●嵐山駅前の変化、その76(売店、脇道から広場)
形階段を一部壊す形で四角い箱が出現した。円形階段の改札口に接するところにあったごく小さな売店を拡張したもので、これが円形階段より出っ張ったので、改札を出た後、雨に濡れない円形階段沿いに、その後方のわが家に続く道を行くのが少し不便になった。



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10歩程度遠回りになり、その間は雨に濡れるからだ。このことは以前に書いたが、こうしていかにも異物の出現を実感させられると、地元ではないようなよそよそしい思いが募る。新しいものは常にそういうものだ。それに慣れるには時間を要する。そして慣れてしまえば、不便もそうは感じなくなる。そのことで思うのは、裏庭向こうの小川沿いの小道に埋まる瓦礫だ。ここ数日は作業していないが、竹の根を引き抜くのに、両手を思い切り力強く何度も引っ張るので、朝目覚めた時に両手、特に右手の小指の間接が曲がらなくなってしまった。日にち薬と思っているが、いっこうによくならない。そして3日前、作業を再開したところ、2、3分でやめた。両手に力が入らない。根を引き抜くのにどれほど力を込めたかだが、引き抜いた瞬間に体が50センチほど後方にすっ飛び、尻餅をつくほどだ。細い道なので、角度を考えて引き抜かなければ、体は小川にボッチャンと落ちてしまう。今こうして書いていても小指の調子がおかしいが、仕事には差し支えないのであまり心配はしていない。だが、こんなことは生まれて初めてのことで、よほど力仕事が出来ないようにこの年齢まで来たことを実感する。これは先日書いたが、瓦礫に竹や雑草の根が絡みついて、地震があってもその道は崩れず、また植物は風に対しても抵抗力を持つことが出来た。それを筆者は小石もすべて除去して、土だけにしているので、そこにいつか育てたいと思っている梅の木は、成長は早いが、風や地震には弱いかもしれない。小石などが土の中にあると、それを巻き込むようにして根を張る。そのことは植物にとって迷惑だが、長い目で見ると利点も多いのだろう。野菜を育てるのと違って、何十年も同じ位置で成長する樹木は、土のほかに邪魔になる石もあった方がよいのではないか。これは人間にも言えるかもしれない。温室のような恵まれた環境で育つと、ひ弱な性格になるとよく言われる。第一に硬いものをあまり食べなくなり、柔らかい食べ物によって顎や歯が悪くなりやすい。これが意志を脆弱にし、健康にも悪影響を及ぼす可能性が高まる。子どもはあまり箱入りで育たない方がいいだ。この半世紀で経済的に急速に豊かになった日本は、この点がおかしなことになっていて、問題が頻出している。引きこもりもそうで、仕事をしないでも食べられるだけ国が豊かになったことにも原因がある。もっとも、するべき仕事がそもそもないという意見もあろうが、無料奉仕でもいいから何か社会に出てすべきことはいつの時代でも無限にある。
 そのことで思い出した。最近、豊中だったか、ある姉妹が餓死同然で死んだ。父親は銀行の頭取とかで、遺産は数十億ほどあったらしい。姉妹は結婚した経験はあったと思うが、確か50代か、ふたりで暮らしていた。資産はマンションを建てるのにあらかた充て、その家賃収入で充分食べて行くことが出来たはずなのに、その経営が失敗した。あまり詳しくは知らないが、姉妹がしっかりしていなかったことが悲惨な死に方の最大の理由であるにしても、取り巻きの銀行やマンション業者などが、世間知に疎い姉妹を半ば食い物にしたのではないか。金のあるところには、どうにかそれを引き出そうと、得たいの知れない連中が必ず群がる。銀行などはその最たるものだろう。また、数十億の資産を姉妹がどう思っていたかも気になる。子どもの頃から蝶や花よと大きくなれば、その生活がいつまでも続くと錯覚する。ましてや多額の遺産があるとなおさらで、今後もそれが減らないように思う。あるいは減っても、自分たちの寿命が尽きる数十年はあると考えるのだろう。マンションなど建てずに、そのまま預金して毎月100万円ずつ使っても、数十億なら数百年は生活出来る。ましてや人生を半分終わった年齢であれば、毎月100万も使い切れるだろうか。それが真冬にストーヴを利用せず、重ね着をして過ごし、ついには食べるものもなくなったとは、周りの人が何か助言出来なかったのだろうか。数十億あっても、人間関係が閉ざされていて、その点では刑務所で過ごす罪人よりまだひどかったと言わざるを得ない。そういう姉妹に育てた親に責任が問われるという意見もあるかもしれない。そこは筆者が偉そうなことが言えないが。韓国では、有名人を育てた母に与えられる賞があるようで、ある人物が偉大であるのは、そのような業績を成し遂げられるように育てた母親が偉かったという見方は、かなり正しいのではあるまいか。どう正しいかと言えば、子は母の胎内から生まれるわけで、母がいなければ子はないからだ。正しいのは、生物の摂理という意味合いからだ。親は子のために、親が死んだ後も苦労しないほどのお金を残してやりたいと思うのが人情らしいが、筆者にはそれが欠けている。それは、母は別として、父から何もしてもらわなかったからでもある。父はなくても子は育つ。そして、筆者の息子には筆者という父親があるが、息子のためには筆者はいない方がよかったのであるまいかと思うことがしばしばある。それは息子があまりにも不甲斐ないからだ。だが、今日28歳を迎える息子であるから、今さら手後れだ。残してやれる遺産などないし、親が子に思うことは、裸一貫でよその土地に行って、いくら貧しい生活であっても、家庭を持ってそれなりに自分のやりたい仕事を続けて行くことだ。筆者がそのようにして生きて来たから、息子にも同じようになってほしいと思う。これは贅沢な悩みだろうか。子の自立は動物の普遍的な最低限かつ最大の意志であって、人間もその例にもれないはずだ。子に数十億残しても、餓死するのであれば、それは親が自活の意味を教え込まず、金の威力を過信したとみなされても仕方がない。
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 さて、今日の写真は7月12日のものだが、駅前広場でもいよいよ工事が本格化し、人の駅への出入りを妨げないように、広場の部分ごとに仕切って工事をする様子がわかる。もちろん、これを書いている現在、広場はすっかり完成しているが、8か月前の写真をこうして改めて見るのはそれなりに面白い。また、完成してからも日々ゆるやかに劣化するから、定点観測は永遠に続けられるし、筆者は駅前の写真を撮りながら、半世紀前、100年前、200年前はどうであったかということに思いを馳せる。その激変ぶりを今後50年先、100年先、200年先に当てはめると、また想像もつかないほどに一変しているはずで、その様子を時に思い浮かべるが、どの状態もその時々の人にとっては「最新」であって、それを現実として受け入れるしかない。また、筆者なりに想像する200年前の駅前の場所やまた200年先の同じ場所の様子は、駅前という限定を超えて、町、区、市、国、世界というように広げて考えることも出来る。そのように拡張して思い描く様子を一方に抱えながら、駅前、あるいはわが家の裏庭でも同じことだが、ごく小さな場所の今日の状態を見ながら撮影する時、そこに一瞬ではあるが、永遠を思うことは見当外れではないだろう。一区画の一瞬間なくして世界の永遠の時間もなく、人間はあちこち回り歩かなくても、自分の足元だけを見ていればいいということにも思い当たる。永遠性は、自分の足元にある。それが瞬時のはかなさであるならば、広大な世界の悠久の時間も同じことだ。全くどうでもいいような駅前写真を、改めて細部を見つめ直すと、それを撮影した瞬間の自分に同調することが出来るうえ、また写真に写っているすべてのものが、絵画のように、どこかいとおしいものに思えて来る。門坂さんはフェルメールが大好きだが、フェルメールの日常の風景、光景を描いた作品も、同じような感覚を抱いたうえでのものではなかったかと思う。そして、デジカメ写真は画素数の大きい鮮明なものより、筆者が掲げる程度のものがいい。まるでフェルメールの絵画のように細部が鮮明でないからだ。遠方のものがぼやけているが、視力のあまりよくない筆者にはまさにそのように見えていて、それで不便がない。遠くのものがぼやけて見えるのは自然なことだ。そこに何が写っているかなど、詮索する思いはない。これは遠く離れた物や人に関心がないというのではない。その関心が強いと手紙を書くなりして連絡を取るであろうし、そこまで関心がなければ、最後に見た時の状態を反芻し、今どうなっているかを想像するだけのことだ。そしてたいていの記憶はそのようにして頭の中に留まっている。
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by uuuzen | 2011-03-04 12:43 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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