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●ランの館、その2
という名古屋の地下鉄の駅からひとつだったか、ふたつだったか、南に下がった大きな交差点にランの館がある。名古屋の地下鉄は車両が少し小さ目に感じるが、駅間も短いようだ。



昔は市電が走っていたはずで、筆者が20歳頃、最初に買った名古屋の地図は確かそれが記されている。名古屋には何かと縁があったような、またないようなところがあるが、行くたびに街が様変わりしている。トヨタのおかげでそれだけ景気がよかったのだろう。大須の商店街も8年ほど前はかなりひっそりして古びた印象があったが、店は新しくなり、人通りもぐんと増えた。30数年ほど前になるが、古本屋を何軒か回ったことがある。それがどこだったのかさっぱり思い出せない。ひとつは大きくてきれいな店で、大阪とは違った雰囲気があって、女主人が座っていた。TV塔の近くだった気がするし、その付近にもう2、3軒あったはずだが、あちこち歩いたので思い出せない。先日名古屋に行った時、古本屋にも行きたいと思いながら、体力がなかった。記憶にある大きな古本屋はもうないかもしれない。大きな古本屋がなくなることはある。道頓堀にあったそうした古本屋の老舗はこの30年でなくなった。何でも変化する。ランの館はTV塔のある大きな通りを南下したところにある。地下鉄に乗るほどでもなく、松阪屋で展覧会をゆっくりと見た後、そのまま歩いて行った。そうそう、展覧会を見る前、大通りの歩道を歩いていると、びっくりするような美人と同じ歩調で同じ方向に向った。信号で止まるたびにちらちらと姿を盗み見したが、大阪や京都では見ないタイプの顔で、しかも筆者好みだ。まだ20代半ばで、きれいなのはあたりまえと言ってよいし、そんな若者を見て美人だとわざわざこういうところに書くのはいかにもおじん臭いが、ま、それほど美人であった。その数時間後、地下鉄のホームでもその女性とかなり似た顔の女性を見てまたびっくりした。今度は若い男と一緒で、ふたりはよく似合っていた。名古屋にこんな美人がいて、それが1日に2回も出会うことに何かとても得した気分であった。断わっておくと、当然これは筆者が思う美人で、他人はそうは思わないかもしれない。
●ランの館、その2_d0053294_18005493.jpg
 ランの館は事前に調べなかった。ネットで見るとどんな施設か今では即座にわかるが、それでは意外性がなくなって面白くない。そのため、筆者はほとんど何事も下調べをしない。調べてわかった気になって、実際にその場所に行った時に感動が少ないのは損と思うからだ。ランの館の温室は円形のガラスのドームで、さほどの展示でもないことを昨日書いたが、蘭の開花は種類によって季節が異なる。だいたい冬場が多いが、そういうこともあって展示されていた品種が限られたのかもしれない。蘭は単子葉植物では最も進化した植物で、種類は1万とか2万ある。人工的交配によってそれはもっと増えて行くだろう。おおまかに分けていくつかの種類があるが、蘭の愛好家はその中で好みのものに向い、しかもその中で珍しいものを育てようとする。不思議なことに、人間は稀少価値と言われると、それが美しいと思う。美人が美人であるのは、稀少価値であるからだ。みんな同じような顔になると、美人はいなくなる。そして今は美容整形と化粧によってみんな同じような顔を作るから、なおさら美人が稀少価値になっている。これは不思議なことだ。バブルの頃か、日本の若い女性はどれもこれも美人とTVで言っている人があったが、そう見えるだけのことで、それは美人がいないことと同義なのだ。蘭も、白いファレノプシスはどの花屋にもあるので、今ではきれいとも何とも思わなくなったが、誰しも知るカトレアもそんな部類に属すかもしれない。だが、カトレアはまだ色が豊富にある。カトレアは大型なので描きやすく、絵の画題になりやすいし、筆者がキモノの文様の中心として描いたのもそれであったが、それだけでは絵になりにくい。そこにはもっと小振りで多彩な蘭が必要だ。そういうものとしてデンドロビウムがいいが、形がもっと違うものとなればリカステやマスデバリアといった渋めを選ぶことになる。かといってオンシジウムのような小さな花になると、カトレアとの釣り合いが取れず、文様になりにくい。とにかく蘭は形が豊富で、それらでキモノを作りたくなるのは理解してもらえるだろう。
●ランの館、その2_d0053294_18031232.jpg
 さて、温室を出るとすぐに広い庭に出る。庭には円柱がずらりと立っていて、天気もかなりよかったせいもあるので、南欧にいるような気分にもなれた。温室の隣の大きな建物の前には球根を売る売店があり、その隣は野外カフェ・コーナーで、若い男性店員が2、3人、コーヒーやアイスクリームを売っていた。そこで鳴っていた音楽がビートルズなのだが、そっくりさんの演奏で、これがとても気になった。ビートルズのコピー・バンドで世界的に有名になったのは80年代にスターズ・オンとかいうグループのメドレー曲が大ヒットしたが、それと同じほど歌声が似ていた。バンド名がわからないのは残念だが、ファンの歓声が入っていたのでライヴ録音だ。本物のビートルズは聴き飽きたので、かえってそんなコピー・バンドが印象に残る。それにしてもなぜコピー・バンドの演奏をBGMにするのだろう。ひょっとすると名古屋で有名なバンドなのかもしれない。カフェの隣には芝生に赤い毛氈を敷き、またマイクのセッティングなど、何やら準備中であったが、結婚式であることがわかった。そんな場所を借りて式を挙げる若者の気持ちはわかる。今はそういう時代で、こんぴらさんに行った時も、喫茶店の地下を貸し切りにして披露宴を開いていた。もう結婚式専門の業者が持つ施設で同じような式を挙げる時代ではないのだ。ランの館であれば、花は多いし、また通常の客からも見られる。その見られる快感は自分たちがその日だけでも芸能人となったような気分に浸れるのだ。そして、そういう機会が人生の晴れの日に一度はあっていいではないか。それにそんな広い芝生があって庭が整備されているのは、名古屋市内でもここくらいなものだろう。都会の中のちょっとしたオアシスといったところなのだ。筆者はカフェで一服する気になれず、また売られる植物は蘭は全くなく、チューリップや百合の球根、そして菊やダリアの花鉢程度で、見るべきものはない。小道がぐるりと庭内を取り囲んでいるのがわかったので、一周することにした。人は少ない。それがいい。その日は名古屋祭りで、もっとたくさんの人が来ていいはずだが、一度訪れるともういいかと思わせるのだろうか。
●ランの館、その2_d0053294_18021951.jpg
 庭には池があって噴水が勢いよく水を吹き上げている。その向こう側に周ってまた温室の前に戻れそうだ。庭の写真を撮っていると、若者が2、3人やって来て、一眼レフのカメラで同じように撮影し始めた。筆者はパノラマ風に何枚かつなげて撮った。そのようにしてもパソコンで見るために横幅500ピクセルに加工するから、写真はうんと小さくなって、せっかくのパノラマの味わいが出ない。今日はパノラマ写真を最初に掲げるが、このパノラマ写真を加工するのは案外面倒なのに、それが先日全部消えてしまった。それで加工し直したが、時間がかかるのは写真を合成するためだ。最初に掲げるパノラマ写真からわかるように、庭の向こうに栄の街のビルや高速道路が見える。これは興醒めだが、都会では仕方ない。それよりも筆者が面白いと思ったのは、ビルの屋上に女の子の笑顔の大きな広告看板が見えることだ。これがスガキヤのものであることは以前から知っているが、こんなところからも見えるのが何とも面白く、あえてそれが写り込むような撮影角度を選んだ。温室から出てすぐの小道は花に囲まれてなかなかいい光景だ。ハロウィーンが近づいていることもあって、南瓜が庭のあちこにに置いてあって、結婚式が行なわれる区画のすぐ際には、空気で膨らむ巨大な南瓜と魔女の置き物があった。それが自動的に膨らんだりしぼんだりしていたが、庭が広いので、何かそういったものでにぎやかさを演出しようという考えで、子どもや恋人同士なら喜ぶだろう。実際この施設は老人がひとりで来るようなところではなく、もっとお金を落としてくれるような世代を狙ったものだ。レストランは建物の2階にあって、建物内の売店から上がれることがわかったが覗いていない。きっと建物に似合ったものを出すのだろう。筆者が30代で、しかも美人の女性と親しければぜひともそんな場所で談笑したかったが、今は街中でそんな女性にごくたまにお目にかかれるだけで満足だ。何だか女性と花を混同しているところがあるが、花嫁とはよくぞいったものだ。もう少し粘ると、庭で結婚式を挙げる花嫁の顔が見られたが、それを拝まないうちに庭を後にした。ランの館についてはもう1日費やす。
●ランの館、その2_d0053294_18024790.jpg

by uuuzen | 2010-11-14 22:49 | ●新・嵐山だより
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