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●マイ・カーによる初めての大阪行きと息子のアトピー
息子が筆者の小学校の友人Kから自動車をもらったのは2年前のことだ。筆者は車の免許を持っていないので、車は息子しか運転しない。だが、アルバイトに学校と忙しいこともあって、この2年間に乗った距離は2500キロ未満。これはとても少ない。



最初の1年はぎりぎり20歳未満であったので、保険がべらぼうに高く、前にも書いたが、2回の車検費用なども含んでこの2年間に車のために使った費用は50万円以上だ。わが家の経済状態からすれば贅沢な出費だ。車をくれたK宅に一度息子と一緒に行かなくてはとずっと思いつつ、今日ようやくそれが出来た。Kはかなり以前から一度来いと言っていたが、この1、2か月でにわかに行く用事が出来た。息子はこの2、3年でひどいアトピー性皮膚炎に悩まされている。顔には症状が出て来ないので安心していたが、今年に入って少しずつ顔にも広がって来た。そのことをKに話すと、知り合いに同じ症状で悩んでいたのがいるが、ある漢方医にかかってすっかり治ったので、その薬剤師に会ってみないかと言う。藁をもつかむ思いにはまだなってはいないが、いずれKに会いに大阪に車で行くつもりをしていたから、ちょうどいい機会だと思った。それに八尾に住む母の家にも足を延ばそうと考え、ネットで地図をせっせと印刷しておいた。車にはカー・ナビはついていないので、道のわからない息子に筆者が指示せねばならず、地図は欠かせない。昔も車で京都には何度も行ったことがあるので感触はよくわかっているが、それから2、30年が経っているため、新しい便利な道路がたくさん出来て、事情はかなり違っている。高速道路を使えば1時間半ほどで着くが、息子に走らせるのはまだまだ恐いし、往復3000円少々かかるので何だかもったいない。下の道を走れば1時間ほどよぶんにかかるが、ま、懐かしい景色でも確認しながら、のんびり行った方が楽しい。
 母はまだ筆者の息子の運転する車には一度も乗ったことがない。昔、息子が生まれた時、母は黄色いポルシェの自動車を買ってくれた。四輪車だが、もちろん子ども用だ。ペダルを回転させ、ハンドルを回すとそれなりによく走って、息子は大いに喜んで乗っていた。その当時はまだ話せない時期で、1歳になるかならないかだった。運転席のとなりはもうひとりの子どもが乗ろうと思えば乗れたが、喋れない息子は笑顔で手招きして、そこに母を乗せようとするのであった。自分の乗っているのが本当の自動車で、それで道を走ってもよいと思っていたようだ。やがて話せるようになってからもしばらくその四輪車で遊んでいたが、ある日、母は息子に「○○が大きくなって本当の車を運転出来るようになったらおばあちゃんは乗せてもうらからね」と言ったことがある。筆者も息子に『約束やで』とそのことの念を押した。それから20年経った。息子はアルバイトをして自分のお金で免許を取って来た。すると、ちょうどKがまださほど走っていない車があるのであげようかと言う。そのままでは息子はペーパー・ドライバーになっていたはずであるから、すぐにもらうことにした。だが、前述のようにあまり乗る時間がない。この2年、ずっと筆者は気になっていて、母を乗せる機会を待っていた。そのことを何度か母に言ったことがある。いつも「危ないから乗らない」との返事だ。京都から八尾まで2時間半はたっぷりかかるので、そこまでして乗せるためにやって来てもらうのは断ると言うのだ。それでつい二の足を踏んでいた。だが、息子のアトピーを治すと言う薬剤師に会うついでに、そこからもう30分ほども走れば母の家に着くので、ほんの少しでも母を乗せるにはいい機会だと思った。
 それで今日は大阪と八尾に行って来た。車を運転していたのは往復で5時間半だ。便乗している者でも疲れるから、息子はもっと疲れたろう。だが、Kや別の友人Aの工場にも行ったから、息子としては父親の小学生時代の友だちがどこでどういう仕事をしているかかわかってよかったと思う。KやAは何度かわが家にやって来て、息子も会っているが、KもAも息子にはざっくばらんに話しかけてくれるので、息子も緊張せずに、むしろ気分はいいだろう。当然、筆者の母も優しいから、大阪行きの運転の疲れもさほどではないかもしれない。ネットで印刷しておいた地図は威力を発揮したが、それでも地図で想像しているのと実際は落差がある。国道1号線をとにかく真っ直ぐということだけを覚えていればよいとはいえ、ひとつ道を間違えばとんでもないところに進んで行く場合があり、ルート変更を一瞬にして事なきを得たということも2、3回あった。全く初めての道であるので、それくらいは当然だろう。出発した午前はまだしも、帰りはすっかり日が暮れていたから、夜は特に四つ辻にかかる小さな地名の看板は見えにくい。そのため、予定していた道には進めず、地図にはない道を走ることもあった。だが、これもどうにかなった。ガソリンはどれほど消費したのだろう。マニュアル車であるので燃費はよく、たぶん満タンの4分の1以下と思う。価格にして1000円程度だろうか。家族3人で八尾まで電車に乗り継いで行くと、6000円ほどかかるので、車の方がかなり安い。しかし、排気ガスの問題や道路補修の費用など、マクロの問題として考えれば、自家用車はやはり贅沢で地球環境にはよくない。だが、先進国の人々のライフ・スタイルが車を持つ方向にあって、その点をクローズ・アップして考えれば、人間の欲として車は普遍的な位置を占めている。環境がどうなろうと、また先進国がガソリンをどんどん使って、後の人々が困ろうか、とにかく人生が面白おかしければそれですべてよしという意見も、あながち間違っているとは言えない。家にこもって本ばかり読むことを楽しむ人がいて、もう一方に彼女を乗せてドライヴすることだけを人生の楽しみとする人があるとする。どちかがよくて悪いかなどは誰に判断出来るだろう。何でもありの人生ならば、限られた人生をどう楽しもうが、それはすべて正しいし意味がある。車で走っていると、若者が運転するバイクが車の間をするすると抜けて猛スピードで走って行く光景に何度も出会った。そして、ハーレー・ダヴィッドソンのバイクを扱う大きなショー・ルームも国道沿いにあった。車の排気ガスでいっぱいの中をバイクで走りたいとは筆者は全く思わないが、スピードとメカを愛でる快感を強く覚えた若者は、そんなことには頓着しない。バイクで走ることだけが人生だと若者が真剣に思っても、それはよくわかる。今日は車に長く乗りながらそんなことを考えた。車の中で思ったことはもっとあるが、別の機会にしておく。KやAに会った後、また地図を見ながら八尾に行き、母に会った。そしてごくわずかな時間だが、車に乗せて出かけた。本物の黄色いポルシェを買える身分にはとてもなれなかったが、息子にすれば20年経って約束を果たしたことになる。だが、今日はそんな記念すべき日であったことを忘れているだろう。
 息子のアトピーについて触れておこう。息子は町医者にかかっているが、症状は改善しない。アトピーの原因が複合的なものであることくらいは誰にでもわかるが、食べ物や自然環境、それに精神的ストレスという、原因の3本柱があることもまた誰しも想像がつく。今日会った薬剤師は実際にはその資格はなく、また医師でもなかった。漢方医でもない。だが、アトピー患者を300人近く抱えていて、かなりの実績を上げているそうだ。医者ではないのでどう呼べばいいかわからないが、無資格のカウンセラーと言うべきかもしれない。結論を言えば、今使用している強い錠剤を医師に相談してすっかり断ち、それに並行してカウンセラーが提供するシャンプーやスキン・ケアの医薬部外品を使用して痒みを止める。その行為を元の強い錠剤の効果が体内からすっかり抜け出る1年間続ける。その後に漢方薬で本格治療を行なうというものだ。2週間に一度カウンセラーに面会する必要があるとのことで、シャンプーやスキン・ケアの医薬部外品の1年間の費用は5、60万円になる。ただし、それを使用しても強い錠剤の使用を止めた後の症状のリバウンドの痒みをすっかり抑えることは出来ず、痒みとの我慢比べになるとのことだ。カウンセラーの話は筆者が日常思っていることと全く同じと言ってよかった。さきほどのアトピーの3つの大きな原因を改善するために、いつも食事に気をつけること、こまめに部屋や体を清潔にすること、それとのんびりおおらかに過ごし、しかも真剣にアトピーを治すことを常に念頭に置くということなのだが、これはそのカウンセラーに聞かなくても誰しもわかることだ。結局それがなかなか実行出来ないので、つい悪化させてしまうのだ。それで、そのカウンセラーは2週間に一度患者に面接しながら、先の3項目を患者が欠かさず実行しているかをチェックしようというらしい。それで年間50万円と、大阪に通い続けるという手間が必要なのだか、完全に治ればそれでもいいが、保証はない。だが、カウンセラーは完全に治すし、そもそも途中で投げ出すような意思の弱い人の面倒は最初から見る気はないと言う。ここでわかったのは、患者に対して能動的に何かをするというのではなく、あくまでも患者が治す気になって患者自ら管理してもらうという立場だ。医者でも薬剤師でもないのでそれしか出来ないのは当然だろう。そうでないと、法律にひっかかる。
 カウンセラーとのこれらの話を早速母に話した。すると、即座に「それは新興宗教と同じようなもので、患者を暗示にかけて力を引き出そうというものや。そんな無責任なのはやめとき。たくさん治したと言うんやろうけど、治らんかった者もたくさんいるはずや。そんなんにお金を使うより、部屋や肌着をいつもきれにして、好きなもんをぎょうさん食べて、それにアルバイトもやめてゆったりしたらそのうち治る。心配するほどのことやあらへん」との返事。息子のアトピーはひどいと最初に書いたが、実はさほどでもない。カウンセラーももっとひどいと思っていたらしい。だが、「そんな強い薬をずっと使っていたら、そのうち死にますよ」と恐ろしいことを言う。『強い薬でアトピーを抑えるのではなく、むしろ体内からそんな薬をすっかり排除し、その後で漢方で治すことが肝心』とするカウンセラーの言葉は、それなりに説得力はあるが、少し引っかかるのは、原価の数十倍はしているはずの、妙に安っぽい化粧品のような医薬部外品が、年間50万以上もまずかかることと、それがたとえ1年で終わった後、さらに本格的な漢方薬による治療が待っていて、それがまたどの程度の月日とお金がかかるか想像がつかないことだ。そして母が言うように、確かに実績はあるのだろうが、治らなかった人もきっといるはずで、その人々の経験談が聞けないのが少し不安だ。今日の相談では、息子の場合は原因は筆者との親子関係が大きいそうだ。これは初めから想像していたことで別に驚かないが、それならば50万も支払わなくても、もっと違う方法、しかも家庭内の問題として解決すべきだろう。300人も患者を抱えているそのカウンセラーが、2週間に一度10分かそこら息子に会い、どれだけ父親に代わって人生勉強を施し、意思の強い性格に変えてくれるのか、とても保証の限りはない。それどころか、かなり無責任な考えにも思える。症状の改善が見られない場合は叱咤激励をしてくれて、しかも先ほどの医薬部外品をずっと使用し続けることになるが、それは実験台になり続けることであり、不安は解消されないままだ。お金持ちならば、そしてあまりのひどいアトピーで困り果てている人ならば、このカウンセラーの処方を試してみることもいいが、息子はまだそんなにひどい状態でもないし、原因の要素がわかれば、後はそこそこ自力で解決出来るのではと思う。結局のところ、アトピーは完全に治癒して、その後発症はしないというものではないらしい。カウンセラー自身、ひどいアトピーになったことがあり、それで今の職業に就いたと言うが、花粉の多い今年はまたアトピーが出て、それを抑えるのに苦労したらしい。そう言えば、頬に少しアトピーの炎症が出ていた。となると、アトピーとどのようにうまく一生つき合って行くかであって、それなら、自力で調べて自分で治すという気持ちが最大の治療法ではないだろうか。決定的な治療法がないからみんなが困っているのだが、そうなれば今日会ったカウンセラーのような人にも活躍の道があるというものだ。母が言うように、もしこのカウンセラーが見た患者の100パーセントを治すのであれば、もっと有名になって名前が知れわたっているはずだ。だが、今日は最後についに筆者が訊ねるまで、カウンセラーは名乗らなかった。
by uuuzen | 2005-09-08 23:51 | ●新・嵐山だより
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