●嵐山駅前の変化、その216(ホテル、脇道)
向音痴を自覚しているので昨夜はネットで地図を納得行くまで確認したのに、やっぱり道を間違えた。今朝は珍しく早く起きて大阪に出かける準備をした。



半ばは昨夜済ませておいたが、侮ったのが間違い。忘れものをひとつしてしまった。昨夜はひどい雨で今日は出るのが億劫であったが、昨日の昼に大阪の古本屋に電話して今日出かけることを約束したので、無理にでも出かけねばならない。少し小降りになるのを待ってからと思っていると、9時過ぎに雨が上がった。それでも油断出来ない。傘は持って行く。結局使うことがなかった。大阪に出ると曇天だ。午後1時過ぎに中央大通り沿いを歩いていると、竜巻が起こるのかと思わせられるほどの大風で、歩道際に停めてある自転車がバタバタと倒れる。それでも雨よりはるかにましだ。今日歩いたルートを書いておくと、阪急梅田からまず中之島の府立図書館に行った。すぐに終わると見込んでいた調べものが案外手間取り、正午過ぎまでかかった。また、収穫と言えるが、次に調べるべき大量の資料を所蔵する機関がわかったので、1,2か月以内にそこに訪れる仕事が出来た。府立図書館は冷房の設定温度が低過ぎて、洟汁が出るほどであった。いつも3階の向かって右手の貴重書室に行くのが習わしだ。そこはいつも筆者のみの状態で、貸し切りの豪華な気分になれる。2階にコピー室があるが、前回行った時とは違う部屋に変わっていた。また、2階から3階に上がる中央階段に靴底の足跡が10個ほど映写されていたのが気になった。その白く光ったり消えたりする足跡は強盗のもののようで、ザッパの曲「SINISTER FOOTWEAR」を思い起させた。美術家のインスタレーションだろうか。何の催しか知らないが、趣味はがよくない。帰りがけに階段を下りながら館の若い女性職員と横並びになった。彼女も不思議そうにその足跡の映写を見るので声をかけた。すると3階の左手の文化何とかと札のかかった部屋を示しながら、「たぶんあそこにいる人と関係あると思うのですが」と答えてくれた。「それにしても趣味が悪いですよね。泥棒の足跡みたいで。」彼女は笑いながら同意したが、館の職員でも知らない催しがあるのは少々意外だ。
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 先頃、この府立図書館の蔵書を市立図書館に全部移動し、館をもっと金を儲ける施設にすると橋下市長がTVで語った。確かに中之島の超一等地にあって、あまり利用者のない図書館にしておくのはもったいない。だが、最初から図書館として建てられたもので、また重要建築物に指定されているので、カフェなど飲食を供する施設に衣変えすることが出来るだろうか。この図書館はすぐ近くの大阪市庁の職員がよく調べものをするという。近くにあってすこぶる便利だが、数キロ離れた市立図書館に併合されると何かと手間取るだろう。筆者は一時期この市立図書館にも頻繁に通ったが、地下鉄の乗り換えが不便だ。帰りは徒歩で難波に出ることもたびたびあったが、その道が殺風景なのには閉口した。橋下市長の無駄を切り捨てる手並みは今までの市長が手がけなかったことをどんどん実行して、その手腕は見事なものがある。財政が破綻しているのであるから、1円でも無駄に出来ない。また儲かることにはどんどん手を広げる思いも理解出来る。ただし、その儲かる云々は長期の目で見る必要がある。特に文化についてはそう言える。大阪が東京に伍する「都」と名乗ろうとするのであれば、大阪らしい文化を発信する必要がある。それを橋下市長は吉本のお笑いと考えているが、それはまだまだ歴史が浅い文化だ。それも確かに集客にはいいが、もっと古くて伝えて行くべきものがある。その代表は文楽だ。この年間の補助予算をばっさり切ることが最近の話題にあった。それを落語家の桂三枝が市長を訪問してやんわりと説得にかかったが、聞いてもらえなかった。「落語は時代とともに大衆に歓迎されて生き延びて行く文化であるので市や府からの援助は不要だが、文楽は違う」というのが三枝の意見であった。全くそのとおりではないか。市長の言い分は、文楽の担い手である人形使いと浄瑠璃師との、特に金銭的な分配関係が不明瞭というものがあったが、公的援助は1億5000万ほどで、それを全額休止するとなると、もう文楽は活動不可能になるだろう。これとは別に先日は大正区にある人権センターを廃止することも決まったようだ。その施設は2度訪れたことがある。人権と言えばすぐに同和を連想する展示内容になっていて、茨の輪を日の丸の代わりに染め抜く水平社の旗が展示されている。これを見た橋下市長は「人権すなわち同和」という展示が気にいらないらしく、小学生が訪れて将来の仕事への具体的な夢が持てるような展示内容に改めるべきと注文を出した。そのことが人権とどの程度関係があるのだろう。それはハロー・ワークに類する機関がやるべきことで、人権は何も小学生だけを対象にしていいものではない。だが、職員の考えは受け入れられず、いずれ廃止される。このほかにも大阪はもっと巨費を投じながら、さっぱり人が入らない施設をいくつも作ったが、どれも廃止だ。赤字の施設を廃止するのは性急過ぎる。文化が即座に儲かるものと考えること自体、あまりに商人的な考えだ。だが、そんな呑気なことが言っておれないほどに財政が逼迫している。そのため、地下鉄を民間に払い下げ、市職員も大幅に少なくする。それはわかるが、一度廃れたものは復活が難しい。伝統文化はそうだ。大阪を代表する文楽の1億5000万程度はどうにか回せないものか。難波の吉本ビルの向かい側の書店が入るビルの階上にワッハ大阪というお笑いの博物館がある。その賃貸料を大阪は年間1億数千万円払っていて、橋下市長はそのことを吉本に対してぼったくりと表現し、施設の廃止を唱えた。値下げになったのかどうか知らないが、ワッハ大阪の建物の賃料と文楽への補助予算がほぼ同じと聞くと、いかにお笑いが儲けているかがわかる。だが、正直なところ、外国の知識人が日本のお笑いと文楽を天秤にかけて、お笑いが勝利と言えばみな唖然として笑い出すに違いない。芸能はあっても芸術の知らない国が日本ということだ。その代表が大阪となれば、さて都の資格が本当にあるだろうか。
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 府立図書館を出た後、御堂筋を南下した。すぐ右手にスーパーが出来ていて驚いた。御堂筋のビルの1階にスーパーとは、時代が変わった。あるいは大阪らしい。時代が変わったと思わせられたのは、曽根崎のお初天神前にあった有名な宝石店がなくなっていたことだ。今時の若い人はティファニーやブルガリといった外国の貴金属をほしがる。日本の老舗はもう太刀打ち出来ない。次にどんな店が入るのだろう。飲食店かスーパーか。御堂筋を中央大通りの本町まで歩き、INAXギャラリーに入った。ここも以前と変わった。まず看板が違う。INAXの文字がどこにもない。ギャラリーは、タイルやトイレ、キッチンの展示場を通り抜けた奥、前と同じ区画にあるが、いつも用意される正方形のブックレットが製作されていなかった。そのことを係員に訊こうかと思いながら、みな接客に忙しそうであった。同ギャラリーを出た後は中央大通り沿いに大阪歴史博物館まで歩いた。途中までは船場センタービルの中を進んだ。「長さ1000メートルの散歩道」という看板が揚がっている。外は蒸し蒸しするが、この繊維問屋街のビルの通路は冷房がよく効いている。繊維店ばかりではなく、野菜果物を売る店、古本屋、骨董店もある。そんな雑多な雰囲気が面白い。その両側に店が張りつく長い通路を抜け出ると、信号をわたらねばならない場所がある。そこで青に変わるのを待っていると、1枚のしわくちゃになった新聞紙が風で飛ばされて筆者の眼前を東へと運ばれた。その東は上り坂で、やがて歴史博物館が入るNHKの建物に着く。先に書いたように、中央大通り沿いの幅広い歩道を歩いていると、台風のような突風が吹き、自転車があちこち倒れた。それを高齢の係員が仕方ないなという笑顔で立て直していた。ふと見ると、先ほどのしわくちゃの新聞紙がまた風に舞って筆者の眼前に姿を見せ、一気に交差点を北に運ばれた。筆者が見かけてから数百メートル移動したことになるが、その交差点で別れた。さらばしわくちゃ新聞紙。クーラーがよく効いた歴史博物館では展覧会を見た後、天神橋筋商店街へ向かった。梅田から出発して時計とは反対周りに市の中央北部を一周だ。どんどん北上すると、天神橋筋商店街に出るはずが、OAPビルの前に出た。道をかなり東にたどっていたことに気づいた。500メートルほど西に進んで天神橋筋3丁目に出た。古書店には3時に行くと約束していたが、もう10分前だ。20代半ばのみすぼらしい身なりの男がカップ・ラーメン片手に罵りながら歩いていた。まだこれからというのに、憐れなことだ。何も食べていなかったので、商店街で慌てて讃岐うどんを食べ、小走りで古書店に向かった。それから3時間ほどソファに座って調べた。そしていつものとおりスーパー玉出で買い物だ。喉の渇きを潤すためにコーラでも買うつもりが2階に上がるのが面倒、レジ横のアルコール棚からレモン味のチューハイのロング缶を1本買った。天神橋筋商店街は今月下旬の天神祭の鉦の音が盛んに鳴り響いていた。これが蒸した気候にぴったりだ。天六駅のホームでチューハイを飲むとおいしくない。缶を半ば隠しながら、電車の中で全部飲んだ。あまりに蒸し蒸しで、背中に汗がだらだら流れるのがわかった。それでも電車に乗るともう家に着いた気分だ。今日の写真は本当は昨日使うべきなのに、忘れていた。撮影は去年7月11日で、1年と1日前になる。
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by uuuzen | 2012-07-12 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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