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2009年04月23日●第 3 話
春は花にとって大忙しの季節です。花屋の店先にも、またマニマンが毎日行くムーギョ・モンガへの道の途中にある畑の片隅にも、春の花がたくさん咲いて、マニマンは目をきょろきょろとさせます。その中でもマニマンが好きなのは、道の端っこにひっそりと群れて咲くスミレです。先日からは、去年気づいた白いスミレもたくさん咲き始めました。花屋にも畑にもこのスミレはなく、全く放ったらかしにされたままで勝手に路傍に咲くのです。つまり、雑草と同じですが、鬼のように尖った葉が多い雑草とは違って、何と可憐なことでしょう。でも、そんな姿だからこそ、人目について、よく根こそぎ持ち去られます。そう言えば、マニマンは数日前に路上でスミレ・ジャムを見かけました。無残に抜かれた花が踏みつけられ、地面に紫色の血を流しているのでした。マニマンは毎朝食べるトーストに、スミレの花のジャムを塗った様子を想像してみました。その味はレモンの100倍も酸っぱくて、しかも強烈な苦味を伴ない、マニマンの歯は赤ワインをたっぷり飲んだ時のように、すっかり紫色に染まるのでした。
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