●嵐山駅前の変化、その239(ホテル1階、その1)
けを第一に考えるのが企業であるから、ごく一部の人だけがわかるような無駄には金を使わない。そういう酔狂は社員の多くから不評を買う。そう思えば民主主義はつまらないものに人気が集まって、飛び抜けて手間のかかったいわゆる贅沢品の生産は減少せざるを得ない。



もっとも、民主主義の世界でも昔の王侯貴族並みの大金持ちはいるから、事情は昔とさほど変わらないと言えるが、代々続く大金持ちはイメージしにくく、花火のように一瞬だけ裕福であったという人が多いように思う。そのように底が浅い現代の金持ちはやはり王侯貴族のような破格の贅沢な生活は許されないから、買うものはせいぜいしれている。そのため、今は一品物の時代ではなく、金持ちであればそこそこ手が届く高価格な複数生産品が売れる。それはほかの金持ちに自分が金持ちであることを示すには最適だ。みな同じブランドのものを持っているからで、これが誰も知らないような名工がたとえば数十年費やして作ったものを所有していても、誰もその価値を認めない。やはり民主主義は安っぽい。芸術が生まれない時代だ。あるいは昔とは芸術観が変わった。スターの価値が低下したのと同じだ。今では本当に人並みの顔であれば誰でも有名人になれる。10代の女性が束になって日本各地で売り出し、数年過ぎれば大半が消えて行くという消耗品扱いだ。そんな一時でも有名になりたいと思う者が芸能界に溢れ過ぎると、本物のスターがいよいよ逆に漫画的な存在になってしまう。悪貨は良貨を駆逐するのたとえだ。今は悪貨としての砂利タレントが大手を振る時代で、そのことは社会の隅々にまで浸透しているはずだ。良貨らしきものは確かにあるが、本物の良貨の価値はほとんど誰にもわからないから、そのらしきものがいわゆる金持ちの所有物となる。そこには一抹の悲哀が漂うが、当人たちはそれに気づかない。それどころか世の春を謳歌してその限りなく贋良貨をありがたがる。だが、それでいいのだろう。何しろ絶対君主と奴隷がいるだけの世界から誰しも金持ちになれる民主主義が到来した。民主主義の時代の芸術家こそ万歳で、王様に仕えた芸術家は恥を知れだ。ま、そこまで露骨には言わないまでも、クラシック音楽をろくに聴きもしないで侮る軽音楽ファンは少なくない。それに「軽」などと呼ばれることに我慢がならないだろう。どんな音楽を聴こうが、また何を崇拝しようが自由な民主主義であるから、悪貨を歓迎してもそれは勝手だ。そういう人とそうでない人が出会わない可能性は大きいが、それは双方にとってつごうがいいから問題はない。
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 今日は去年9月12日に駅前ホテルに入って撮った写真の続きを3枚載せる。玄関を入って記帳する場所があった。それは昨日の2枚目に見える。そこで履物を脱いで下駄箱に入れた。ちょうど銭湯のそれを思わせた。土足で歩き回れないところが旅館風だ。記帳場所の裏側がフロントで、その前の領域が女将のもので、客を見つけては礼をしたり質問に答えたりするようだ。女将は50代半ばか、かなり客あしらいの慣れた長身の人で、どこかから引き抜いて来たのだろう。ホテル支配人と副支配人のあいさつを聞いたが、副は正より20歳ほど若く見えた。こう言えば叱られるかもしれないが、女将の完璧なキモノ姿に比べて、ふたりの支配人の身なりはそれほど金がかかっているように見えなかった。そこが一流ホテルとの差だ。またその方が威圧感がなくていい。客へのサービスを思えば、あまり金のかかった仕立てを感じさせるスーツではまずいだろう。それに嵐山は田舎で、そんな服装であってもほとんど誰も気づかないだろう。それは昨日の写真からもわかるだろう。いくら内覧会とはいえ、あまりにも普段着過ぎる、いや仕事着のまま着ている人が少なからずいた。それはさておき、今日の1枚目は靴を脱いで下駄箱に入れてすぐ、次に部屋に入り、そこからさらに次の部屋に向けて撮ったもので、左端に屏風が見える。これは部屋の端にあって、真正面にフロントのカウンターがある。2枚目の写真は、屏風の前から1枚目の部屋を撮ったもので、左奥の下駄箱のある部屋は右手のタオルなどを置いた部屋より狭い。ほとんど田舎のスーパー銭湯を思わせながら、それよりはるかにせせこましいことに驚いたが、この小ささが京都らしい。土地を法律ぎりぎりに最大限に活かし、儲けを最重視するとこういう間取りになったということだろう。箱庭細工のようなその手際は、本当は貧相さを明かしているが、外国人はその模型のような小ささに日本らしさを見て記憶に長く留める。欠けているものは何もないが、全部最小限の大きさだ。幕の内弁当がそうだ。そのことはタオルや浴衣を棚に並べる部屋の次、屏風のある部屋にも言える。そこはフロントがあって、なくてはならない、ホテルの顔としての部屋で、それなりの風格が求められる。となればどういう美術品を飾るか。実はこの内覧会で最も楽しみにしたのはそのことだ。屏風が飾られるほどの広い場所があるかどうか。この予想はかなえられた。ただし、屏風は六曲半隻で、台に乗せずに人の歩く床と同じ平面に置かれていた。次の部屋との往来の際、触る人も少なからずあるだろう。それを見越してか、西陣織の裂地を貼り合わせたものが用いられている。これは帯の半端裂で間に合うから、数十万程度の原価だろう。筆者には貧相なものに見えるが、京都の染織を知る人は万にひとりで、そこに屏風があって、それが西陣織を使ったものであることさえ知られない。民主主義の社会ではそれでよく、特別豪華な屏風など置く方が間違っている。
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 ホテルが建設されている間、フロントの部屋に友禅染の屏風かキモノなど飾れる場所が確保されるだろうかと考えたことがある。もしそうであれば、同じ町内でもあるし、また筆者が自治会長をしているので、自作を売り込むのもいいかと思った。それにはまず内覧会で様子を見てからで、去年の今頃はかなり期待もしていた。ところが今日の写真でわかりうように、何か美術品は必要と感じながら、作家物ではなく、京都の普通代名詞的な西陣織のお出ましとなった。これは予想外であったが、曲りなりとも屏風であることはいい。嵐山であるからには、嵐山か、その桜や紅葉を画題にした美術品が好ましい。それは重々承知しながら、予算がなかったというのが実情かもしれない。何しろ儲けを最大にするには出費を抑えねばならない。美術品は必要でも最低ランクのものでよい。そうでなければほかの物を差がつき過ぎる。それはわかるが、やはりせっかくのフロントの真正面、お客さんがまず部屋に入って行くというその通路状の部屋の最も目立つ場所に普通名詞の品はない。とはいえ、誰か著名な芸術家の作品となると、汚されては大変だ。それにガラス・ケースに収めるのも無粋だ。筆者が特別に染めた六曲一双の屏風でも飾ってもらおうかという夢はたちまち崩れた。それで思ったのは、買った隣家を改装して自作と収集した絵画の展示をすることだ。それは今も断念していないが、筆者にとっての大金を費やして望みを達しても、ほとんど誰も見に来ない。それでもかまわないが、その経済的余裕がない。妹からに言われたのは、「思ったら即やるべし」であった。前にも書いたように、その思ってすぐのことを実現しても、せいぜい10年ほどしか元気でいられない。それで、その隣家を改装した専用ギャラリーを「10年画廊」と名づけようかと思った。オープンから日をカウント・ダウンして、ちょうど10年目に閉廊する。何事も10年ほど続けねば人に知られないが、その10年で思い切ってやめてしまうというのが筆者らしい。人々が気づいた時には消えていたというのが、何となく格好いい。「10年画廊」を始めたとして、その10年間に、のべではなく、実質何人がやって来るかを記録するのも面白い。それらの人とはすべて筆者は話を交わす。最初の数年はまず1週間にひとり程度だろう。それが10年目に入ると1日ひとりには増えているかもしれない。そうそう、無料では公開しない。ひとり1000円か2000円は頂戴する。その代わり、お茶と筆者の話つきだ。それがいやな人は来なくてよい。それに民主主義ではあるが、金を払えば誰でもOKということにはしたくない。1階と2階を画廊に使い、3階は倉庫だ。展示作品は毎月変える。そして春と秋には本当に気に入った作家だけに声をかけて個展を開いてもらう。また年に1回はザッパ祭りを開いてもよい。
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by uuuzen | 2012-09-17 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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