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●嵐山駅前の変化、その94(円形階段、広場)
う角度から撮った3枚を今日は掲げる。昨日と同じ去年8月19日のもの。昨日は特に何を書くか全く決めずに即興で思いつくまま書いた。そういう時の方が楽しい。



いつも満足が行く内容とはならないが、かといってそうして書いた文章を吟味し始めると切りがなく、当初の勢いがなくなって全体に嘘っぽくなる。だが、夜書いた手紙は一晩寝てから読み直した方がいいとよく言われるように、あまり熱過ぎると筆が滑って、冷静な時に読めば恥ずかしいようなことを書いてしまう。筆者はその傾向が大と思うので、このブログも夜に書かない方がいいが、99パーセントは夜に書く。そして深夜に投稿するので、翌朝読み返せばなぜこんなものを書いたのだろうと呆れるかもしれない。なので、読み返しはしない。そうなると誤字だらけになるので、それに気づくと訂正するようにここ数か月は心がけるようになった。それでも気づかない場合の方が多いだろう。それはさておき、今日で地震から2か月経つ。一向に減らない瓦礫、また行方不明者がまだ多いこと、避難所暮らしが1万人以上もあることなど、本当にいつになれば被害の爪跡が表面上見えなくなるだろう。10年や20年はかかるか、あるいはそれでも無理かもしれない。先日書いたように、江名に20数年来の知り合いTさん夫婦が暮らすので、筆者はこの数週間、今までにはしなかったことだが、ネットで江名について調べるようになった。それで初めて知ったことが多いが、ユーチューブや航空写真のおかげで、行ったことがない土地でも頭に思い描くことが出来る。江名は三方がトンネルのある山に囲まれ、東が海に面する。本当に小さな町で、数百メートル四方と言ってよい。昔から漁業で栄えて来た町だが、70年代終わり頃だったろうか、経済的排他水域の200海里を越えて漁が出来なくなり、その頃からさびれ始め、老人ばかり目立つ町になったようだ。Tさんによれば、それ以前江名には雇われ漁師の貧しい長屋があったそうだが、今はもうない。そういう人が漁をするほどに魚が獲れなくなったのだ。また、200海里問題が浮上する直前だろうか、山を穿ってトンネルと県道が出来た。その県道はJRいわき駅につながるが、そこに至る途中、江名の北東にゴルフ場がある。これは80年代に出来たものだろう。日本全国どの田舎にもゴルフ場がその頃に出来た。それで一番儲かったのはその山を持っている人ではないだろうか。
 漁業の町であるので、それが廃れるとさびれるのは当然で、今は廃屋が目立つという。そう言えば、そうした廃屋を壊して更地になった場所が売りに出ていて、それもネットでわかる。1坪当たりの地価が筆者の家のすぐ近くの6分の1程度だ。つまり同じ価格で6倍広い土地が買える。江名は昔から続く旧家と、ここ20年ほどに宅地造成して出来た新興住宅地が建つが、廃屋はいずれ真新しい家に取って変わる。だが、原発問題で江名に移り住む人が増えるとはさほど思えない。むしろ、子どもを持つ家庭は江名から脱出したいのではないか。Tさんの家はかつて船を持って漁業をしていたが、確か200海里問題で廃業したと聞いた。そして今回の地震では、港に近かった本家が津波で被害を受けたという。これは200海里問題から約40年後の特筆すべき暗い出来事で、廃れ具合に拍車をかけたところがある。今後どのように町が活性化するだろう。そうでなくても原発の問題があって、漁業が出来ても魚はどれほど売れるだろうか。日本のどの地方も抱える問題が、この小さな港町にも見られる。三方を山で囲まれた江名から海沿いに数キロ行くと、美空ひばりの歌で有名な塩屋崎の灯台がある。嵐山にひばり館が出来た当初、この灯台に行く女性は多かったと聞く。江名は見るべきものと言えば灯台くらいなもので、ファンはさすが違うなと思ったものだが、ネットでその灯台に至るまでの浜辺の写真を見ると、絵はがきのように美しい。地震前に山から撮影したものであるので、現在は見る影はないかもしれないが、海辺近くに家がない方がかえって景観としてはよい。その浜辺は海水浴場になっていて、地元の小中学が泳ぐ。うらやましい話だ。塩屋崎の灯台が有名になって歌碑が出来てからだろうか、町の北、灯台に至る道の途中にホテルがある。また、その付近に幼稚園があって、安藤忠雄が設計した絵本図書館が建つ。これは誰でも見られるものではないらしい。館内の写真を見ると、司馬遼太郎記念館と同じく、天井まで本棚がびっしりと埋まっている。これが今回の地震でどうなったのだろう。本は全部落下したかもしれない。それだけならいいが。
●嵐山駅前の変化、その94(円形階段、広場)_d0053294_22593564.jpg

 ある人がブログに、三方を山で囲まれる江名は「引きこもり空間」で、たびたび訪れると書いていた。山が迫ったごく小さな区域は、そこに入れば住み心地はいいのだろう。もう20年ほど前になるが、Tさんに手紙で「京都の夏は耐えられない暑さで、夏の間だけでもどこか涼しいところで仕事が出来ないものか、そんな夢を毎年見ています」と書いた。最近Tさんの手紙を整理すると200通以上あったが、あちこち拾い読みすると、筆者のその思いに対する返事に出会った。Tさんは、江名は黒潮が流れていて、真夏でも25度を越えることがなく、とても過ごしやすい、それに昔事務所で使っていた離れがあって、10畳と8畳の板の間、そしてトイレに水道があるので、筆者がそこを使うことは可能なので、決して筆者の夢は夢ではない、ぜひ見にいらっしゃいと書いていた。その後電話でも同じことを言われた記憶がある。だが、筆者は一度もTさん宅を訪れていない。今年もいよいよ暑くなる時期が迫って来たが、秋頃まで猛烈に忙しく、旅行どころではない。だが、来年はまた本職に戻るつもりでいるし、そうなれば夏は地獄であるから、Tさん宅で1か月ほど仕事をさせてもらうのはいい。だが、Tさん夫婦はもう80代半ばで、Tさんは足が弱い。1日だけ訪問するにしても迷惑がかかるかもしれない。だが、Tさんが快く受け入れてくれるのであれば本当に真夏の間、江名で仕事してもいいと思い始めている。本職の道具一式を持参することは困難なので、下絵の仕事をするだけでもいい。1か月あれば、そしてTさんの生活のリズムに合わせれば、キモノや屏風の2、3点の原寸大下絵は出来るだろう。それに、場所が変わって新たな画題に出会うかもしれない。そんなことを考えながら、先日のTさんの手紙には、港に下りて行くとあまりの瓦礫に悲しくなったとあった。その光景はユーチューブで確認出来るが、実際その映像を見ていると涙が出て来る。美しい小さな港町を津波が襲い、その被害が及ばなかった古い家でも、屋根が欠けたり、瓦や壁が落ちたりした。Tさんの家も被害を受けたというのに、筆者にはどうすることも出来ない。来年筆者が訪れるとして、何かお世話出来ることがあるだろうか。津波の被害を受けなかった美しい江名を見ずに、まだ地震の跡が生々しいところを訪れてどうしようと言うのか。だが、一度は江名を見ておきたい。おかねばならないと思っている。
●嵐山駅前の変化、その94(円形階段、広場)_d0053294_2301736.jpg

 Tさんは昔の手紙に、昭和30年代が一番よかったと書いていた。それは暮らしぶりがよかったからという理由ではない。みんな慎ましやかであったが、幸福であったというのだ。当時Tさんは30代半ばだ。その後に高度成長があって、トンネルや県道が完備し、車社会が訪れた。Tさんは舗装された道ではなく、地道を歩きたいと言う。この気持ちはわかる。筆者もその部類だ。暮らしがあまりに贅沢になって悲しくなると書くTさんは、太平洋戦争末期に詠まれた短歌を愛し、講談社の『昭和萬葉集』からいくつか書き写して来たことがある。貧しい生活を詠んだものばかりで、そこには繁栄に浮かれ騒ぐ中では決して見えない愛情が溢れている。若山牧水のファンであるから、短歌好きなのだ。筆者はさっぱり短歌は作れないから関心もないが、これはTさんに対して恥ずかしい。なので、『昭和萬葉集』は1冊程度は読んでみようと思う。Tさんは読むなら贈呈すると書いて来たことがあるが、厚い本が20冊ほどともなれば送料が大変だ。それに筆者は短歌はわからないから、返事をしなかった。また、Tさんは筆者の手紙が楽しく、心待ちにしていると書いて来たこともある。筆者はここ6、7年はとても多忙で、Tさんへの便りは、気になりつつも年数回のはがきだけになってしまった。これは誰に対しても同じで、文字を手書きすること自体がほとんどなくなってしまった。それで先日は本当に久しぶりにTさんに手紙を書いた。それに対してTさんは、「大山様にはこんなに心を痛めて御心配いただいて、人の情が心にしみて、ゆっくりと身の隅々までしみわたり、力がみなぎる感じです。こんな思ひは初めてです。」という下りを含む便箋2枚の返事を送ってくれた。何度それを読み返したことだろう。Tさんもぼくの手紙をそのように読んでいるかもしれない。Tさんの家から江名郵便局まで坂を下って300メートルもないが、杖をついて歩かねばならないことを思うと、手紙を出すこともはばかられる。ほぼ必ず遅かれ早かれ返事をいただくからだ。Tさんを楽しませるために頻繁に書きたいが、次に書く時はお返事無用と断らねばならない。かといって、そう書けばTさんが手紙を書く楽しみが味わえないから、このジレンマをどうすればいいか。
●嵐山駅前の変化、その94(円形階段、広場)_d0053294_2304379.jpg

by uuuzen | 2011-05-11 23:01 | ●駅前の変化
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