●嵐山駅前の変化、その89(円形階段、脇道)
国であるから、地名に島がつくのは珍しくないが、広島と並んで福島が有名になりうそうで、原爆と原発でこれは洒落にならない。



日本は原爆の被害を世界に訴え続けて、放射能の被害には敏感であるはずなのに、津波の高さを過小評価したのは、経済の欲に負けたと思われるかもしれない。チェルノブイリと聞くと、何だかドキリとする響きがあるが、それと同じレベル7という放射能汚染の福島原発となって、この不名誉は数十年やそこらでは世界の人の忘れてもらえるとは考えられない。しかもまだ収束の見込みが立たず、瓦礫の山の問題以上に深刻なことになる怖れもある。筆者は相変わらず毎日ニュースを聞きっ放しという状態で、ついこのブログでも地震がらみの話題ばかりになる。それに今日も大きな余震があった。しかも群馬といった内陸でもあるので、いつ関西が大きく揺れるかとひやひやする。そこで思い返すのは日本が小さな島国であることで、巨大地震の連続で沈没するのではないかと思ったりもする。70年代前半、小松左京だったか、「日本沈没」というSF小説が映画化されて話題になった。何と大げさかつ大胆な題名かと思ったが、日本が沈没するとの発想は、予感めいたものがあったのかもしれない。それは千年に1回規模という今回の巨大地震をその当時に予想したという見方だが、人間にはそのような予知能力があっておかしくはないし、またそれが数十年前のことであっても、千年という長さと比較すれば誤差の範囲内と見ることが出来る。また筆者の予感めいたことを書く。いわき市に住む30年来の知り合いの高齢の御夫婦の奥さんには、たまにはがきを出す。絵はがきと決めており、今までさまざまなシリーズものを出して来た。もう100枚以上にはなっていると思う。目下出しているのは、若冲の「動植綵絵」の30枚で、この絵はがきを3年ほど前に鳥博士さんに東京で買って送ってもらった。購入を鳥博士さんに頼んだ時から、その御夫婦に出すことを決めていた。それまでのシリーズものを出し終わったので、新しいシリーズとして若冲がふさわしいと思ったからだ。その奥さんに絵はがきを出すのは年に3、4回で、その調子では「動植綵絵」を全部出し終わるのは10年弱かかる計算だが、これではあまりに長いので、中元や歳暮、年賀状以外の機会にも書くことがある。それはさておき、もう10枚は出したと思うが、いつもどれを出そうかと迷う。「動植綵絵」に描かれている花の季節に合わせて投函したいと考えるからだ。それで、昨年末に年賀状として出したのは、気になりながらも季節を合わせるために、「芦雁図」を選んだ。これは一羽の雁が真っ逆さまに凍りついた水面目指して飛ぶ様子を描き、「動植綵絵」では最も不安な印象を与える絵だ。この絵はがきを選びながら、年賀状にふさわしくないと意識しながら、今出さなければ次の機会は来年までないと考え、それで思い切って出した。それでよく記憶している。
 今年はその年賀状に対する返事がなかった。年末にお歳暮の品に添えて便りがあるので、そのすぐ後にまた年賀状でというのでは、さして書くこともないだろうから、筆者は期待もしていないが、今年は落下する雁の絵はがきを使っただけに、返事のないことが元気なこととはわかっていながら、何か気になった。そんな思いになったことは初めてだ。そして3月11日の地震があった。その日のうちに筆者は「芦雁図」の絵はがきを思い出し、何とはなしの不安が意外な形で現われたことに驚いた。だが、もっと言えば、「動植綵絵」は吉祥を願っての絵であるはずで、「芦雁図」も不安を見る者に感じてほしいとは若冲は思わなかったはずだ。そう考えて筆者は地震があってもその御夫婦は無事であることを、これまた何とはなしに思い、そのことは後日正しかったことがわかって一安心した。だが、福島原発の問題が長引き、いつまでも安心してばかりもいられない状態だ。この原発について、その御夫婦の奥さんの方と以前手紙を交わしたことがある。もう10年ほどかもっと前のことだ。筆者は何かのついでに若狭にある原発の話題を手紙に書いた。すると奥さんは、福島にも原発があって心配だと書いて来た。もちろん福島に原発があることを筆者は知っていたし、またそれに関して御夫婦がどういう思いでいるかをどこか知りたい思いもあって原発の話題を手紙に書いたのであった。筆者の思いどおりの返事であったため、やはりと思ったが、それと同時に妙に福島原発の一種異物感が心に広がった。これはこじつけと思われるかもしれないが、奥さんと交わした数多い手紙やはがきの中で、その原発に関する話題が最も印象的なものであったと言ってよい。それは凝固して筆者の心の底に長い間あったが、今回の事故によって奥さんと手紙で交わした原発への不安が現実のものとして一気に蘇った。そして、10年ほど前に、筆者と奥さんとが、お互い何となく原発の事故を予感していたのではないかとも思う。その的中のに如何にかかわらず、今回の地震と原発事故は悲しくて恐ろしいことだ。それに的中であったとしてもそれは何の意味もない。後で思い返せば心当たりがあるといったことは誰にでもある。その心当たりや胸騒ぎを実際の避難行動に結びつけられる者はごくごく稀だ。それでも何となく恐いものからは遠ざかっておきたいという防衛本能は誰にでもあろうし、原発が地域にやって来るとすればとにかく反対に回るべきと思うが、これは多数決で決まり、地元の人の働き口が増えてよいといった、目の前の利益に人の目は眩みやすい。
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 話はがらりと変わる。さきほど仕事中に不思議な感覚に囚われた。最近見た夢を思い出したのだ。それはすっかり忘れていたもので、それがなぜ急に細部までまざまざと順を追って思い出されたのか、思い出しながら筆者は自分の頭が勝手に暴走しているように感じた。その一方で筆を持って仕事を進めている自分を自覚しているし、またこれは夢の再現であるという、覚醒した思いもある。つまり3人の自分が同時進行している。そのうち最も奇妙な思いにさせたのは当然夢の追想だ。その夢は普段あまり見ない傾向のもので、それゆえ思い出している間、筆者は「思い出すことはなかったし、また今後もないであろうこんな夢を、なぜこうもはっきり思い出すのか」と、夢の映像とその映像を見つめている時の独特の感じを味わいながら、半ば儲けものと喜んでいる。今こうして書いていて、その夢は9割以上が散ってしまって思い出すことが出来ないが、思い出さない方がいいとも思える。というのは、仕事しながら3人の自分を自覚し、夢が自動的に流れ出て来る感覚を味わうことは、半ばの儲けものとの思い以外に、現実がそのまま夢に違いないと思える奇妙かつ不安な状態で、実際筆者は仕事している自分を夢の中のことと感じて仕方がなく、またそれはかなり危険なことともわかっていた。それを危険と思わなくなった時点で筆者はすっかり発狂しているに違いない。さて、3人の自分の思いの同時進行と書いたが、実のところもうひとりの自分がいた。それはそうした夢を不意に思い出す理由を探している自分で、最も覚醒した自己と言ってよいかもしれない。かもしれないと書くのは、自信があまりないからだ。その覚醒した自己が夢を思い出しながら思い描いた光景は満開の夜桜であった。それも夢の中、あるいは夢に関係する一場面であったかもしれないが、夢の源をぼんやり探りながら浮かんで来た映像であるから、夢とは直接関係はないと思える。だが、それも実際はわからない。夢が自分で管理出来ないものであるからには、それを思い出しながら別のところから浮かび上がって来る想念もまた自分が制御出来ない夢のようなものであると言える。それはさておき、浮かび上がって来た桜は昨夜ムーギョ・モンガへ行く途中で小川沿いに見たものに近い。誰も歩いていない暗い夜道に、何本かの桜の古木が満開になっている。それは美しいと表現したのでは当たらない。むしろ不気味で、夢のような光景だ。そして体温のようなものが伝わる。夢を思い出しながら筆者が普段あまり見ないものと感じたのは、その体温のような感覚だ。どんな夢でもそれなりの温度めいたものを感じはするが、さきほど仕事しながら思い出した夢は、光景よりも温度が重要と言ってよい。生温かく、血や体液のようなものだ。それにしても仕事している自分を夢と感じたのは、仕事しながら思い出した夢を現実と思うことであり、その普段めったに見ない傾向の、儲け物と思える夢が現実であれば、そっちの方がいいかなと思わないでもない。それは現在まで生きて来た自分に満足していないからかもしれない。全く別の人生があったのでないかとの思いだ。そう思うことは苦しい。だが、否応なしにそうした全く別の新たな人生を歩まざるを得なくなることが稀にある。今回の被災者のように。
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by uuuzen | 2011-04-12 23:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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