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●嵐山駅前の変化、その8(円形階段)
時改札口が阪急嵐山駅にある。普段は閉められているが、桜や紅葉の季節になると、そこから乗客を出す。そして正面改札口は入る時だけに使用される。



この臨時改札口は半円形の8、9段の階段上にあって、その屋根は大きな方形をしている。わが家から嵐山駅に行く時、また駅から家に向かう時は、この階段下の半円をぐるりと回らず、階段を上り下りして横切るのが最短距離だ。雨の降る日は特にそのようにして利用する。大きな屋根がついていて、少しでも濡れずに済むからだ。臨時改札口がなぜ階段の上にあるかと言えば、嵐山に来た客はいつもと違うプラットホームに下ろされ、そのホームが出口に向って上り坂になっていて、やがて駅舎の中2階のような通路に達し、そこから円形階段上まで導かれるからだ。そのように乗降客の流れを分けなければならないほど、花のシーズンは大混雑するが、それは1年のせいぜい10日間ほどだ。円形階段はそうした1年のごくわずかな時期以外は無用の長物で、何かに活用出来ないかと阪急は数年前から思ったようだ。まだ10年は経たないと思うが、階段がまずうすい緑色に塗られた。それまではコンクリートの灰色のままで、別にそれでもよかったと思うが、殺風景と思ったのだろう。嵐山にどんどん観光客に来てもらおうというそうした努力は、駅をもっと明るくしようということから始まった。嵐山駅には一風変わったデザインの照明が取りつけられている。6角形の行灯型で、鉄部分には桜と楓の文様が透かし彫りされている。これは、昔はかなり数が少なかった。そう思ったのは、嵐山に引っ越さない30年ほど前に一度降り立った時のことで、ほんとうに侘びしい雰囲気が強かった。そして、嵐山に引っ越して数年経った20年ほど前の春、その行灯形照明の数が3倍ほどの多さに増設された。ちょうどその作業をしている時、息子を連れて出かけることがあったのだ。プラットホーム上に息子を立たせて、その背後に取りつけられないでたくさん置かれている行灯型の灯かりと作業員を写し込んだ。息子のアルバムにその写真があるが、面倒なので探さずにこのまま書くが、その作業を見た時に思ったのは、駅が明るくなって賑やかになることと、古くから取りつけてあったものと全く同じ形と色のものが用意されたため、新旧の区別がつかないことだ。松尾駅にも同じ6角形の行灯形照明が取りつけられているが、嵐山のものとデザインが違って透かし彫りはなかったと思う。この独特の情緒ある照明に気づく観光客は少なからずいて、筆者のすぐ横で歓声を上げる声を何度か聞いたことがある。臨時改札口の上部にも何個か取りつけられていて、嵐山駅の照明としてこの行灯形は今後も使われるだろう。
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 電鉄会社としては、せっかくの観光名所であるから、訪れた人になるべくたくさんの思い出を作ってもらいたい。それは当然であろう。そして、企画部がもっと電車に乗る客を増加させるにはどうすればいいかも考える。そこで嵐山駅ではさまざまな催しが開かれるようになった。中2階の連絡通路で制服を着た駅員たちが客寄せのためのちょっとした展示や催しをしたり、また駅前の広場では丹波辺りの農家が農産物を持って来て販売するとかだ。それらはここ1、2年のことだが、数年前からやり始めたのは、半円形の階段に地元小学校の子どもたちが作った行灯をたくさん並べたり、またその背後の壁面に小学生の写生画を展示することだ。これは京都が真冬の2月に始めた花灯路という、観光客集めのための催しの一貫のひとつで、観光客が最も少ない季節であるので、臨時改札口を使わずに済むために可能になっているもので、近くの法輪寺や中の島、嵐山公園などにも嵯峨美大の学生が作った大きな灯かりのオブジェとともに、もう地元では毎年のこととして知られるようになっている。何事も継続が肝心だ。それでもまだないよりましという程度で、ほとんど誰も注目していない半円形階段に並ぶ行灯の明かりはわびしさが先に立つ。風のために必ず数個以上は倒れて明かりが消えていることも目立つからで、それを直すのは専門の人でなければならず、気になっていても勝手に触わることは出来ない。行灯を置くほかに半円形階段が使われるようになったのは、去年からではなかったろうか。去年の8月上旬、阪急の社員がふたり、自治会長である筆者にあいさつに来た。お盆休みの16日に半円形階段を使って、6時から1時間ほど演奏会を開きたいと言う。奏者はふたりで、静かな音楽、しかもスピーカーは桂川方面に向けるので近所迷惑にはならないと思うが、それでも多少は聞こえるはずで、それを前もって了承してほしいとのことだ。そうした演奏会と言えば、やはり花灯路の催しのひとつとして、法輪寺の境内でもこの2年ほどの間に何度か開催されているが、それは音が巨大で、松尾に向って歩いていると、風の向きで後方から音が背中に響く。1キロほど離れても聞こえるが、たまにあることなので住民は文句を言わない。だが、毎日となると騒音問題で自治会が立ち上がるだろう。そうした客寄せの催しがどれほど地元活性化に役立っているのか知らないが、商売をしていない家には関係のない話で、あまり騒がないでもらいたいというのが正直なところだ。法輪寺では一度だけ見たことがあるが、出かけるのが億劫でその後は遠くに音を聞くだけだ。だが、前述の社員があいさつに来たものは見た。奏者はヴァイオリンとキーボードで、浴衣を着た20代前半の若い女性で、クラシックの名曲が主に演奏された。当日は渡月橋の向こうに鳥居形の送り火が点されるので、大勢の人が駅から続々と降り立っていたが、確か点火の1時間前には演奏は終わった。1曲題名が思い出せないものがあった。それで、演奏が終わって渡月橋に向って歩きはじめたヴァイオリン奏者に近づいて質問した。「○○の次に演奏された曲の題名は何ですか。」「チャルダーシュです。」「ああ、そうでしたね。思い出しました。ジプシーが演奏する曲ですね。」と、ぞろぞろと渡月橋に向って歩き始めた大勢の人々に混じって歩きながら会話はしばらく続いたが、やがて彼女はやや小柄なキーボード奏者と一緒にうす暗くなった人込みの中に消えて行った。こうして書いていると、その時のことが昨日のようにあれこれと蘇るが、半年も前のことであるので、今さら詳しく書くこともない。そのミニ・コンサートは、阪急が送り火を見るために訪れる客に少しでも楽しんでもらいたいという配慮からだ。見ていたのはせいぜい200人程度だったが、催しがないよりかはいい。それに、使いにくい半円形階段を実にうまく利用していた。彼女にしても、浴衣姿でそんな条件のよくない場所に立たされて演奏するのは最初で最後であったに違いない。だが、半円形階段は今後もさまざまな人や物を載せるだろう。
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by uuuzen | 2010-03-13 01:45 | ●駅前の変化
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