人気ブログランキング | 話題のタグを見る

●『美男(イケメン)ですね』
足という漢字を当てるとファンに怒られるか。韓国ではどういう漢字を充てるのか知らない。あまりいい発音とは思えないが、韓国ではそうでもないのだろう。



日本で急速に人気が出たチャン・グンソク主演のこのドラマは、確か21010年末か2011年最初に、アメリカの大西さんが、過去1年で見た最も面白いドラマとメールに書いて来た。その頃日本でも放映済みで、面白いドラマであることは知っていた。それが先週KBS京都で放映が終わった。『トキメキ☆成均館スキャンダル』の感想を書いた時、「放映中」としたが、最終回が終わったばかりであった。実はそれを見ていない。全16話のうち、最後の方でも1話見忘れた。KBS京都での放送は、今までになかったことと思うが、毎週たとえば第○話の後半とその次の話の前半を続けて放送した。そうなると、最初の週は第1話前半のみで、最後は第16話後半のみであったことになる。それは日本のきっかりと放送時間の長さが決まった方針からは考えにくく、最初の週と最後の週は、同じ内容の25分ほどをだぶって放送したのだろう。何が言いたいかと言えば、最終回は見ることが出来なかったが、その前半は前の週に見たので、ネットに載る詳細な話の筋を読めばどういう結末になったかは充分わかるということだ。ま、それは当初から予想されたことで、韓国ドラマは1,2回見忘れても全体のムードはよくわかる。TVドラマはだいたいそういうように作ってある。『イ・サン』は今NHKで3度目だろうか、毎週日曜日の夜に放送している。家内は妹から借りたそのDVDを一気に見てしまった。筆者は前半は釣られて楽しんだものの、後半はまともに見ておらず、結末も詳しく知らない。DVDは借りたままだが、後半を見る時間もその気持ちもないので、このカテゴリーに感想を書くことが出来ないでいる。全部見たのにほかにも感想を書いていないドラマが3,4つあるが、書く機会というものがある。それを失うとなかなか思い出して投稿する気にはなれない。先日書いたが、TV大阪で平日の朝9時から1時間ほど韓国ドラマをやっていて、それを一応は全部録画して見ている。それを追いかけるだけでも、時間も気分もそうとう取られる。なので、KBS京都でこの『美男(イケメン)ですね』の次、つまり明日の夜11時から始まるドラマを見る時間があるかどうか。録画はしようと思うが、KBS京都で毎日昼過ぎにやっている30分の韓国ドラマも面白く、それを欠かさず見ていることもあって、同時に3,4つ見ることは話もムードも混乱してよくない。せいぜい3つが限度ではないか。それはいいとして、今日取り上げるドラマは若者向きだ。大西さんがよかったという意味はわかるが、『イ・サン』のような長編の感動ものではなく、笑いの「間」もうまく取って、ほんわかな面白さに溢れると言うのがふさわしい。
 パク・シネという若い女性が男女の双子の二役をする。この女性は子役で有名であったらしい。『秋の童話』だったと思う。筆者はそれを『冬のソナタ』を見た翌年頃に妹からビデオ・テープを借りて見たが、妹が絶賛するほどの内容とは思わず、パク・シネの子役の印象もない。そのシネが成長して演技の幅も広がってこのドラマに抜擢された。美人とは言えず、どちらかと言えば田舎の普通の子という感じだが、整形をし過ぎて個性がなくなってしまった、つまりどこにでもいるような美人ではないところが評価されたのだろう。悪く言えば、漫画的なこのドラマにはふさわしい顔をしている。それもあって、憎めない、少々鈍感な役をうまくこなした。一方、このヒロインのシネが演じるコ・ミナム(これは男としての名前で「美男」を意味し、その妹はコ・ミニョ(美女)という名だ)に敵対する同世代の若い女性として、国民的ヒロインという設定のユ・ヘイが登場する。これがどう見ても「国の妹」といった形容がふさわしくない顔で、終始意地悪をし、憎まれ役を演ずる。だが、これも漫画特有の皮肉と思えばよい。実際大人気女優の実態はこのようなものかと思わせられもして、リアリティがある。それにこのドラマはただひとりこのユ・ヘイがいわば悪役として登場するが、最後は律儀なところも見せ、またその意地悪な役柄をうまくこなしてそれなりに愛嬌がある。この役柄はパク・シネよりもはるかに難しい。だが、誰の演技も大げさな、大人が見るに耐えないハッピーエンドの大甘物語と最初からわかっていれば、まず筆者のような60歳の男が見る気はしない。それでというわけでもないが、単純には大甘としない筋立てがちゃんと用意されている。それがまたいかにも韓国ドラマであって、これを日本がリメイクしてもまず同じ味を出すことは無理だ。その大甘ではない設定は、コ・ミナムとコ・ミニョは母を知らずに育ち、父親も早く亡くなって孤児として育ったことだ。これは韓国ドラマのひとつの常套的設定で、またかと思わせられもする。ともかく、コ・ミニョは修道院で育ち、唯一心を打ち明けることの出来る存在が教会のシスターだ。これはその現実を思えばかなりの悲劇で、暗い話にしかなりようがないが、そこをコミカルな、そして男には無縁の人生を送るというのではなく、年相応に恋をして、俗世間で暮らすという暗示で物語が終わる。つまり、全く社会的に恵まれずに育った子が幸福をつかむという、シンデレラ物語だ。日本でいう御伽噺で、これは永遠に女子が求める。ただし、このドラマによって、その不滅の一パターンだけがわかるというのではなく、現在の韓国の文化事情が見えるところがよい。それは後述するように、韓国の若者が歓迎する芸能で、それは日本と大差ないという事実だ。今夜のネット・ニュースに、韓国にレディ・ガガがやって来て、若い女性がそのメイクやファッションを見習って、キリスト教会から抗議があったというのがあった。そういう事実とこのドラマを突き合わせると面白い。このドラマにもバンドの追っかけをするファンが毎回登場する。それは経済的な豊かさを示すだろう。レディ・ガガ渡韓の騒ぎもそれゆえだ。話を戻して、孤児を尼僧ばかりの禅寺が育てるというドラマもあった。日本とは違うそうした宗教の浸透具合がドラマに垣間見えるところが興味深い。また、孤児がドラマによく描かれることは、調査資料があるのかどうか、日韓の孤児の比率の差もそこにはあるようだ。また、韓国に孤児が多いとすれば、その原因はどこにあるかと誰しも考えるし、そういうことを描いたドラマもあるのかもしれない。
 「美男」を「イケメン」と読ませてこのドラマの題名はいかにも日本の若者向きだが、原題はどうなのだろう。将来は立派な尼僧になろうとしているコ・ミニョは、兄のコ・ミナムに成り代わって、やむにやまれずイケメン3人がいるバンド「Aエンジェル」に参加する。その3人が順にミニョがミナムではないことに気づきながら好きになり、3人がほのかに恋の駆け引きをするというのがドラマ大半の内容だ。ミニョは3人のうちのひとり、チャン・グンソクが演じるファン・テギョンに恋をする。その間に芸能記者にミニョの成り代わりが気づかれそうになったり、またミニョとテギョンの仲がうまく行かず擦れ違いばかりが生じる。見所はバンドの他のふたりがミニョを好きになりながら、ミニョがなかなかそれに気づかないことだ。そこには誰もが味わう青春の恋のほろ苦さがある。ミニョを含めたバンド4人はそれぞれ個性が強く、テギョンがダントツに格好いいとは見ない人もあるだろう。また、ミニョは最初から最後まで兄のミナムの成り代わりとして演じ、第15話にようやくアメリカからやって来たミナムが登場する。もちろんパク・シネの二役であるから、その無理をした男っぽさも笑わせられる。どう見てもシネは女であり、バンドの3人がそれに気づかないという設定は無茶だ。だが、大げさな動きや身振り、ギャグがこのドラマの漫画的面白さの中心で、筆者にはわからないが、過去の韓国ドラマのヒット作品の有名場面のパロディが満載らしい。そういう技巧的なことを抜きにしても面白く見られるところはさすがと言うべきだろう。また、俳優の動きのわずかな「間」を実にうまく映し、編集もしていて、そこにいやみがない。その点、『宮(クム)』はあまり成功していなかった。グンソクのメイクはまるで歌舞伎役者ほどに濃いと言うか、誇張が過ぎるし、また顔の表情の作り方もそうだが、「美男」のイメージが今までの韓国ドラマとはそうとう違っていると感じさせられるところが、日本でも大いに受けたのだろう。韓国での男前の基本は、顔ではなく、肉体美を誇る男臭さだ。それがペ・ヨンジュンには欠けるので、『冬のソナタ』が日本で大ヒットした時、韓国では不思議がられた。だが、アメリカの若い女性が日本の漫画を見て感心し、また関心を強く抱く点は、主人公が筋肉隆々の男ではなく、女と見紛う優男である場合がほとんどであることだ。そういう日本の女性が男前と思う男性像がチャン・グンソクに投影された。そのため、グンソク人気は韓国より日本の方が大きい。だが、韓国でも事情が少しずつ変わって来ているのではないか。確かに徴兵制があり、男は肉体的に逞しくあることが求められるが、経済が豊かになると、いわばマイノリティであった存在が脚光を浴びる。韓国ドラマにもオカマがたまに出て来るように、日本とさほど変わらない風俗になりつつあるだろう。また、グンソクがどこかなよっとして女性っぽいかと言えば、このドラマを見るとわかるように、眼差しは鋭く男っぽい。優柔不断ではなく、強引さ、自己主張がそこには強く感じられる。そこが本当の美男の条件ではないか。。バンドの他のふたりの男性の方が、まだ女性的と思わせられるほどだ。ただし、バンド名が「Aエンジェル」というのであるから、筋肉隆々の男性では具合が悪い。そういうバンドであるので、女性っぽさがないパク・シネが男役として加わっても違和感がないと判断されたに違いない。
 他のドラマでも言えるが、このドラマの脇役はみな達者だ。「Aエンジェル」を抱える芸能プロダクションの社長は、最後までミニョがミナムに成り代わっていることに気づかない。それはいわばお人よしでもあって、憎めないキャラクターを演じている。それよりも筆者がうまいと思ったのは、ミニョにすがって、ミナムを演じてバンドに加わってほしいと懇願した「Aエンジェル」のマネージャー、マ・フンイで、キム・イングォンが演じる。ほかのドラマや映画では見たことがない。脇役しか演じることの出来ない喜劇用の憎めない顔だが、こういう役者が年月を重ねて名脇役となり、韓国の俳優界を支える。また、フンイの面白さは、きっとこういう人物が実際のマネージャーには多いのだろうと思わせる説得力だ。このドラマは芸能界の裏事情をよくわかる形で見せてくれていると思わせる点にもある。そういう裏事情としては、テギョンの生い立ちもある。だいたい芸能界で人気をさらうには、家庭や生い立ちが複雑であったりして、普通の人とは違う条件で育った者が多く、それは韓国でも同じではないだろうか。テギョンはバンドのヴォーカルとギターを担当し、作詞作曲をするという設定で、また歌う場面もいくつかある。筆者はこのドラマの音楽にはさっぱり関心が持てなかったものの、歌詞はドラマの筋に見事に合ったもので、無駄がないようにという消極的な意味合いどころか、ドラマのムードを盛り立てるのに欠かせない挿入歌として作られていることがわかった。せっかくドラマを作るのであるから、うまく行けばAエンジェルを本当のバンドとしてCDを販売することも夢ではないという広がりのある戦略を考えたはずだ。そのことはドラマの中でAエンジェルのメンバーのシールが菓子屋で売られているという設定からも言えるのではないか。Aエンジェルはそのシールを見ながら、「マネージャーはこんなものまで作ったのか」と言う。そのシールはドラマの小道具として作ったものに違いないが、あわよくば、ドラマがヒットした暁には本当にそれを市販してもいいという考えがあったのかもしれない。いや、筆者が知らないだけで、このドラマのヒットのために、Aエンジェル、あるいはそのメンバーは本物のコンサートをしたのかもしれない。グンソクはギターを演奏することが出来るのだろうか。ステージで演奏する場面がよく映ったが、それは様になっていた。
 話を戻して、ミニョの生い立ちが不幸であるのと同じように、テギョンは母のモ・ファランが有名な歌手だが、親子の確執があって、テギョンは快く思っていない。また、ファランは何かと言えば酒浸りになっていて、これも芸能界の裏面をさりげなく伝えていると思わせて面白い。そして、ドラマの話の筋をより引き締めるために、登場人物の複雑な絡みが求められるが、それはミニョとテギョンはたまたまバンドで知り合ったが、お互いの親が過去に恋仲にあったという設定だ。このことがドラマの後半頃から次第に影を強めて来る。この設定は『冬のソナタ』とそっくりで、知らずに好きになった者同士の親が実は因縁があったという形だ。この運命論的な描き方は韓国ドラマには欠かせない条件で、こうしたラヴ・コメディにさえも適用される。ただし、16話でそれをうまく収めるには、一方でコメディであることを考えに入れると、話が複雑になりやすく、またそのこと興味を抱きにくい。何か最後にどんでん返しが待っているのかと内心不安に宙吊りされたまま見続け、最終回で胸をなで下ろすように無難な結末が用意されてはいるが、そのラヴ・コメディと同時進行する親同士の複雑な過去の恋愛問題というテーマは、全体を覆うこのドラマの陽気さの前ではかなり余分なものとして映る。だが、そういう一種の隠し味もちゃんと用意するところが韓国ドラマの深さでもあり、とにかく限られた登場人物でいかに物語を複雑にするかという、執念めいた思いが見えている。簡単に書いておくと、モ・ファランはかつて好きであった男性がいた。それはミニョとミナムの父親で、作詞作曲家であった。ミニョとミナムはファランが生んだ子で、ミニョがテギョンと結ばれては、兄妹で具合が悪いという心配をしながらドラマを見ることになるが、最終回で事実がわかる。それはやや拍子抜けで、ファランが勝手に横恋慕しただけで、自分のために書いてくれたと思っていた曲は、死んだ妻を思って書いたのだとミニョに伝える。これでミニョは安心し、死んだ父を恨まず、テギョンといずれは一緒になることが出来るという結末だ。また、テギョンはファランに冷たく当たって来たが、ファランがようやく心を開いて今までのことをテギョンに謝り、ファランを内心恋しく思っていたテギョンは母を母として認め、受け入れる。
by uuuzen | 2012-04-28 23:59 | ●鑑賞した韓国ドラマ、映画
●『DWEEZIL ZAPPA... >> << ●『高麗茶碗と土・炎の写真展』

 最 新 の 投 稿
 本ブログを検索する
 旧きについ言ったー
 時々ドキドキよき予告

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
以前の記事/カテゴリー/リンク
記事ランキング
画像一覧
ブログジャンル
ブログパーツ
最新のコメント
言ったでしょう?母親の面..
by インカの道 at 16:43
最新のトラックバック
ファン
ブログトップ
 
  UUUZEN ― FLOGGING BLOGGING GO-GOING  ? Copyright 2024 Kohjitsu Ohyama. All Rights Reserved.
  👽💬💌?🏼🌞💞🌜ーーーーー💩😍😡🤣🤪😱🤮 💔??🌋🏳🆘😈 👻🕷👴?💉🛌💐 🕵🔪🔫🔥📿🙏?