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●嵐山駅前の変化、その165(ホテル)
待はがきを毎回送ってもらうのだが、今日はそれを片手に京都市美術館に創画展を見に行った。同じ美術館では新聞社主催のゴッホやルノワールの絵を目玉にしたアメリカの美術館展が開催中だ。



こうした美術展は日本の風物詩になっていて、年に1,2回しか展覧会を見に行かないような人が大挙して押し寄せる。チケット売り場が館の前庭に特別に作られているほどで、それほど当日券を求める人が行列を作るためだ。だが、今日は午後3時頃に美術館の前に着いたが、人の列はなかった。にもかかわらず、アルバイトの女性がマイク片手に当日券はその特設売り場で買ってほしいことを繰り返していた。ゴッホやルノワールの絵を見るのは楽しいが、その展覧会は1000円以上を支払って見る気はしない。それを言えば創画展も同じだ。出品者から招待はがきが届くから行く。しかもほかにも用事を作ってだ。毎回同じような絵が並び、めったに心が動かされることはないが、2,3点はいいと思うのがある。ところが、そうした絵の作者は筆者がそう思った次か次の回には必ず展示がない。1回限りの入選なのか、あるいは出品なのか知らないが、同展に馴染めないので出品をやめて行くのではないだろうか。となれば、筆者は創画に似合わない、それでいて面白い絵を描く人が好きなのだろう。今日は1点いいのがあった。「夕星」という題名、作者は埼玉の山崎光雄という人だ。油彩的なモチーフと言おうか、創画には珍しい素直でしかも現代的な詩情のある絵で、作者の思いがまっすぐに伝わる。画面は正方形に近く、縦4分の3は雲が埋まる夜空、その合間に三日月や星が見えている。もこもことした雲の描き方がうまい。また、縦4分の1は、なだらかな丘をびっしり埋める新興住宅で、そのどれもが灯りをつけている。そして、画面の最下段には自家用車が列をなして停まっている。埼玉にありそうな、そして日本の現在の典型的な住宅地の上に広がる夜空を描いた絵で、月や星の光が家並みの灯りと呼応して、いい意味でも悪い意味でも、これが日本の現実であろう。人影を全く描かず、それを家の灯りで暗示するところがよい。夕暮れが深まった時間帯のこうした絵は、昼間の景色を描くのとは違って難しいだろう。マグリットに同じような夕暮れの家と灯りを描いた絵があるが、シュルレアリスム的な印象はこの「夕星」にはない。日本画は日本にこだわらず、何をどう描いてもいいようになっているが、そうなってしまうと、画家は限りない自由さの前でかえってどうしていいかわからず、実につまらない絵を描いてしまう場合が多くなった。自分の思ったことが一番大事で、それが他人に響かなくてもいっこうにかまわない。むしろ、他人に受け入れられないことを誇りとさえ思う。今はそういう時代だ。
 画家に限らず、誰しも偉大な思想を持ち得ない。絵はどれも個人のつぶやきで、そのかすかなかすかなつぶやきを聞いてくれる人を待ってはいるが、誰もやっては来ない。創画展を見ていると、いつもそうしたことを考える。だが、そうした役に立たない無益なものこそが芸術の本質であり、そうした無限で膨大なゴミとして葬り去られる絵画の群れからごくわずかなものが将来に残って行く。そう考えれば、200点のうちに1点でもいいと思える作品に出会えることは幸運だ。だが、この「夕星」を描いた人は今まで作品を見た記憶がない。そして、次回の創画にどういう作品を出しているか楽しみだが、先に書いたようにそれはもうないかもしれない。それはさておき、夕空の星と郊外の新興住宅地を描いた絵がいいと思ったのは、筆者が毎日のように夕方になれば買い物に出かけるからだろう。昨夜のブログを書きながら思っていたことだが、最近筆者は何が最も楽しいかと自問し、真っ先に思い浮かんだのが満月であった。毎月満月の写真を撮っているが、その日は特別な気分になる。いつもと同じ道を歩きながら、満月がどの辺りにどのような状態で上がっているか、その様子にどこで最初に遭遇するか、その期待感がとても楽しい。そして昨夜は文章を連ねながら、その感情を思い出し、ひょっとすればそれ以上の楽しみはないかもしれないとさえ思った。ただスーパーに向かって歩くだけではなく、満月を見つけて、その写真を撮るというプラス・アルファによって、満月の夜は特別なものになる。実は一昨日、長年ほしいと思って探し続けていた、ある禅僧の書をようやく入手した。本当に焦がれ続けてようやくのことで、思いがかなったことが実に嬉しい。そして、何年も待った以上に喜びが大きかった。それは、秋の満月を詠んだ漢詩を書いてあることだ。200年ほど前、同じ京都で、しかもおそらく筆者が住んでいる場所からそう遠くないところをその禅僧は歩き、満月を見て詩を詠んだ。その禅僧の書なら何でもいいと思っていたのに、よりによって満月の詩ではないか。これは絶対に筆者が持つべきだ。その書を今日引き取りに行った。すでに数回その人から買っているが、毎回美術談義に多少花が咲く。別れて帰り道に着いた時、午後5時半であった。もう真っ暗だ。空を見上げると月は見えない。それはわかっていたが、それでも見上げてしまう。そして、昼間に美術館で見た「夕星」を思い出した。「ねー、ちわゆね。満月がそんなにいいのピー?」「そうだね、雀さんも特別な思いになるだろう?」「ちわゆねが鳥を集めて説教してくれるから特別と思うだけだチー。」「雀さんは優しいね。」「ちわゆねは哀れだねピー。」 さて今日の写真は去年12月21日の駅前ホテルの建設現場。去年撮った写真はもう数日で投稿が終わる。
●嵐山駅前の変化、その165(ホテル)_d0053294_0395981.jpg

by uuuzen | 2011-11-17 23:59 | ●駅前の変化
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