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●嵐山駅前の変化、その179(ホテル)
意という言葉はいい。思いのままというのは、人間にとって理想だ。だが、この如意から尿意を連想するようになる老齢になると、尿意も思いのままにならないのに、如意とは全くの絵空事だと、空を仰いで罵りたくもなるかもしれない。



それでもなお、如意という言葉はいい。何でも思いのままにならないから、却って好むのかもしれない。それに、この言葉を好む裏には諦念が混じる。それをそう思わないで、その諦めもまた自分の思いが実ったものと考えてはどうか。それは敗北の思いからではない。はたからは人生に敗北したように見える人でも本人はそうは思っていない場合がある。サイモンとガーファンクルの歌「リチャード・コリー」は、工場の社長が自殺したことを知る一工員の思いを描く。しがない月給取りがささやかな幸福をかみ締めている一方、経済的には何不自由ない立場の者が人生に絶望する。如意とは金がすべてではないということだ。話が変わるが、今日は数か月前から探していたものを徹底して見つけることにして、ようやくそれを探し当てた。その作業の途中で、1年前から探していたものも見つけた。どちらも本だ。相変わらず買い続けている一方で、今日はぼんやりと考えた。筆者の所有物を処分するのはいつからがいいか。そして、最後の最後にひとつふたつだけ残すとすればそれは何か。そういう状態になるとは思っていないが、思ってみることも必要ではないかと、今日は考えた。そして、最後のひとつふたつの大切なものは、これといったものがないことに気づいた。あるいは、何でもいいと思った。ということは、筆者は今まで無数のガラクタを集めるために働いて来たのか。同じことはアクセル・ムンテの『サン・ミケーレ物語』にも出て来る。ムンテは時計好きで、たくさんの高価な時計を持っていた。そして、美術品も大好きで、シエナのシモーネ・マルティーニらしき絵画まで持っていたが、ある日そうしたものにすっかり興味を失う。そして、サン・ミケーレに移住するのだが、そこでの部屋の装飾にはやはり絵画を用いた。それがデューラーの銅版画であった。うらやましい話だ。日本でも買えないことはないだろうが、家1軒かそれ以上の価格だろう。それよりもうらやましいのは、思いのままに自然豊かな島に移住して余生を過ごしたことだ。それだけ若い間に流行医となって稼いだためで、如意は結局お金の力ということを見せつけられもする。だが、ムンテが描く多くの人物のうち、最も美しく、生き生きしているのは、無学文盲の島の貧しい人たちだ。
●嵐山駅前の変化、その179(ホテル)_d0053294_0275035.jpg

 さて、今日から駅前の変化シリーズは去年2月撮影の分に入る。今月末まで毎日このカテゴリーに投稿しても、2月分を掲載し切れない。撮影日から1年以上開けることはやめようと思っている。またぎりぎり1年というのもよくない。それでなるべく多くこのカテゴリーに投稿するつもりでいるが、毎日数日間分の写真をまとめて載せると、撮影日に投稿が追い着くのは早い。そうしようと思わないでもないが、今まで原則的にはある1日に撮影した写真を1日か2日に分けて投稿して来た習慣を改めることを好まない。この習慣を改めないことが常にいいとは限らない。むしろよくない。頑固さがいいのも時と場合によりけりだ。ま、それはいいとして、今日はこの駅前変化シリーズに関してひとつの大きな出来事があった。これはホテルとは関係がなく、別の場所でのことだ。駅前広場を1とすれば、2がホテル、そして3に相当する工事が5月から始まる。その工事については筆者は以前から伝えられていて、見取り図ももらっていたが、自治会長であるというので、今日は関係者が文書を持って挨拶に来た。そのための説明会が2月に開催される。そして5月から工事となれば、またせっせとその写真を撮り続けるつもりでいる。ホテルの写真は、完成した去年秋から撮っていない。そのため、このカテゴリーに投稿する写真は、2,3か月の空白が出来る。その3に相当する工事が終わるのは今年秋と思うが、ひょっとすれば、その後さらに4となる別の工事があるかもしれない。今後駅前変化シリーズはどこまで続くか想像がつかない。また、写真は撮り続けたが、ブログに載せることもないまま、ある日投稿をやめてしまうこともあるかもしれない。如意の言葉で思うが、自分のことは全部如意だが、他の人間のこととなるとそうならない。子は親の言うことをさっぱり聞かないし、ましてや他人はもっとそうだ。そのことをよく知っているだけに、なおさら如意の言葉に憧れるのかもしれない。そして、せめては自分のことは思いのままにしたいと思う。そのひとつがこのブログだ。
by uuuzen | 2012-01-24 23:59 | ●駅前の変化
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