●『ROAD TAPES #1』その3
ったデザインをやめようとしたのは、本作が『オン・ステージ』集の続編としてよいからだろう。同シリーズはは文字だけのジャケットでザッパの顔写真やほかのイラストも一切使われなかった。



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それからすれば今回新たに始まるこのシリーズはケース裏面に燃える舞台のイラストを使うなど、まだ『オン・ステージ』シリーズよりかは凝っていると言うべきだろう。そこで興味が湧くのは、今後ジャケットがどうなるかだ。同じ「暗闇に炎」の絵を使い続けるのか、別の絵にするのか。いっそのこと同じ絵の方がいいが、中身のデザインは『マザーマニア』のジャケット裏に使われたベルリンでのコンサートにおけるザッパの姿で、これをたとえば70年代の録音に使うのはつごうが悪いから、別の写真を使うに違いない。ディスク盤面は本作のネタになったオープン・リールを印刷するが、このアイデアは以前にも使われた。このデザインは凝ってはいないが、アルバムの題名に釣り合っていて嫌味がない。また、このようなテープこそがザッパの遺産であり、それをそのまま鑑賞に堪えるようにノイズなどを除去してCD化していることは、ジャケットや盤面に変に凝ったデザインを施さないことともに、かえって生々しくてよい。そこで、おそらく今後の本シリーズの発売も盤面はその音源のテープ写真を使うのではないかと想像する。今回はこのテープが何分録音されたのか書かれていないが、ディスク2枚で計88分であるから、裏表で90分録音出来るテープを使ったのではないだろうか。そこでだが、ディスク2の1曲目「トラブル・エヴリィ・デイ」が始まってちょうど1分過ぎた時、テープの中断があってドアが閉まる音が被されている。この中断箇所はテープをひっくり返す際に生じた空白ではないだろうか。となると、テープA面はディスク1の演奏時間にこの1分を足した分が録音されていたことになる。それは47分15秒ほどとなり、テープは片面45分ではなくもう少し余裕があったことになる。カセット・テープもそうだが、オープン・リール用のテープも表示より2分ほどは長く録音出来たと思う。それはいいのだが、ひっくり返したテープも同じく47分ほどは録音出来るのに、ディスク2は「トラブル・エヴリィ・デイ」のドアの閉まる音からでは41分弱しかなく、6分が足りない。ザッパのステージはたいていアンコールを含めると2時間半に及んだから、このテープは最初と最後が収録されていないのだろう。残った6分は、ディスク2の最後にザッパが「グッドナイト!」と観客に向かって言うので、二度目のアンコール曲が収録されていると思うが、それが途中までしか録音出来なかったので本作には含ではないか。
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 このテープはザッパが録音したはずであることは、トレイ底にテープの箱が印刷され、そこにVANCOUVERとザッパが手書きしていることからも明らかであろう。テープを2本用意すれば、曲の途中でテープをひっくり返す必要はあるとしてもステージの最初から最後まで録音出来たのに、毎晩のことでもあって、中心部分のみ90分でよいと思っていたのだろうか。録音機を2台用意して、片方のテープが終わる頃にもう1台を動かすと、切れ目のない収録が出来るか、この方法はまだ68年では採られていなかったようだ。同じことは76年の日本公演でも言えるだろう。テープを裏返すための空白は10秒やそこらだが、オート・リヴァースの仕組みはあったはずで、それを用いれば1,2秒の空白で済んだのに、そこまで厳密にステージを収録することを考えなかったのだろう。ファンにすればCDが切れ目のない演奏であってほしいのは山々で、ザッパのテープ収蔵庫のテープが時に10秒ほどの曲の中断箇所があるならば、海賊テープに頼ってでもその部分を埋めてほしい。今の技術ならば、録音状態の違う音質の違いは、かなりわからないほどに調節出来るのではないだろうか。ただし、そこまでして完全さを求める態度はジョー・トラヴァースやゲイルにはないようだ。ファンが隠し録りした音源を10秒であっても使うのは抵抗があるだろう。ともかく、テープの中断はドアの閉まる音でごまかすという手法は今後常套化するのは確実で、それも録音の生々しさを伝えると思えばあまり気にならない。さて、本作をわざわざ発売する意図は、手短に書かれているようにヴァレーズの「オクタンドル」が収録されていることだ。この曲が終わったところでザッパは観客に向かって「グッドナイト!」と言うので、最後の「キング・コング」がアンコールだ。ヴァレーズの曲がザッパのアルバムで表記されるのは今回初めてだが、この曲はフーイー・レーベルすなわち『ビート・ザ・ブーツ』シリーズで聴くことが出来る。昨日紹介した『ELECTRIC AUNT JEMIMA』だ。そこでは表記がないが、ザッパは遅くても5月からは同曲を演奏していたことになる。この曲を公式盤にどうしても含めておきたいのは、ザッパがヴァレーズを尊敬していたこと、またアンサンブル・モデルンを使って最晩年に録音していたことが理由だろう。同アルバムは20年も発売されないままにあるが、ひょっとすればアルバム番号100に位置づけられるかもしれない。その予告として本作を発売したことは充分あり得る。
 68年のザッパはストラヴィンスキーの曲を演奏するなど、10代半ばで聴いた現代音楽のアルバムへのオマージュを表明していた。ストラヴィンスキーの引用は公式アルバムでかなり行なっているが、ヴァレーズに関しては「オクタンドル」のみだろう。同曲はザッパが最初に買ったLPでしかもヴァレーズのアルバムに収録されているから、10年以上も聴き馴染んでいた。ところがザッパ・ファンが熱心にヴァレーズの曲を聴き、わずかな断片の引用でも即座にわかるという人は少ないだろう。『ELECTRIC AUNT JEMIMA』以外にも「オクタンドル」を演奏する海賊盤があったと思うが、筆者はそのメロディをよく知りながら、ヴァレーズとは気がつかなかった。そこで早速ヴァレーズのアルバムを聴くと、ザッパは同曲の第1楽章「Assez Lent(充分遅く)」のしかも冒頭のメロディだけを執拗に繰り返して演奏していて、雰囲気にはそうとうな開きがある。先ほどピエール・ブーレーズが58年に演奏したCDで同曲を繰り返し聴いた。当然のことながら一音ずつが厳格に作曲されていて、緊張をきわめて孕んだその演奏はザッパの即興的なものとはかなり異質だ。ザッパの同曲が即興であるとは言わないが、ドラムスやキーボード、ギターが混沌として絡まる中間部はジャズで言えばソロ部分に当たり、それはヴァレーズにはない。ザッパの演奏は冒頭の主題を元にした即興演奏と言うべきで、ヴァレーズをまともにきちんと楽譜どおりに演奏する意識からは遠い。ジャズ・ロック・バンドであってヴァレーズが同曲のために設定した楽器編成とは違うので仕方がないところがあるが、第1楽章のみを演奏するのであれば、もう少し忠実であってもよかった。ついでに書いておくと、ヴァレーズはこの曲をフルート、クラリネット、小クラリネット、オーボエ、バスーン、ホルン、トロンボーン、コントラバスの計9名用の楽曲として書いた。この人数はこの頃のマザーズと大差ないが、いかんせん楽譜を読めるメンバーはザッパを含めて半分ほどであった。そのせいだとは言わないが、68年の演奏はソロ部分は時としてかなり冗漫に流れる。そのことをザッパは知っていたはずで、であるからこそライヴ録音をスタジオで音を重ねたりして『バーント・ウーニィ・サンドウィッチ』や『いたち野郎』を作った。そうしたアルバムからすれば本作は油絵のための素描であって、同じようなものが大量に存在することは道理だ。とはいえ、素描もまた見どころがあるのは確かで、それも含めてザッパの全体像がある。ゲイルやトラヴァースはそれを思ってこうした音源をCD化している。
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 昨日アマゾンで今月中旬に発売される『FINER MOMENTS』を注文した。ジャケットに『バーント…』のジャケットが描かれているところ、このアルバムも本作と同様68年の録音ではないだろうか。そうであれば昨日載せた68年の5枚のアルバムに加える必要がある。不思議なことにこの新譜はBARFKO-SWILLでは予約を受けつけていない。このザッパの会社とアマゾンの関係がよくわからない。アマゾンで買う方が手っ取り早いが、ゲイルは自社から売る方が利益があるのだろう。アルバムによってはアマゾンから発売されないものがあり、『ROXY』はどうなるだろう。これがアマゾンから出るのであれば2000円台になるはずだ。薄利多売を狙うか、それとも付加価値を高めてBARFKOから4000円や5000円で売るか、これが予測つかないが、どちらからも売ることもあり得る。最後に通販で買い続けているアルバムを積んだ写真を載せる。発売順に並べてあるが、このてっぺんに『ROXY BY PROXY』を置くかどうか迷っている。先ほどはその件で梅村さんとメールを交わし、限定100枚か200枚として、きちんとした印刷などで作ってネット販売する思いのあることを伝えた。経費がどれほどかかるかまだわからず、また販売方法はこのブログを利用するかネット・オークションくらいしかないので、そもそもファンの目に留まるかだ。ライセンス盤が届くには早くて3月初め、それから複写盤を作るとしてジャケットの印刷などの日数から、販売は4月になるだろう。BARFKO-SWILLが同じCDを発売するとして、その時期はもっと遅れるはずで、そうでなければライセンス盤を買った人が文句を言うだろう。少しでも早く聴きたい人、またBARFKO盤より安い方がいい人はライセンス盤の複写を買うだろう。その人数が日本で100か200いれば元が取れると胸算用する。申し込みの期日まで2週間だ。さてどうしたものか。関心のある人は意見を書き込んでほしい。
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by uuuzen | 2012-12-05 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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