●嵐山駅前の変化、その56(駅舎、広場)
はどうも嫌われもののようだ。この話を始めると長くなるうえ、またまだ進行中のことでもあるので、ここでは詳しく書かないが、最近桜で感じたことがいくつかある。



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今日掲げる写真は4月23日のもので、もう桜はない。桜がないので、かえって桜のことを思い出した。今日はそれについて書こう。まず、月の輪熊が昨日は福知山で出現して家の中にいた人を襲った。数年周期でドングリの実の不作になるそうで、今年はそれに当たっているらしい。それで熊は困って里に出没する。空腹を満たすためには、人間に会いたくなかっても食べ物を見つけなればならない。それがとても哀れだが、その状況を作ったのが人間というのだ。昭和30年代、家が増える時代に杉の木は儲かるとばかりに山に一斉に植林された。今まであった落葉樹は真っ直ぐに伸びないこともあって伐採され、金儲け第一で生き物の生活のことを考える余裕がなかった。あるいは大学の教授あたりはそのことを知っていたろうが、学者は何の役にも立たず、いつも時代の流れに沿ったことを主張するばかりだ。むしろ村の古老の方はより自然を深く知っているが、そういう人々が知恵を伝達することも途絶えたのだろう。村には仕事がないから、それなら高く売れる樹木を植えようということで、日本の山は杉だらけになり、それが花粉を撒き散らして花粉病を引き起こしながら、製薬会社が儲かるのであるから、世の中は循環していいのだろうが、杉が儲かるという予測は長く続かなかった。外国からの安い材木が入って来ることと、杉を育てるに必要な間伐などの人手がなく、そのまま放置される杉林が増加した。そして杉はドングリを実らせないから、熊は食べるものがない。人間が金儲けだけ考えてやって来たことのつけを今支払う段になっている。これを元に戻そうとすれば、落葉樹を植える必要があるが、数十年かかるそうしたことを誰が喜んでやるだろう。それに熊などいない方が襲われなくて済むではないか。いっそのこと熊全部を殺した方がいいのではないか。そう思う人もきっといるだろう。それに近いことを北海道ではして来た。開高健の「ロビンソンの末裔」はそのことをテーマにした小説だ。後年開高は釣りを通じて自然保護の大切さを説く方に回るが、人間も自然の一部であるから、人間が勝手に増えるのも、またそのことでいつかしっぺ返しを受けるのも仕方がないと思っていたのではないだろうか。そこには人間に対する一種の失望があるように見えるが、開高の思想の根底にはそれが根強いと思う。陽気そうに見えてそれは人前でのポーズで、本質は人間嫌いであったようにも思える。釣りの好きな人物はだいたいそうではないだろうか。アホらしい人間を相手にするより、腰を据えて魚を相手にしている方がよい。
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 ドングリの実は西洋の中世では豚に食べさせるための重要な資源で、農民は領主に頼んで森林に豚を連れて行ってドングリを食べさせた。熊もそれと同じで、冬眠前にたっぷりと食べる必要がある。だが、人間は豚とは違って熊をおいしいと言ってあまり食べず、漢方薬としての胆を取ったりする程度ではなかったか。となれば熊はただ人間を襲う厄介者でしかない。人間社会はすべて金が基本になっているから、恐い熊より金のなる杉ということになって来たのはごく自然の流れだ。それはさておいて、杉と同じように熊が食べる実をつけないのが桜だ。桜は見てきれいなので、まだ杉よりも喜ばれる度合いは大きいかもしれない。ところが、桜は半世紀ほどの寿命で、根元の土を空洞化させる。そのため、桜が川の土手沿いにあることは河川保護の観点からは全くつごうのよくないことで、国土交通省の立場としては、旧来からある桜は仕方ないとして、それが枯れた後には新しい桜の苗木を植えないことにしている。100年や200年に1回来るかもしれない大洪水の際に、桜のある土壌の弱いところから水が溢れて、その付近一帯を水浸しにさせる恐れがあるという理由だ。そのため、桜は山に植えるしかないが、そうなれば熊がまた困る。きれいな花と思うのは人間だけで、熊にすればドングリの木を植えてほしいのだ。だが、そういう樹木は普通の木であって、きれいだと思って誰も気に留めないから、観光資源にはならない。観光資源にならなくても、地元の人が見てきれいだなと思う景色を作って行くのが人間の思いだが、国の考えは人々の安心した生活であるという理由で、土手沿いの桜は許可しないという方針だ。だが、桜があったために土手が洪水の際にどれだけ崩壊したのか、また桜がなかっても崩壊した場合に比べてその割合がどれほど多いか少ないかの調査結果があるのだろうか。TVのニュースを見ていると、豪雨で崩壊した堤防に桜があったという光景は見たことがない。いくら護岸工事をしっかりやっても、崩れる時には崩れる。それを桜のせいにして、桜を土手に植えるなというのは、あまりにも尺定規な考えだ。
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 嵐山は桜で有名な場所だ。昭和初期には今の何倍もの桜があった。前にも書いたが、冨田渓仙の家は桂川沿いに立っていて、その真正面の土手沿いに桜並木があった。その桜は罧原堤を下って四条通り沿いにまであったとも聞くが、今は1本もない。本当に1本もないのだ。これは土手を弱めるという理由で国がそうして来たのだが、桜の嵐山が聞いて呆れる。桜で有名などとは全くの詐欺みたいな話で、本当にきれいな桜は日本のどの田舎にもあって、嵐山にはないと言ってよい。罧原堤は時代劇の映画でよくロケ地に使われたほどの場所であったが、今はただの殺風景などこにでもある土手だ。車のために道幅を広げ、そのためもあって桜が邪魔になったのだ。罧原堤は桂川の左岸で、右岸は嵐山地区だが、今は大半が嵐山公園になっている。そしてそこに府が桜を植えてもよさそうだが、現実には1、2本しかない。それも土手沿いではない。なぜこういうことになったかと言えば、河川敷やそれに隣接する場所は国土交通省の管轄で、堤防管理の面から桜を植えてはならないと考えているからだ。そのため、昔からあった桜は枯れるがままで、枯れれば土で埋め戻してしまう。罧原堤のすぐ真横は桂川の流れだが、右岸は公園が緩衝地帯になって、幅広いところでは100メートル近い。そしてその公園の脇、つまり川の岸辺から100メートルほど離れたところに車がかろうじて通れる細い一方通行の道がある。その道の両側にあったトンネル状の見事な桜並木も、この10数年で半減した。いやもっと少なくなったかもしれない。その桜があった土手まで桂川の水が氾濫するのは、公園を水没させる必要があるから、100年に1回どころではなく、1000年に1回程度と思うが、それでも万が一のことを考えれば桜はよくないということらしい。ところで、罧原堤に2年ほど前に地元の自治会が桜の苗木を植えた。そのために自治会が立ち上がったのは地元のまとまりを感じさせるが、国土交通省は何を勝手なことをするのかと言って、桜を全部引き抜くことを命じた。それで費用も労力も無駄になり、また元の殺風景な土手になった。この事件は新聞に載ったそうだが、筆者は知らなかった。許可を得なかった自治会を一方的に責めることができるだろうか。その教訓があるので、右岸側、つまり嵐山地区では、桜を保全したい、もっと増やしたいと考えながらも右京区と同じ行動に出ることはしない。したところで無駄になることはわかっているし、また人口が7000人程度では罧原堤付近の数分の1程度で、大きな運動になりようがない。結局、桜などみんな何とも思っていないのだ。きれいなと思うのは、よそからやって来て1年に1回見るだけの他力本願で、桜のためにどうにか行動を起こそうという気は誰にもない。あっても国が許さない。桜など植えずにドングリのなる椎や楢をせっせと植える方が自然らしくていい。そうなれば熊も人を襲うことがない。嵐山の桜は全部電飾の樹木にして、年中明るくした方がいい。電飾でいつも輝かしい嵐山。いいではないか。いやいや、現実にもうなりつつある。渡月橋は何年か前に歩道に邪魔な七色に光るネオン灯篭と言っていいようなものが設置された。そのうち橋全体がそうなるだろう。時代が変われば人間の考えも変わる。
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by uuuzen | 2010-10-17 20:59 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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