者のカメラは安物であるから、近くの信号の色が飛び、また灯りの周囲が大きく映っているが、実際は信号と満月の大きさや明度はほとんど同じに見えた。
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 本の話ついでに思い出した。桂にある大きな古書店から毎年年賀状を兼ねて500円の金券が届く。その店は古書とはいえ、漫画が中心で、また経営が成り立っているのはゲーム機のソフトを買う客が多いからだ。筆者の関心は1冊100円のコーナーだ。500円の金券では5冊もらえる計算だ。それでは店に悪いので、毎年この金券はがきを持参して7,8冊買う。ところが昨日は粘っても5冊ほどしか目ぼしいものがなかった。それを持ってレジに行くと、400円と言う。5冊ですよと返すと、セール期間で1冊80円とのこと。それで大急ぎで2階に戻って、迷っていた1冊を取って来た。つまり、6冊が無料であった。こんな調子で経営が成り立つのだろうか。この店は半年に一回ほど訪れて100円本から探して買うが、去年は金券持参以外には行かなかった。筆者が行かなくても経営が悪化することはなく、むしろ無料で5冊もらって帰る筆者は行かない方が店はありがたいだろう。一度名前が登録され、毎年その金券はがきを使用するので、おそらく来年もまた送って来ると思う。1月末までが使用期限で、昨日行っておいてよかった。1冊100円の本は9割以上が筆者にはどうでもよい。10年ほど前に爆発的に売れたような本が目立つ。あるいは多少渋い内容でも、上巻しかなかったりする。そうそう、新藤兼人の『小説 田中絹代』があった。筆者はネットで買って読んだが、もう2,3か月待てば金券で無料でもらえた。癪に障るが、同じ本が2冊あるのは落ち着かないので、5冊の中には含めなかった。こういう古本屋で並んでいる本は屑ばかりかと思っていると、ごく稀に珍しい本がある。店の人はその価値を知らないか、知っていてもその本を喜ぶ人は1万人にひとり程度であることを知っているのだろう。100円ではないが、その店で意外な本に出会ったことがある。10年ほど前のことだ。定価は確か2万円近い。ジャズの研究書で、それが定価の10分の1程度であった。図書館にない本で、書き手はアメリカの有名なジャズ作曲家だ。その人のCDやLPを何枚か持っていて、いつかもっと深く知りたいと思いながら10年以上経っている。ともかく、そのように意外な場所で大きな収穫が得られることがあるので、最初から高をくくってはならない。そう言いながら、100回訪れてそういう出会いは1回あるかないかだ。99回の無駄足を思えば最初から出かけない方が得との考えもある。それが本当は常識人だ。だが、99回の徒労を重ねるおかげで、常識人には得られない100回に一度の獲物はあるのだ。これは暇であるから実行出来るとの声も聞こえそうだが、暇はどんな忙しい人にもある。で、昨日のその古本屋行きでもらった6冊の中に獲物と呼べるほどのものがあったかどうかだ。どれも厚さ3センチほどであるのに、1冊のみ5ミリ程度の薄いものを選んだ。定価は900円ほどだ。出版社は忘れたが、シリーズものの1冊で、ゴーゴリの『結婚』のみ収めてある。これを昨日トイレに座って一気に3分の1を読んだ。ゴーゴリは昔から気になりながら読んだことがない。分厚い本は10代で買っているので、そこに『結婚』は入っているかもしれないが、たぶんないと感じた。そして厚さ5ミリ程度ならすぐに読み終えられるし、こういう形でゴーゴリの本を初めて読むことになるのは面白いと考えた。これは、寒い中を自転車で走って同店まで行ったのであるから、何か特別の収穫がなければ悔しいという思いと裏表になっている。また、出会いとはそのようにして生まれると思いたいからでもある。
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 500円の金券つき年賀状を送って来る店は畑の隣りにある。一方、四条通りの梅津、トモイチの向かい側にあったブックオフは、数百本の蛍光灯を毎夜一斉に点け、周囲を真昼かと勘違いさせるほど勢いがあったように見えたのに、12月末で店を閉じた。今は真っ暗で、その向いにあった古い美容院の垣根にあった楓はこれからは季節感を狂わされることはないだろう。この楓の紅葉ならぬ黄葉は、「今年の紅葉、法輪寺の虹」の投稿の最後に写真を掲げた。夜であるのに昼のように楓が明るく写っているのは、ブックオフの異常な灯りの強さのせいだ。思えばその輝きは同店最後のものであった。今まであった明るさがなくなると、急にさびしい思いにかられるが、それも1週間経てば忘れる。むしろ同店がなくなって暗がりになったことは何となく落ち着く。夜は暗いものであるのに、それを真昼並みに明るくすることはない。その店に筆者は二度入ったが、ほしい本やCDがないことは即座にわかった。500円の金券を送って来る店とどこが違うのだろう。立地条件はブックオフの方がはるかによかった。これはおそらく大型チェーン店であるので、ある一定の利潤に達しなければ閉店するというその基準が500円金券店に比べてかなりきついのだろう。つまり、充分儲からないと辞めるというのと、あまり儲からなくても細々と長く経営を続けて行くという考えの差だ。ついでに書いておく。トモイチのレジ係のSについて、去年だったか、何度か書いた。彼女とはレジのたびに少し会話を交わす。数秒のこともあれば、30秒ほどのこともある。今夜も立ち寄って買い物をしたので話を少ししたが、他に数人のレジ係がいるし、また後方に客が続いている場合は長く話すことは出来ない。それにそんな話題もない。それはいいとして、一昨日Sがそっと言うには、夜8時半以降になると驚くほど客が少なくなるらしい。その前日だけのことであったのかもしれないが、そう言えば今夜筆者が訪れたのはその時間帯で、確かに客は以前より少ないように感じた。不景気のせいでしょうと返事をしておいたが、寒さのせいもあるだろう。あるいは、みんながあまりお金を使わなくなり始めているかだ。円の価値が下がって政府は喜んでいるが、これは外国のものを安く買えないことであるから、筆者にはどこがいいことなのかわからない。1ユーロが昨夜は122円していた。CDをドイツから買いたいのに、昨夜計算すると送料抜きで6万円もする。毎月少しずつ買う方法もあるが、それでは送料が割高になる。1ユーロ100円程度ならまだ買いやすいのに、この円安では数年はお預けになりそうだ。
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by uuuzen | 2013-01-27 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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