獣魂碑が法輪寺の参道の麓、バス道沿いにある。かなり大きな石碑で、食肉業者が建てたものだ。この石碑のすぐ隣りと言ってよい平地で、毎年8月下旬に自治会の地蔵盆がある。
2日にわたって行なわれ、婦人たちがおでんを大きな鍋で炊くなどするので、準備がいろいろと大変だ。まず、テントを地面に直に張らない。高さ40センチほどの12畳分の床組み根太を組み合せて作り、その上に立てる。これが難儀で、夏場とはいえ、朝6時には境内に行って作業をせねばならない。ところが6時では遅い方で、もう半分近く出来上がっている。6時に現地集合となると、5時過ぎには目覚めねばならない。筆者は朝は大いに苦手で、毎年そのテント建てが億劫だ。それはさておき、今日は昨日の台風も収まったので、各組長や諸役員が全員集まる年度初めの自治会の総会を案内するチラシを配布した。およそ40名になるが、筆者は毎年そうした案内の文章を30種ほど書き、コピーし、そして配っている。どういうわけか筆者の自治会では会長の仕事があまりに多い。他の自治会の会長はそこまでせず、手助けしてくれる人がいる。今年度は法輪寺が、ある町内の組長を担当するので、総会の案内を届けに行ったが、寺の本堂は石段をかなり上がった山手にあり、これから1年その長い階段を何度往復せねばならないかと思うと、どっと疲れが出て来る。獣魂碑のすぐ際に法輪寺のポストがあると便利だが、まさかそういうわけにもいかない。郵便配達や宅配便は本堂の横手まで登って行く。そこに至るまでの車道は舗装されているので、思ったほど不便ではない。だが、筆者も考えを改めて、本年度は本堂前から見晴らしのよい景色がしばしば楽しめると思えばいい。今日の本堂前は、十三参りの親子連れがたくさん来ていて、和尚の読経が休む暇がないような勢いで聞こえていた。本堂横に眼下に市内を一望出来る清水寺のものに似た舞台がある。そこにもたくさんの人がいて、まだ早い桜を探していた。筆者は舞台には行かず、和尚の奥さんと話をした後はすぐにまた石段を下ったが、獣魂碑の横手に紫と白の幕を張って、業者が椅子を並べたり、花を飾ったりと何やら準備している。何の行事か業者に訊こうとし、歩みよると、立て看板が地面に横たえられていて、それを見ると獣魂碑の法要とわかった。食肉業者が集まって毎年開催しているのだろう。獣魂碑と聞くと、今はペットのための慰霊碑と思う人が多いだろうが、それほどに牛や豚、それに鶏の肉を食べるのが日常的になっていて、そうした獣や鳥が食肉加工される現場を見ない。そのため、改めて獣魂碑を見ると、毎日大量の屠殺が行なわれている現実を知り、慄然とする。その意味でも、この獣魂碑はもっと多くの人に知られ、獣のありがたさを思うべきだろう。それは菜食主義者以外にとっては、ペットどころではなく、命に関係する重要な存在だ。
本年度は新しい組長宅に配布せねばならない。地図上に配るべき家を丸で囲み、どのように歩けば最短距離で済むかを考える。当然去年とは歩くルートが少し違う。その最初が今日であった。そして、このカテゴリーで何度も写真を載せている桜の林の横を通った。100メートルほど手前から、青いビニール・シートを広げた花見客が見えた。1,2本だけ、7,8分咲きになっている。道路に最も近い桜の木の前で、ウェディング・ドレス姿の女性と、白の礼服を着た男性のカップルが2組立っていて、地面に寝そべったカメラマンが写真を撮っていた。こんな場所で結婚式はないから、撮影会だろうと思って接近すると、やはりそうであった。地面に寝転がっての撮影は、咲いている桜の花を少しでも多く写し込むためで、それほどに苦労している。昨日は台風で駄目で、今日にしたのであろうが、例年ならば満開になっているはずが、今年は大いに予定が狂ったと見える。その撮影会の様子を写し込んでの桜の林を撮るのもいいと考え、配り物を途中でやめて一旦家に戻り、カメラを持って出た。その間、5分と経っていない。ところが、白い車を撮影場所の真横の道路につけ、そこにモデルたちが乗り込みつつあって、また照明などはすっかり片づけられていた。仕方がないので、思った角度では撮らず、林の中に入って、花見客を写し込む形で撮ることにしたが、電池切れであった。また帰って新しい電池を入れ直す気力はもうなかった。明日でも桜の開花状況は変わらないはずで、また明日の方がもっと暖かいだろう。今日は台風が過ぎたとはいえ、まだ風が強く、肌寒かった。午後7時にムーギョに行くと、松尾橋のたもとのデジタル気温計は9度を記していた。満月にもう数日という月が、おぼろでありながらも明るく照っていた。さて、今日はこのカテゴリーの200回目だ。一昨日、今までに撮りためたこのカテゴリー用の写真を並べたところ、「その246」までになった。今日桜の林を撮っていたならば、それは「その247」に相当する。このカテゴリーは「その300」を超えると思う。そのためには、またせっせと写真を撮らねばならないが、5月から本格的にまた撮り始める。今日の写真は去年4月11日の阪急嵐山駅前だ。新しく植えられた桜が咲いているのがわかる。