●『FINER MOMENTS』その3
食の度合いが過ぎるというほどではないが、手足や背中など眠っている間でも掻きむしることが最近多く、肌が荒れている。あまりにボリボリとやるので、全身細かいかさぶただらけだ。



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軽いアトピー性皮膚炎になってしまったかと思わないでもない。食べ過ぎか空気が乾燥しているのか、理由がわからないが、部屋が埃だらけになっているのがよくないと思う。年末というのに掃除する時間がない。今日は1冊の本を探すために8時間ほど費やした。予想もつかない場所から出て来たが、明日も探して出て来なければネットの「日本の古本屋」で買おうと思った。本の背が全部すぐにわかる状態にないのが残念で、死ぬまでに所有するすべての本を一か所にまとめて立てて並べることが出来るだろうか。それを夢見る毎日だが、たぶんそんな日はやって来ない。本を買うことをやめないし、増える一方の本をそのつど収納する場所の余裕はきっとない。どうでもいいことを書いてしまった。『FINER MOMENTS』はアマゾンで買ったが、18日に発送が遅れて29日になり、到着は来年1月2日というメールが届いた。ところが22日に発送したとのメールが来たので、これは全世界同時に届くようにゲイルが指図したのではないだろうか。購入するサイトによって入手日に差が出るのであれば、今後の発売合戦にかかわる。さて、ディスク2の最後に収められる「THE SUBCUTANEOUS PERIL」は「皮下の危機」という意味で、ザッパがどういうつもりでこんな変な題名にしたのか考えているうちに、体が痒くなって来て、冒頭の表現になった。人間の皮膚は薄いので、外からの危機にほとんど無防備だ。そのために衣服を着るが、外からの何らかの危害よりも、今は人間は内部に癌を抱えて自己崩壊する。外敵から加えられる危害よりも、自分の生活のリズムなど、敵は自分の行為にあると言ってもよい。それもさておき、この曲は20分ほどあって、突如ザッパのギター・ソロから始まって次にキーボード・ソロ、ドラム・ソロ、そしてまたギター・ソロとつながるが、録音は去年12月に出たCD4枚組『CARNEGIE HALL』と同じ71年10月11日だ。『CARNEGIE HALL』は同日の午後7時と11時開演のふたつのショーの全曲を収録したものとばかり思っていたが、そうではないことが今回わかった。ではこの「皮下の危機」が演奏されたのはどの曲の後か。冒頭の主題と、おそらく最後も多少カットしているが、この曲は「KING KONG」のソロだ。同曲は7時のショーの最後に演奏され、同アルバムのディスク2に収められる。その後アンコールが2曲ある。同じショーに同じ曲を2回演奏することはないとは言えないが、「KING KONG」のような長大な曲ではまずない。そこで「皮下の危機」は11時のショーのアンコールと見てよい。そのショーのアンコール曲は「THE MUD SHARK」で、これは15分ほどある。ザッパは同曲を演奏する前に時間が超過したので600ドルを支払うことになったと観客に言うが、その時間超過分を目いっぱい使って演奏したはずで、「THE MUD SHARK」の後、二度目のアンコール演奏を行ない、それが「KING KONG」で、そのソロ・パートのみを取り出して「皮下の危機」としたのだろう。
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 本作にカーネギー・ホールで演奏した最後の曲を含めるつもりになったのはどういう理由からか。「KING KONG」のみ2回演奏したので、どちらか片方は捨てるかあるいは別のアルバムに収めるしかない。捨てるのは惜しく、またその曲を除いた全曲はいつかアルバム化する機会があるかもしれないと考えてそっくりそのままテープを残した。それが没後にCD4枚組のアルバムとなったが、71年当時はまさかCDという長時間収録の媒体が発明されるとは夢にも思わなかったはずで、ザッパは録音はしたものの、CD4枚分すなわち11時のショーの最後の曲以外の全部をどのような形で発売してよいかわからなかった。LPにするにはかなりの曲をカットせねばならない。あれこれ考えながら、まずはその本体から分離しやすい11時のショーの最後の「KING KONG」のみを切り取り、しかも同曲とはわからない処理をして「皮下の危機」という題名にした。20分に数十秒足りない長さはどうにかLP片面に収まる。そうしてカーネギー・ホールでの演奏はまず「皮下の危機」が最初に世に出る予定であったのだろう。ここでディスク1の最後の曲「UNCLE RHEBUS」を思い出すと、これも「KING KONG」のソロだ。同曲の主題は削り、メンバーのソロがひとまず終わった直後に演奏される別の主題から始まる。この新主題はアルバム『UNCLE MEAT』の「KING KONG」には含まれない。だが、4枚組CD『CARNEGIE HALL』の同曲では演奏される。前述のようにそれは7時のショーだ。11時のショーの二度目のアンコールの際にその主題が演奏されたかどうかは、「皮下の危機」を聴く限り、わからない。不自然に終わっているので、テープをカットしていると思うが、演奏時間がまた足りなくなる恐れがあるので、ザッパがメンバーに指示を出して突如終わらせたとも考えられる。ともかく「皮下の危機」には「KING KONG」の冒頭主題も第2主題もないので何の曲のソロかはいちおうはわからない。だが、LPでもCDでも2枚組となった本作は各ディスクの最後の長大な曲が同じ「KING KONG」のソロであることはどこかザッパらしからぬ編集に思える。その一方、同じ曲のソロでも2年の隔たりでどう変化したかが聴き比べられるし、また「UNCLE RHEBUS」は「KING KONG」の第2主題から始まりながら、途中で「UNCLE MEAT」の主題が顔を出し、おまけに最後に『200 MOTELS』で公にされる曲が奏でられるから、「皮下の危機」とはかなり様相を違えている。
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 ディスク2の1「MUSIC FROM “THE BIG SQUEEZE”」はテープを早回しして音を「圧縮」したコミカルな曲で、『THE LOST EPISODES』で収録済みであった。5「SQUEEZE IT,SQUEEZE IT,SQUEEZE IT」は何を「圧縮する」のかわからないが、楽器が奏でる主題は『オン・ステージ』第5巻のディスク1の10「RIGHT THERE」の冒頭部分と同じだ。ロイ・エストラーダの即興のヴォーカルを中心とし、『いたち野郎』に収められてよい雰囲気がある。ザッパの指示にしたがってロイは声を発しているが、そのことは2「ENIGMA 1 THRU 5」にも言える。この曲もザッパが指示し、アート・トリップが打楽器を奏でる。この打楽器群の即興演奏の発展形が『バーント・ウーニー・サンドウッチ』に登場する。3「PUMPED AND WAXED」は興味深い。72年にザッパ家の地下室においてザッパひとりで録音した曲で、後年のシンクラヴィア曲の萌芽と言ってよい。当時はシンセサイザーを用い始めた頃で、その音作りを半ば遊び心で試した。自分自身を指揮して即興で奏でた曲で、2や5と通じる。4「スローガンが死ぬところからは天国はない」もおそらく即興で、マザーズ全員が演奏する。さて、3日にわたってざっと感想を書いて来たが、『ROXY BY PROXY-The License』についてその後を書いておく。このCDを1000ドル出して買うつもりでいたが、斜め読みしたTEXTを読むと、アメリカに住む人しか買えないことがわかった。アメリカにザッパ・ニュースを逐一知らせてくれる大西さんがいるので、彼に依頼して代わりに買ってもらう方法もあるものの、印税の配分についての手続きが面倒になる可能性が大きい。というのは日本で筆者が複製して販売するとして、その買い手のEメール・アドレスや名前などを収集し、それを大西さん経由でゲイルに伝えることになる。大西さん本人が販売しないので、そのことをゲイルがどう思うかの問題がある。梅村さんはシングルの紙ジャケによる製造販売が許可されるならいいがという話であった。そんなことを含めて質問メールを送ったが、返事がなかった。ザッパ・ファミリーからのメールはよく「迷惑メール」に分類されて届くし、また筆者のメールもそうなる場合がしばしばあって、読まれないうちに削除された可能性がある。あるいは「日本から買えるか」という最初の質問に呆れたのかもしれない。評判があまりよくない『ROXY BY PROXY』で、来年早々にはゲイルの何らかの発表があるのではないだろうか。1000人ほどを集める計算がアメリカのみであれば少ししんどいのではないだろうか。ヨーロッパにザッパ・ファンは大勢いるから、印税の配分云々をやめ、そして1000ドルの価格を数分の1にし、どの国からでも買えることすればどうかと思う。もちろんBARFKO-SWILLが発売しないのが一番で、発売するとしても違う内容にすればよい。そういう案も出たのかどうか、一考を期待したいところだ。最後に書いておくと、21日にザッパ・ファミリーから画像つきメールが届いた。DVD『BABY SNAKES』の音のみがダウンロードで買えるようになったとの告知だ。LPのピクチャー・ディスクでこのサウンドトラック盤が昔発売されたが、この調子ではその第2弾のCDが出るかもしれない。それはDVDを所有していれば不要であるから、ゲイルが売れるものは何でも売るという態度に出ているようで、あまりいい感じではない。
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 以上までの文章は昨夜2時過ぎに投稿した。ぐっすり眠りながらも皮膚の痒みで時たま目覚めながら、完全に布団から出たのが今朝10時半で、大西さんから届いたメールによって筆者の考えの誤りがわかった。カーネギー・ホールでの録音を隠し録りした海賊盤ないしテープは95年1月の段階では発見されていなかったらしく、ファン雑誌の『T‘MERSHI DUWEEN』の「TOURING CAN DRIVE YOU CRAZY」と題するステージの曲目を列挙したページでは欠けている。ちなみに71年10月11日前後で存在するのは6日のボストン・ミュージック・ホール、15日のプロヴィデンス・パレス・シアターで、その間がない。また、本作のディスク1の5「THE OLD CURIOSITY SHOPPE」が収録されたシカゴのオーディトリウム・シアターは65分のテープが出回っている。さて、大西さんは4枚組『CARNEGIE HALL』のディスク2,3をよく聴いたという。筆者は4ばかりを聴き、1,3はあまり聴いていない。結論から言えば「皮下の危機」は3に収録される「POUND FOR A BROWN」のソロだ。この曲を最初に聴いた時、少々短いかという気はしたが、やはりカットされていた。そのソロのフル・ヴァージョンが「皮下の危機」だ。『CARNEGIE』では主題の後、ザッパのソロが4分半ほど続き、その直後に次の曲につながる。「皮下の危機」はこのザッパのソロが3分40秒で1分弱少なく、後半部でカットしている。これはどちらのヴァージョンも完全ではないことを示すが、「皮下の危機」のギター・ソロを1分ほど削ったのは、曲全体を20分未満に抑えたかったためか。1分ほどならば大差ない気がするが、そこにザッパのこだわりがあるのだろう。また、『CARNEGIE』に「皮下の危機」そのままを組み込まなかったのはなぜか。ディスク4の「BILLY THE MOUNTAIN」に長大なソロが控えているからとしても、ステージを丸ごと収録する考えからは組み入れた方がよかった。10分ほど長くなってもディスク4の63分程度を越えず、収録は充分可能であった。また、各ディスクごとに長いソロを含む曲がある方が楽しめる。『CARNEGIE』の4枚組はザッパが編集したことが記されていない。ということは本作のテープを発見し、そこに「皮下の危機」が収められていて、それと同じ長いソロを『CARNEGIE』に収録することをゲイルやジョー・トラヴァースは躊躇したのかもしれない。そして幸いにと言おうか、「皮下の危機」ではギター・ソロが若干切り詰められている。それを本来の形に戻したものを『CARNEGIE』に収めようとしたのだろう。ともかく、午後11時のショーのアンコールは「THE MUD SHARK」のみで、「KING KONG」は二度演奏したのではなかった。「皮下の危機」が発売されたことで、ファンは『CARNEGIE』の完璧ヴァージョンを作る楽しみが出来たのかもしれない。そのことについてさらに書くと、「皮下の危機」は72年にザッパがモノラル録音から疑似ステレオに加工したが、『CARNEGIE』のマスター・テープ全体はモノラルのまま残されたようで、それをそのまま使いながらテープ・ヒスなどを除去してCD化したようだ。
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by uuuzen | 2012-12-24 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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