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●第3章その2 「大ザッパ大雑把論」以降10年間の私案①
半年ほど前だったろうか、ザッパ・ファミリーが運営するホームページで、ライコディスク(RYKODISC)が発売しているザッパの承認盤CDの販売契約が切れたことが伝えられた。



ライコが直接ザッパ・ファミリーと契約しているものと思っていたが、それはそうとしても流通契約システムは複雑で、実際は小売店に並ぶまでの配給をワーナー・ブラザーズに頼っていたようだ。これはワーナーとの駆け引きがあってザッパ・ファミリーがそうしたのであろう。そのワーナーがザッパ・ファミリーと関係を断ったために、CDが店頭に出回らなくなった。関係を断つ原因は、儲からないと判断したか、もっと別の事情があったのか、それとも単に契約期限が切れたのかはわからない。ところが現在はライコが直接ザッパ・ファミリーからCDの販売権を買おうとしているニュースがホームページで公表されていて、やがて以前と同じようにザッパのCDが小売店に出回ることになるだろう。ワーナーと関係がなくなってどのような事態が起きるのかわからないが、70年代半ばからザッパはワーナーを毛嫌いしていたから、本当はワーナーと関係なくやって行けるのであればそれが一番いいと思う。音楽を形あるCDとして売る限りは、大手のレコード会社が長年かけて築き上げた流通のさまざまな事情というものがあることはよく想像出来る。だが、どこから販売されようが、ファンがいつでもほしい時に手軽に入手できるのが理想だ。ザッパのように著しくアルバム数が多い音楽家はなおさらそうで、ザッパ・ファミリーが早く手を打って正常な状態に戻してもらいたいものだ。

●「大ザッパ大雑把論」以降10年間の私案
「大雑把論の息子」を投稿した1983年9月は、『ロンドン交響楽団、第1集』のLPがアメリカで発売されて3カ月経った頃だ。一方でそれに先立って『ベイビー・スネイクス』のピクチャー・アルバムが、バーキング・パンプキンから通信販売でのみ入手可能といった状況で、当時どちらも日本盤が発売されそうな気配が感じられず、結局はそのとおりとなった。日本盤が売れそうもないレコードは最初から無視される。ザッパに関してそういうことが起こり始めたのはその頃だ。84年の8月になってザッパの新作『ブーレーズ・コンダクツ・ザッパ:ザ・パーフェクト・ストレンジャー』が発売されたものの、これも日本盤発売はなかった。それに配給レコード会社がEMIに変わった。同年9月には待望のザッパのロック・アルバムが登場し、この日本盤2枚組アルバム『奴らか?俺たちか?』は発売されたが、ザッパの簡単なバイオグラフィがつけられただけで、いつもの八木康夫氏の長文解説はなかった。そしてそれがザッパの新作LPの日本盤発売としては最後のものになった。つまり「大雑把論の息子」がアルバム解説の一部として掲載されようにも、当時その場所はもう存在しなかったことになる。ついに時代が変わった気がしたものだ。
 デジタル録音があたりまえの時代となり、音楽を楽しむ新しい媒体のCDが出現し始める前夜、そのことも作用してか、83から85年はザッパの活動が以前とはかなり異なり始めた。全活動時期で最も多様化した、あるいは見方によっては煩雑し始めた頃だと言える。ヴァーヴ時代からの古いLP群を順次デジタル化して、新しくLPのボックス・セットのシリーズを通販し始めるのが85年4月、CDのみの形で初めて新作をEMIから発売するのは86年1月。つまり85年を境にして、LPとCDが次第に交代し始める。EMIがザッパのCDを最初に発売するのは85年2月のことで、88年4月には数点まとめて発売しており、その一部は解説がつけられて日本盤が出た。ややこしいことに、それらは後にライコディスクが再発するものとは音質や編集に大なり小なり差がある。ライコディスクは86年9月から本格的にザッパの旧作のCD化の発売を開始して、その後日本ではMSI( ミュージック・シーン・インコーポレイティッド)がライコディスクと日本で最初に契約して発売権を得た。詳細な解説ブックレットを付けた販売によって、ザッパにまとわりついていた難解な部分が相当解明されるようになり、以後の急速なCD時代の到来もあって、ザッパのファンの裾野が一気に拡大することに貢献した。ザッパはこのLPからCDへの変遷を自身の全音楽活動の半ばで体験し、そのためもあって同じアルバムでもLPとCDでは細部が異なったり、いくつかのLPやCDが存在するという複雑な事情が介在している。
 当時はザッパの新作が相変わらずLPで発売されるので、古いファンはそれを買うだけでいちおう満足していた。LPですでに所有している旧作品がCDで再発売されるからといって、それらを購入する気はなかった。その主な理由は「雷光」の音読みをなぞったという「ライコディスク」という見慣れない名前の会社がなぜザッパのCDを発売するのであろうという不思議な思いと、ザッパ自身からアルバム・ジャケットの元のフィルムを得ていないらしく、CDジャケットやブックレット・デザインがオリジナルのものよりかなり見劣りがしたことだ。ところが88年の春になると事態が変わって来た。もはやLP時代は末期を迎え、CD時代へ雪崩のように移行する。ザッパも完全にCDの方に重点を置いたアルバム作りを始めたのが、誰の目にも明らかになった。やがてザッパの新作は、CDがLPより曲が多いというパターンから、LPは発売せずCDのみという時期が来る。この当時なおザッパの新作が出るごとに、すぐに輸入盤を買って楽しんではいたものの、ザッパについて何か書く機会もなく、MSIからこの年に発売され始めたCD解説を読むこともなかった。日本に固定したザッパ・ファンがどのくらい存在するのかデータがないので把握のしようがないが、日本盤を必ず購入するという人とは別に、輸入盤しか買わないというケースも同じくらいにあるような気がする。日本盤に付された解説や対訳によって理解をより深めたいと思う人もあれば、文字情報をやたら追求せずとも輸入盤で充分に楽しめるという人も多い。そういった大雑把なファンである後者の部類に属していたために、歌詞の細部に関してはわからないことが多く、というよりも面倒くさくて積極的にわかろうとしなかったといってよい。それはザッパの作品にはインストゥルメンタル曲が多いことと、歌詞の細部がわからなくてもだいたいの意味はわかったし、音の響きだけでけっこう格好のよいザッパの音楽は楽しめることができたためだ。

by uuuzen | 2005-07-29 20:21 | ○『大ザッパ論』サプリメント
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