●ザッパのCD代理販売『ROXY BY PROXY-The License』
差で始まったものがやがて大差が生まれる。同じように小さな種子でも育つ環境によって大木になるものもあれば、すぐに枯れてしまう場合もある。



d0053294_2029988.jpg「今に見ておれ」と思っても、その今が訪れないままに死を迎えるのがだいたいの人の生の営みだが、負け犬を認めたくないので、何かにつけて不満をぶつけ、「今に見ておれ」を思い返す。ザッパが音楽ビジネスで見た無慈悲な世界は、音楽の創作とは別にどうすればビジネスマンとわたり合って損をしないかを考えさせたはずだ。その一方で大きな問題となったのは、搾取する存在がレコードの配給会社だけではなく、海賊盤業者であった。前者は自社レーベルからの通信販売企業を起こし、後者は海賊盤そのものをコピーして販売する方法で、これはフーイー・レーベルから第1、2弾とまとまった数が販売され、第3弾はダウンロードのみで利用出来る。そのうちゲイルが大いに困り果てたのは、パソコン内に保存しているファイルを共有するソフトの出現だ。自分で買ったCDを自分のパソコンに収めるのは罪ではない。ところがパソコン同士がつながって、お互いに無料で保存しているファイルをダウンロード出来る仕組みが、誰も心を痛めないままに横行し始めて野放しになっている。筆者はその方法を知らないし、また知ったとしても通販で購入するザッパの新譜をそうしたファイル交換ソフトを通じて無料で見知らぬ人に提供するつもりは全くない。ゲイルがザッパの名を使う他人の行為をことごとく裁判に訴えようとするのは、ザッパの名前で他者が儲けることが容認出来ず、また収入源を侵害されているからで、これはゲイルの立場になれば理解出来る。通販で売るザッパの新譜は数千からせいぜい数万枚までのはずで、CDの売り上げは思ったほど多くはないだろう。ザッパが金持ちになって行ったのは、日本の芸能人と同じく、地方への営業活動による。つまり、各地でのコンサートだ。それがなくなったので、息子にZPZを結成させ、ツアーで各地を回るようになったのだろう。またツアーはCDの売り上げを促進もする。ところがザッパが生きていた20世紀と違って、ここ20年で海賊盤被害の様相が大きく変わった。前述のファイル・シェアリングによって罪悪感を持たずに誰もが無料で音楽を聴こうとする。その結果、今ではCDの売り上げも落ちる一方だ。そこでゲイルが考えたことは、CDをコピーすることはもはや防ぎようがないので、そのコピーしたものを公式盤と認めて販売させることだ。このことについては9月29日のザッパ・ファミリーからのメールで予告された。今朝その続報が届いた。以下それを説明する。
 ザッパの最晩年から73年のロキシーでのライヴ演奏の映像が発売される話があった。それが20年も引き延ばされているのは、収録した音源と映像のそれとがうまくシンクロ出来ない箇所が多いからだろう。音だけならばどうにでも編集出来るが、映像を伴うとなるとその仕事の複雑さは想像を超えているだろう。しかもデジタル時代ならばまだしも、73年のことだ。画像の質もある。そうした問題をすべてクリアしてDVDやブルーレイで発売し、また劇場での公開を目指し続けた結果、新たな問題が生じた。いや、これは最初からわかっていたことだ。資金が足りないのだ。借金してプロジェクトを完成させるのはあまりに危険が伴う。そこでゲイルが考えたのは、いかに合理的に金を集めるかで、BRFKO-SWILLの通販で培った固定ファンからの手助けだ。そのことが今朝のメールで知らされた。12月21日のザッパの誕生日まで1か月を切っているが、ともかくその日までに申し込むことが条件となっている。いつもなら即日CDを注文する筆者だが、今回は少し事情が複雑だ。それにとても高価だ。73年12月9、10日のロキシーでの演奏を76分のCDに収めたものが、注文者の名前の刻印入りで1000ドル、これに7ドルの送料がかかる。今日は1ドル82円11銭であるから、82685円だ。1枚のCDでこれほど高価であるのはほとんど例がないだろう。ゲイルはこのCDの予約者数を1000人ほどと見ている。18歳未満は注文出来ないが、このCDをほしがる18歳未満はいないだろう。予想どおり1000人が注文すればゲイルには8200万円ほどが転がり込む。これがロキシーの映像作品を生み出す経費になるから、ファンとしてはその思いに賛同したいが、8万円以上の価格ではすぐには注文する気にはなれない。そこで今日は急きょこのCDについて書くことにした。
d0053294_20323446.jpg ザッパが願っていながら未発表になっていた映像作品がファンの力を結集して世に出るのは感動的な話だ。それはいいのだが、音楽は無料と思っている人が非常に多い時代で、CD1枚8万円はまずほとんど誰も振り向かない。誰かがどうせファイル・シェアリングするであろうから、そこで無料でダウンロードすればいいと思うに違いない。そこでゲイルが考えたのは、この1枚1000ドルのCDは注文者に複製の権利があるマスターCDであるということだ。つまり、購入者はこれをパソコンでCD-Rに複製して販売することが出来る。価格は自由に設定してよい。ジャケットや解説はマスターCDと一緒に送られて来るからそれをカラー・コピーする。ところが、販売者は何枚売ったか、また誰に売ったかをゲイルに報告し、1枚売るたびに1ドル20セントをゲイルに支払う。これは黙っていればわからないはずなので、ゲイル側がどうチェックするのかわからない。このマスターはレコード会社が複製販売を手がけることは出来ない決まりで、これは海賊盤業者にもどんどん買ってもらって正しい方法でCDを売ってほしいという思いからであろう。CDを売るのに個人ではどういう方法があるかと言えば、思いつくのはネット販売くらいしかないが、ネット・オークションが許可されるのかどうかはゲイルに質問しないことにはわからない。また販売の際、個人が作ったジャケットなどを使う場合、ゲイルの許可を得なければならない。これに違反すると悶着があるだろう。またCD-Rでは商品価値がないと思う人は、ザッパ・ファミリーが利用しているCDのプレス屋から卸値で買うことが出来る。それは送料は別で1枚11ドルだ。このCDは工場でのプレスであり、またレーベル面には発注者のマスターであることが印刷される。CD-Rとは違って市販されるものと同じ雰囲気があって、こちらの方が断然いいが、送料を含めると1枚1400円ほどになるだろう。それが卸値とはいささか眉唾だが、小ロット生産であるのでそのくらいの価格にはなるか。だが、注文して出来上がりまでが1か月、届くのが同じくらいの日にちを要して、商品が手元に届くのは2か月先か。それから販売では買いたいファンも待ち切れない。それに1400円で購入したものをいくらで売るか。また何枚売れるか。というのは1000人がマスターCDを購入したとして、ネット上にはきっとすぐさま値下げ合戦が始まる。薄利多売を狙って送料込みでCD-Rでは300円程度で売る者が現われるかもしれない。そうなると1枚1400円で作らせた人は在庫を抱えることになる。おまけに心配なのは、そうしたマスターCDからの複製を買った人が自分でCD-Rに複製し、それを販売する可能性があることだ。そのようなことがあっても、ゲイルにもまたマスターを1000ドルで買った人にもわからない。ということは、このプロジェクトはほとんど1枚のCDを1000ドルで買わせることに等しい。
 それでもその方法でしかCDが買えないのであれば買うしかないというのがファンの思いだろう。ところがゲイルはこのマスターCDと同じ内容かどうかわからないが、BARFKO-SWILLを通じて通販することを考えている。これが1000ドルマスターより曲が少ないのであればいいが、その逆に2枚組の豪華版になるかもしれない。しかもそれがおそらくせいぜい4000円ほどで販売されるだろうから、そっちの発売を待とうという人が多いのではないか。筆者の気持ちも今はそこに傾いている。そのCDの通販は12月21日のマスターCDの注文締切後に始めるはずで、1000人に及ばなかった時は4000円程度を思い切って1万円以上に高く設定するかもしれない。またこれはどの程度期待出来る話なのか、ゲイルはマスターCDを購入した人に対して、この通販盤の儲けをプールし、マスターCDから複製販売した数に応じて利益を配分してくれるらしい。これは前述したように、8200万円ほど入手出来ればひとまず映像作品を発売することが出来るので、そのサウンドトラック盤としてのCDの利益は映像作品の実現に力添えしてくれた人に分け与えるということだ。また映像作品に協力者として名前がクレジットされるから、ファンとしては一肌脱ぎたい企画ではある。マスターCDを買ったとして、それを複製販売すると、筆者とゲイルに利益が生じる。これはゲイルに言わせるとレコード・ビジネスに倣ったとのことで、うまく考えたものだ。無料で音楽を複製する人が多いことを逆手に取り、複製させたものを罪悪感ではなしに、ゲイルに協力するという思いによって売らせようとする。筆者の周囲にザッパ・ファンはいないので、8万円で買っても1枚も複製せずに手元に置く可能性が大きいが、1枚2000円として、20人も注文があればマスターを4万円で買ったことになり、まだどうにか納得出来る価格かと思う。だが、その20人をどうして見つけるか。ネット・オークションで販売出来ればいいが、これは許可されるだろうか。それが無理なら、このブログを通じてほしい人を見つけるしかないが、意見の書き込みがさっぱりないブログだ。マスターは締切直後に全員に同時発送されるというが、年末の発送でもあり、日本に届くのは1か月ほどかかって来年1月末だ。アメリカより3週間以上も遅いとなれば、これは僅差とは言えず、複製CDの販売合戦に大きな遅れを取ってしまう。仕方のないこととはいえ、そういうハンディをゲイルはあまり考えていないだろう。最初に書いたように、音楽ビジネスは大変な世界で、成功者は稀だ。そのことをアルバム『ジョーのガレージ』はテーマとする。マスターCDを買ってマフィンを焼くようにCD-Rをせっせと焼いても、それが飛ぶように売れて儲かるかと言えば、おそらくそんなことはない。
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by uuuzen | 2012-11-29 20:30 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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