●『CARNEGIE HALL』その3、『BAT CHAIN PULLER』注文
囲気がどうも違い過ぎるかなと思っていたその原因と言っていいかもしれないが、このザッパ唯一のカーネギー・ホールでのライヴは、録音がモノラルだ。ブックレットを読んでいて気づいた。



音を聴いて気づかないのは、スピーカーから遠く、そしてスピーカーの中央に座らず、かなり斜めになっているからだろう。ヘッドフォンで聴けばすぐにわかるが、筆者はヘッドフォンが嫌いだ。また、手元のパソコンのスピーカーで聴けばステレオの分離がよくわかるが、昨夜急にCDを読み取らなくなった。たぶんレンズが埃などで汚れたのだろう。パソコンを分解して掃除する時間が明日もなさそうで、パソコンで聴くのは当分お預けだ。さて、今回のブックレットは、最初の曲目表示の次にロン・デルスナーという、ザッパのツアーをマネイジした男の短文、その次にアル・マルキンという、ザッパの長年のファンで、ザッパのアルバムなどに言及される男の思い出で、40年ぶりにこのコンサートを聴くことが出来た感激で最後をまとめている。アル・マルキンは今年55歳で、ザッパの音楽に夢中になったのは15歳の高校生だ。後にザッパのバンドに参加するウォーレン・ククルロの友人で、ククルロからザッパの天才ぶりを教えられ、それで夢中になり、飛行機や電車、自家用車を使って遠方まで毎年コンサートを見に行ったようだ。そういう長年のファンのために、このテープ収蔵庫からのアルバム化が行なわれているもが、さてそういうファンが世界中にどれほどいて、何割が通販で買うのだろう。多くて3000人ほどと思うが、実態はわからない。それにしてもカーネギー・ホールでのコンサートを体験し、その様子を40年ぶりにこうしてCDで聴くことの出来る感動は格別だろう。話を戻して、アル・マルキンの2ページにわたる文章の次に、同じ2ページでゲイルが書く。これが大変細かい文字で、こうして深夜のあまり明るくない蛍光灯の光ではとても目を通す気になれない。またそうしようと思っても半分ほどは見えない。だが、ここで書くからにはざっと斜め読みでもせねばならない。そう思って目を通して初めてこの録音がモノラルであることを知った。また、録音した機器が特殊であったため、ゲイルらは長年このテープを聴くことが出来なかった。ヴォールトマイスターのジョー・トラヴァースがテープの存在を知ったのは1996年で、それが2年後にようやく聴くための機器を入手、99年にDATに置き換えたという。そのあたりの技術的なことをゲイルを事細かに書くが、これは筆者にはほとんど興味がない。そういうファンが多いことを見越して、微細な文字で印刷しているのだろう。簡単に言えば、ザッパがせっせと録音したテープは、音質にいいCDにするのにとても手間がかかるということだ。おそらくそうした技術的な問題があって、長年待たれているロキシー・ライヴのDVDも発売されないのだろう。DVDとなればCDよりはるかに質の高いものにするのは困難だ。それはともかく、
 文を寄せるのは以上の3人で、ブックレットはかなり素っ気ない。後半はメーバーの紹介とその写真、そしてマンハッタン島の中央に位置するカーネギー・ホールの概観、そしていつものコンサート丸ごとシリースで添えられる絶滅希少植物と動物の情報がある。最後の4ページはメンバーひとりずつの拡大写真が並ぶ。最初はザッパであるのは言うまでもないが、その次がフロ・アンド・エディとなっている。そして次の見開きにまずイアン・アンダーウッド、ドン・プレストン(名前の表示のみで顔写真なし)、ジム・ポンズ、エインズリー・ダンバーとなっていて、計7人編成だ。ベーシストのジム・ポンズの顔はほとんど知られていないが、今回はしっかりとわかる。なかなかのいい男で、ドラマーのエインズリーといい勝負だ。また、ザッパの1971年のライヴは、このジムのベースの特徴あるリフの演奏がとても目立ち、その独特の味わいが筆者がこの時期の演奏を好む理由にもなっている。そのリフは、ディスク2ではベースだけではなく、ザッパのギターも加わってユニゾンで奏でられる。そして、そのリフはジムが抜けた後、1972年の『ワカ・ジャワカ』のアルバムではさらに拡張されて、アルバム・タイトル曲の基本のメロディとして使われる。ということは、ジムが考え出したリフではなく、ザッパがそう演奏するように命じたのかもしれない。だが、実際はどうであったかはジムに訊いてみないことにはわからない。ただし、その特徴的なリフは、1960年代前半あたりのジャズにそっくりなものがあって、ジムやザッパの創造とは言い切れないところがある。こうして書いてもどういう音かさっぱりわからないと思うが、ザッパのフィルモア・イーストでのライヴを収めたジョンとヨーコのアルバム『サムタイム・イン・ニューヨーク』では、ジョンとヨーコを迎えて演奏した「SCUMBAG」の中間部、ジョンとザッパがギターで掛け合いをする直前、ジョンが「スカンバッグ」という言葉を繰り返す際の背後に目立って聞こえる。さて、今日は午後から夜まで外出し、今ディスク3を聴いてはいるものの、深夜であるので家内に音を絞られ、まともに聴いたのは1回半だ。ディスク3,4はショー2で、午後11時から始まった。ショー1は7時からで、2時間の休憩があったことになる。その間に客を入れ換えたのではなく、通して同じ料金であったのだろう。最も安い席が3ドル半、高い席は6ドルだ。ザッパはカーネギー・ホールでは今回のCDに収められる一夜しか演奏したことがなく、その意味でも貴重だが、そういう歴史あるホールでの演奏ということで、ふたつのショーで当時のレパートリーのすべてを披露したと言ってよい。
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 昨夜も書いたように、この時期のザッパは短い歌をいくつかまとめて組曲形式とし、それをいくつか用意しながら、それぞれの部分を日によって変更していた。また、変更可能な曲をいくつかまとめず、もともと長い一曲として書いたものもあって、その代表はディスク4に収録される「ビリー・ザ・マウンテン」だが、それと双璧をなすのが、ディスク3の「DIVAN」だ。これは「ソファ組曲」と題してもいい内容で、後年盛んに演奏する「ソファ」という曲をメインにしている。また、この曲は歌詞の一部をドイツ語で書いていて、その理由はドイツへツアーしたことの思い出によるのだろう。ドイツ公演はよほど印象に残ったようで、映像も一部残っているが、ザッパはその後ドイツを笑いのネタにして、フロ・アンド・エディに演じさせた曲を録音した。また、この「ソファ組曲」の先駆的なところは、「ソファ」を演奏しているだけでなく、同曲よりさらに後年、『ジョーのガレージ』に至って初めて収録される「STICK IT OUT」を組み込んでいることだ。つまり、8年ほど後になって、アメリカ以外の国のザッパ・ファンが初めて聴く曲をステージで演奏していた。それがアレンジも含めて全く同じと言ってよく、ザッパの意識の中には、自作曲は8年程度では古くならない自信があったのだろう。また、組曲としては「ビリー・ザ・マウンテン」が最初から長大な曲として書いた自信もあって、『JUST ANOTHER BAND……』で早速LPの片面全部を使って収録されるが、「ソファ組曲」の方は、構成する曲を個別に違うアルバムに収録して発表することになった。それは完成度が「ビリー」より劣ると考えたためかどうかは知らないが、まとまりとしてはやはり「ビリー」に劣る。今回のCDで初めてこの「ソファ組曲」の全体像が一連のものとして収録されたが、それをディスク4の「ビリー」と対になるような形で、午後11時からのショー2に持って来たところに、周到さとこれらふたつの組曲に対する自信がうかがえる。それは、わずか7人編成のバンドだが、クラシックの殿堂であるカーネギー・ホールで演奏するにふさわしいものと思ったに違いなく、実際そのような長い、そして複雑な曲を書いたのは、その奥にオーケストラ用の曲を思っていた、あるいは実際に作曲していたからだ。それはさておき、午後11時から始まるステージは終わるのが日づけが変わってからで、これは日本では考えられないことで、またそのような深夜に乗りのいいダンス曲ではとても言えない「ソファ組曲」や「ビリー」を演奏するのは、ザッパをそうとう変人に思わせるに充分ではなかったかと思う。だが、ディスク3,4はこれらふたつの組曲だけではなく、ファンには馴染みの旧曲を挟み、またザッパのギターも音色をあれこれと変えながら暴れ回るというにふさわしく、全体としての変化の富み具合はとても客が退屈で眠くなるというものとは反対の変転自在の音楽劇とでも言うのがよい。
 ディスク3の曲目を書いておく。「Auspicious Occasion」は「めでたい出来事」とでも訳しておこうか、ザッパの語りだ。ブックレットには歌詞を含めて語りも全部印刷されていないが、これはファンが聴き取ってネットに載せるはずで、それを待てばよい。次が「DIVAN」で、これは組曲で各曲に題名がついている。「Once Upon A Time」というザッパの語りに続き、「SOFA#1」、「MAGIC PIG」、「STICK IT OUT」、そして「Divan Ends Here」という語り調の曲で終わる。次に名曲「POUND FOR A BROWN」が入り、「SLEEPING IN A JAR」「WONDERFUL WINO」、「SHARLEENA」、「CRUISING FOR A BURGERS」で締めくくられる。その次にもうひとつの組曲「ビリー・ザ・マウンテン」が演奏されたが、これは明日聴く。ところで、今朝またザッパ・ファミリーから画像つきのメールが届いた。キャプテン・ビーフハートの『BAT CHAIN PULLER』がかねて予告されていたように発売される。同じく通販で、前回の心配も忘れて早速注文した。1枚もののCDで、送料含めて31ドル30セントだ。発送は来年1月中旬なので、届くのは下旬になる。このアルバムは生前のザッパが権利を持っていることをインタヴューで語っていた。ビーフハートが死んで発売されるのは、権利関係でもめなくて済んだからか。こっちの録音がオリジナルに相当し、昔発売されたものと音がどう違うかが楽しみだ。また、曲目も若干違いがある。ビーフハートのCDは海賊盤的に今なお発売されるが、スタジオできちんと録音した今回予約が始まった盤は、そうしたものとは一線を画する価値を有する。また、このように通販による新譜発表の期間が短縮されて来ていることは、ザッパ・ファンにとっては嬉しい兆候で、来年は最低でも4か月に1点ずつは出してほしい。
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by uuuzen | 2011-12-18 23:59 | ●新・嵐山だより(特別編) | Comments(0)


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