●5.1チャンネルでザッパを聴く、その2
沢の基準がオーディオに凝る人の間で定まっているのだろうか。昨日知人が来宅して小1時間ほど話し、その知人の知り合いのオーディオ・ファンの話題が出た。



16畳の部屋に背丈ほどの巨大なスピーカーを置き、その壁面はLPレコードが9000枚で埋まるという。アナログ派ではそういう人は珍しくないと思うが、オーディオ・ファンでは贅沢な部類なのだろうか。音響機器に2000万円ほど費やすという人はさほど珍しくないようであるし、還暦を超えた年齢にもなるとレコードが9000枚あっても不思議ではない。本やCDなど、その程度は誰しも溜まる。筆者はオーディオ・ファンとは言えない。5ウェイのスピーカーも昔家内の甥が不要になったものをもらったもので、音へのこだわりはほとんどない。ところが一旦いい音を経験すると、それを日常的に聴く態勢を整えたいと思いがちだ。筆者もわずかながらもよい音への憧れが残っているようだ。だが、そのいい音とは、同じオーディオ装置であっても部屋の大きさや室内の置物などによって変化するし、また音楽を聴く時の気分も左右する。世の中には音感が発達した人がいるから、そういう人が推薦、あるいは設計に携わったオーディオ装置の評価は信用するに足ると考えたい。それに加えて最もわかりやすいのは価格だ。高価な装置はそれだけいい音がして当然という一般的な認識がある。オーディオに凝り、経済的に裕福である人は金に糸目をつけずに高価な装置を整えて楽しむが、音楽は好きであってもそこまで凝らない、凝れない人は、そこそこの価格帯のもので我慢する。そしてその価格からはるかに高い装置から出る夢のような音を生涯知らずに終わるが、それはそれで仕方がない。筆者のステレオ装置はまことに貧弱なもので、それでザッパの音楽を楽しむには本人に申し訳ない気がすることがある。たとえばの話、ザッパは演奏機材と録音機材に莫大な金額を投資してレコードを作ったから、聴き手が安物の装置で再生してはザッパの思いを無視していることにもなりそうだ。ザッパの1992年のコンサート『ザ・イエロー・シャーク』は、会場となったオペラ・ハウスの内部に両側や後方にまでスピーカーが配置された。8チャンネルで音が鳴らされ、録音もそうであったはずだが、発売されたCDはもちろん通常の2チャンネルのステレオだ。ザッパはいつか8チャンネルを家庭で楽しむ時代が来ると考えていたのかどうか、ともかく時代を先んじていた。WIKIPEDIAで調べると、5.1チャンネルは戦後の70ミリの映画では普通に採用されていたらしい。これが家庭用のDVDで楽しめるようになったのは時代がデジタル化してのことで1993年というから、ちょうどザッパが亡くなった頃だ。もう少し生きていたならば、積極的に5.1チャンネルのアルバムを出したことだろう。特にライヴ・アルバムでは有効的で、『ザ・イエロー・シャーク』の映像もいつかは5.1チャンネルで発売されるかもしれない。
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 5.1チャンネルはオーディオに関心のない人にはどういうものかわかりにくい。筆者もそうであったし、今なおよく知っているとは言えない。5は前に3つ、後ろに2個のスピーカーを指すのはわかるが、「.1」とはなんぞやだ。これは超低音を司るスピーカーのことで、「サブ・ウーファー」と呼ばれる。「サブ」であるから、補助であり、それで「.1」というまことにわずかな表現がされる。サブ・ウーファーは左右対で置かず、1個のスピーカーでよい。ネット・オークションではとても多く出品されているところ、買ったもののすぐに飽きるのが実態ではないか。比較的高価なものでは10万円以上するが、そういうものでも数千円で落札される場合がある。そんな事情を見ると、この「.1」は不要で、5チャンネルで充分ではないか。筆者の5ウェイと3ウェイのスピーカーには、箱の一番下に大きな低音用のスピーカーが取りつけられている。その直径は通常売られているサブ・ウーファーより大きい。となれば、サブ・ウーファーの存在の意味がわからなくなる。メインの低音のみで充分であるのに、そこにさらにサブとは、いったいどういう音域の低い音を鳴らすというのだろう。昨日今日とザッパの2枚のDVDオーディオ盤を聴きながら感じるが、サブ・ウーファーの音はほとんどわからない。鳴っていないのではないかと思わせられる。もちろん5.1チャンネル用に波動スピーカーで聴いているから、5チャンネル用の2個のスピーカーはサブ・ウーファーが担当する低音を司っていない。にもかかわらず、サブ・ウーファーを切っても鳴らしても音楽の響きはあまり変わらない。ヴォリュームが低いのかと思って最大にしても同じだ。ウーファー本体に触るとビリビリと振動しているのがわかるが、聴こえる低音の強調はほとんどない。これは録音されている音にサブ・ウーファーに委ねるべき低音が収録されていないからとも言えるが、ガンガンのロックでそれはないはずで、サブ・ウーファーが頻繁にネット・オークションに出ることの意味がわかる気がする。サブ・ウーファーは部屋が地震でも来たかのごとく強く揺れると書いてある人もあるが、それは家が木造でかなりガタが来ているからではないか。波動スピーカーのサブ・ウーファーだけが性能が悪いとは思えないし、正直なところ、「.1」の存在意義がさっぱりわからない。ついでに書いておくと、波動スピーカーの5.1チャンネル用の機器は、サブ・ウーファーを含めて3個で間に合う。前に設置する3つのスピーカーは1個の筒の中に納まっている。昨日掲げた写真がそれだ。そして後方にもう少し細い筒の中に2個入ったものを置く。この手軽さがよい。たった3個ではあるが、9時の位置にヴォリュームを上げても大音量だ。1階にもこの5.1チャンネル用の後方スピーカーと同じものを置いている。それを鳴らすと、ほとんど窓を閉めていても家の外でもかなりの音だ。10数メートルほど遠ざかってもよく聞こえている。これは普通の箱型スピーカーにはない音の広がりの特性であろう。
d0053294_0132929.jpg 5.1チャンネルは「サラウンド」と呼ばれるように、スピーカーに取り囲まれた位置で聴く必要がある。この点は波動スピーカーでも同じだ。それで前と後ろにスピーカーを置き、その間に座って聴いた。『HALLOWEEN』はニューヨークのパラディアムという会場でのライヴ、『QUAUDIOPHILLIAC』はスタジオ録音が主体で、収録は60年末期から約10年間の曲で、かつて発売された曲も含む。この2枚はザッパの音楽の見本と言ってよい選曲で、また他のザッパのアルバムをすべて所有する人でも楽しめるような特別のヴァージョンが収められている。それは5.1チャンネルで聴かなくてもという意味だ。それが全曲5.1チャンネルで収録されているのであるから、一聴する価値はあるし、ザッパの録音姿勢を知るうえでも重要だ。四方から音に取り囲まれる体験は確かに一種病みつきになるような味わいを含む。「サラウンド」というだけあって、まさに会場の中にいる気分だ。臨場感が素晴らしい。『QUAUDIOPHILLIAC』ではたとえば「CHUNGA‘S REVENGE」がよい。ベースの音が背後の左側スピーカーからも大きく聞こえ、スタジオで収録された雰囲気が濃厚に伝わるように感じられる。それはあくまでも仮想体験であって、実際とは違うが、「実際」が感じられるところがオーディオの面白さだ。筆者のデジタル・アンプは、5.1チャンネルで聴く場合、ホールの大きさの種別が6つほど選択出来る。最も広がりのあるホールを選ぶと、3000人ほど入っている会場で聴く気分になり、また最も狭い部屋の設定にするとクラブで演奏しているような音になる。同じ盤でもそのように音が変わること自体、録音された音はそもそも仮想ということだ。原音重視という言葉がオーディオの世界には根強くあるが、デジタル時代になってからは、映像を見てもわかるように、色合いを自在に変えることも出来て、何が本当の「原」であるかわからなくなった。今回サラウンド方式で収録された『HALLOWEEN』と『QUAUDIOPHILLIAC』を初めて聴いて、ステレオに落とした盤との差がどこにあるかを確認した。アンプにはステレオ盤であっても自動的に5.1チャンネルで疑似的に鳴らす仕組みがあって、正直なところを言えば、後方からも音が鳴るので、DVDオーディオ盤ならではの音の広がりを実感することが出来なかった。これはザッパの大多数のアルバムを5.1チャンネルのスピーカーで聴くと、今までとは一味違う音が楽しめることでもある。それに、アンプはスイッチひとつの切り替えで即座にステレオとして聴くことが出来るので、今まで慣れている2チャンネルのステレオの音を断念することにはならない。また、これはアンプにもよるだろうが、5.1チャンネルをステレオに切り替えると音量が一気に増す。2個のスピーカーしか鳴らしていないにもかかわらずそうであるのは、5.1チャンネルは音に広がりを持たせる、つまり拡散させるためで、ホール内部で聴くような気分にさせることを前提にしているからか。波動スピーカーは部屋のどこで聴いてもいいように設計されているから、元来サラウンド方式にはふさわしいだろう。まだスピーカーの位置を取りあえず音を鳴らすだけの思いで適当に決めたので、部屋に応じた絶好の状態では聴いているとは言い難い。波動スピーカーの代わりに5ウェイや3ウェイをつないで5.1チャンネルとすればどう音が鳴るのかも、いずれ確かめたい。
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by uuuzen | 2012-07-11 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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