●嵐山駅前の変化、その245(ホテル4階、その2)
宿泊客がまだない時に阪急嵐山駅前のホテルの内覧会が行なわれた。そのため、すべての部屋を自由に見てよかったのは幸いであった。すぐにでも客が泊まれるように準備は整っていたから、内覧会の夜から予約客があったと思う。



部屋の窓はほとんど閉まっていたと思う。それを開けて外を撮ったのは、いつも筆者が立って撮る場所を見下ろしたかったからだ。もうひとつの関心事であったのは部屋の内部にかけられている絵だ。これは1階のフロント前の西陣織を貼りつけた屏風から想像出来るように、名のある作家のものは使われていなかった。中国人が主に泊まるのであればその方がいいかもしれない。観光に来る外国人は日本の画家に対する知識はほとんど持たない。皆無と言ってよい。ならば西洋の名画の印刷でもという発想は、京都ではまずい。それで印刷ではなく、本物の京都らしいものとなれば、作家ものより無名のキモノに関係する工芸品の方がよい。京都に現代の有名な工芸作家がいないことを宣伝していることになるが、この点はもっと高価なホテルでは違うだろう。今はどうか知らないが、京都駅のグランヴィア・ホテルには京都の染色家の作品がオープン当時は飾られていた。その作品は筆者であるからわかったようなものの、染色作家は陶芸家ほどには知られない。それでも作家の作品はそれなりに風格がある。芸術好きな外国人にはそれがわかるはずだ。これは前に書いたが、韓国のホテルに泊まってとても印象的であったのは、部屋やロビーに飾られる絵画だ。現代絵画で、日本のそれとは違う。そういう作品をまとめて見せてくれる場所がないものかと思ったが、パック旅行ではそれも無理だ。ともかく、絵の好きな人は知らない場所に行けばそこで新鮮な作品に出会うことを内心期待している。そしてそれはホテルが一番手っ取り早い。美術館はもちろんだが、そこではもっぱら日本でもよく知られる古い作品ばかりだ。現代、現在の作品を見ようとすれば画廊に足を運ぶしかない。ところが、それは旅行者にはあまりに限りのある出会いだ。これは京都三条神宮道の画廊主から聞いたが、前を通る外国人観光客がたまに個展で展示している作品をほしいと言うそうだ。本当は会期終了後に引き渡すが、客は明日はもう別の場所に移動する。それでカードで代金は支払うので、その場ですぐに梱包してほしいと言う。10万ほどのものならそのように買う客はたくさんいる。日本旅行の印象を長く記憶するにはそのように現在活動中の作家の作品を買うことは望ましい。それはごく一部の大金持ちだけが許された行為ではない。ある人がこう言ったことがある。『自分で描くので他人の絵は必要ない。』 これは違うだろう。自作は自宅にあまり飾りたくないもので、尊敬する作家のものを目にしたい。ピカソやマティスでも他の画家の絵を買った。自分で描く絵と、他人の絵をいいと思うこととは別問題だ。また、自分の絵を一番と思うのは勝手だが、先の考えを言った人はサラリーマンで、絵はド素人だ。そんな自惚れの強い人に絵を見る力があるはずはない。現在の名手を見分けられないし、10万も出して絵を買う意識など理解出来ない。いや、これは筆者が異常なのかもしれない。先週筆者はほしい作品を見つけた。75万円する。無理すれば買えないこともないが、すぐにほかにほしい絵が出て来るはずで、次々に買い込むと際限がない。そう思いながらやはりほしいのでどうしようかと思っている。
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 それにしても筆者の年齢で絵を買っても、楽しむのはせいぜい10数年しかない。人生はあまりに短い。その作品はまた別の人の手にわたる。そして筆者と同じことを考える。名画では誰が以前に所有していたかが付加価値となる。筆者はそんな名作を入手出来る余裕はないが、筆者が所有していたことを後の人が何らかの形で知ってほしいとの思いはある。それには有名人になる必要がある。それはもう無理なので、せめて筆者が持っていたことを何かに記録しておきたい。そのひとつの場所としてこのブログは便利だ。それもあって、ブログを始めた時に『骨董世界漂流記』というカテゴリーを設けた。いくつかの理由があって、それはまだ本格的に書いていない。またブログをいつまで続けるのかという思いとも関連していて、結局同カテゴリーはそのままになるかもしれない。先に書いたように、京都で有名な染色家であっても日本ではほぼ無名同然であるから、筆者が染色で有名になることはもうあり得ないが、その本職でもう少しましな作品を残しておかねばならないとの思いはある。作品に満足してこれでおしまいということはどんな作家にもあり得ない。少しましな作品を生んだところで、また次作という気持ちが湧く。そのようにして筆者はそれなりに作品を作り続け来たが、京都のほとんどどの染色作家とも同じで、作品が売れることはほぼあり得ない。それは展示する場所と時があまりに少ないことと、染色の知名度の低さのせいだ。制作時間は作品の質に無関係という意見があるが、数日で仕上がる作品と筆者のように1年に3、4点も出来ればいい作品が同列に見られて、価格も大差ないとなれば、誰も筆者のような仕事をしようとは思わない。第一、生活が出来ない。それを知りながら筆者はそれなりにたくさんの作品を作り、ほとんど手元に置いている。たまには売れたが、時間給にすると100円にもならないだろう。なので、もう本職の染色はいいかと思わないでもない。その一方で作っておきたい作品の構想がある。そのための時間が少なくなって来ている。どうせ誰も見ないし、見ても理解出来ない作品など作るのは無駄とわかっている。それでも作るという作品しか、本当は価値がないと考える自由はある。またそれほど激しくなければ納得が行く作品は生まれない。さて今日の写真は昨夜と同じく、ホテル4階の客室から。窓の外は3日前と同じ角度で、桜の林が50メートルほど先に見える。眼下の駐車場は艶消しだ。宿泊客はそれを見ないようにして中景から遠景に視点を合わせる。ネットにはこの角度の写真は投稿されているかもしれない。だが最初に撮ったのは筆者だ。4階から撮った写真はもう3,4日載せる。
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by uuuzen | 2012-09-23 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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