●松尾駅の駐輪場、その4
術的に高度な施工は大きな建設会社にしか無理だろうが、それでも指導しながら下請けに任せられるものは任せる。



今日は3月15日に撮った松尾駅横の駐輪場現場の写真を掲げる。小川の上を土で覆ってそこに駐輪場を造るという一連の作業は、まず小川を地面の下に潜らせる必要がある。大雨が降った時のその小川に流れる水量を計算し、それを充分通せるだけの断面積を持った管を設置するが、松尾橋の駐輪場現場では円管ではなく、四角い鉄筋コンクリート製の既製品を使う。これは円管の方が水量が少ないという理由ではなく、埋設場所の制限などを考慮しての採用だ。これがもっと大きな、たとえば地下鉄を地下に通すには、レディメイドの管ではなく、型枠と鉄筋を使ってコンクリートを流し込む誂えの方式に頼るか、あるいは地面が開削出来ない場合は円形の筒を押し込むシールド工法となるが、小川程度ならその必要はない。したがって技法的には現在ある小川をまず既製品の躯体に置き替え、それが完了した後で土を被せ、駐輪場として整備するだけだが、毎日水が流れている小川を、どのようにして密閉した水路に置き換えるかが工事上のひとつの問題となる。なるべく雨の多い季節を避けるのは言うまでもないが、工期の間、1日も雨が降らないことは絶対にあり得ないから、小川の水は時としてかなり増える。雨の場合は、工事を中断するとしても、その中断中にも小川の水は今までどおりに流れなければならない。ところが新しい水路は小川と同じ場所に設ける。これは誰でも考えるように、小川の水を別の何かで誘導して、下流に導くしかない。幸い今回は既製品の躯体を並べ置くだけで済むから、新しい水路の設置はそう長くはかからない。小川のバイパスを造るような形で、上流と下流側から躯体を設置し、それをどこかで結ぶことになるが、現場を見ればほとんどを下流側から順に設置して来たことがわかる。そのようにして1個当たりの長さが1メートルか2メートルある躯体をトンネルのように並べ、最後にそれを閉じるが、その工事の間、水は別の臨時に設置された管で導かれ、すでに出来ている新しい水路を通って流れ、下流に以前からある別の水路に合流する。工事期間中の臨時の管は蛇腹型の柔らかい素材で出来ていて、普段流れる小川の水よりもっと大量の水を流すことが出来るが、もちろんとんでもない大雨が降った時はその1本では足りないから、工事は素早く済ます。また、既製品の躯体であるから、設計上ではきっかりとした個数で済んでいても、完全に過不足なくつながることはない。最後の1個は多少削ったり、また長さが足りない場合は鉄筋コンクリートで充填する。型枠を使っての工事となると、型枠工や鉄筋工が必要で、また構造計算をしてちょうどよい強度から断面の大きさやコンクリートの厚みを決めるが、今回のような駐輪場では、何台停めるか、また土被りの厚みが予めわかるし、その重量に耐えるものを既製品のカタログから選ぶことで済む。つまり、町の建設会社でも充分で、技術的に困難と言えるものはない。
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 この水路の下流はすでに暗渠になっている部分が目立つ。それは松尾駅を南に下がったところで桂川につながる。そうした整備された水路で最も勇壮なのは松尾大社の参道前にある。松尾大社は現在松尾橋をわたって、松尾駅を左に見た正面にあるが、松尾橋は戦後出来たもので、この現在の正面の参道は江戸時代からあった古いものではない。江戸時代からのものは、物集女街道を千代原口から北上して来た時、それからY字型に枝分かれして左に進む道で、これは今でも比較的細いまま、また江戸時代の風情さながらに残されていて、道沿いに石燈篭が立っている。これを北に進むと100メートルほどで松尾大社に出るが、そこは松尾駅から見える大きな鳥居から50メートルほど入った場所になる。つまり、現在の桂川からも見えるその大きな鳥居は江戸時代にはなかったもので、実際出来たのは10数年前だ。それはいいとして、物集女街道からY字型に分離する細い道が本当の参道で、それをさらに北進すると、松尾山沿いにやがて渡月橋に出る。その参道の右手に松尾山からの水の流れを導く水路があり、またそれとは別に物集女街道より少し左手に町中を流れてその参道のすぐ際を流れる水路もあって、これがちょうどY字型に道が分離する辺りで合流している。その工事がいつあったのかは知らないが、きれいに整備された鉄筋コンクリート製の開渠で、かなり急カーヴを描いていて、その様子がY字型の分岐点辺りに造られた、公園とは言えないが、それに準じたごく小さな空き地から眺め下ろせるようになっている。そして、その合流したものが物集女街道を横切って東の桂川に放流される。今回の駐輪場下の水路は、以前からあるその水路につながるはずだ。つまり、松尾駅横の小川は、付近ではすでに整備された開渠や暗渠がある中、最後の自然が残された水路であったのが、今回の工事で既存のものと同じように人目に触れにくいものになる。また、松尾大社内にはまだ自然のままの小川が流れているから、それ以外の町中の水路は、車の便、人の便を考えてどんどん暗渠にしてしまえということなのだろう。そうすればその上に駐輪場も出来る。韓国のソウルでは、暗渠上に高速道路が走っていたものを、元どおりに開渠の川に改修して大きな話題になった。日本では一旦造ったものはなかなか元に戻らない。筆者の自治会ではやたら役員が多く、その任命に毎年会長が大変な思いをしている。そうした委員は自治会を束ねる連合会からの命令であり、自治会が独自で人数を減らすことは許されない。だが、人口が最も多かった時期に出来たそうした決まりをいつまで遵守しようというのか。いや、出来るというのか。もうそろそろ時代に即して自治会の組織を小さくして行くか、あるいは合併して自治会の数を減らすべきと思うし、そのことを筆者は総会で意見したが、全員無言であった。つまり、今のままで行こうというわけだ。出来ているものを少なくしようというのは、新しく作ることの何倍も大変であるようだ。そのため、駐輪場は仮に用をなさなくなる時代が来ても、きっと元の小川に戻そうと誰も口を切らない。何事も喜んで作ってばかりするのではなく、あるものを壊して自然な状態に戻すことも考えねばならない。あるいは、造るのに税金を投入し、それを壊すのにまた税金で、作っては壊すは案外日本では平気か。
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by uuuzen | 2010-04-16 11:23 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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