●松尾駅の駐輪場、その1
輪場が松尾駅に出来る。そのことを1月30日の松尾大社での自治連合会の新年総会で知らされた。



筆者のように嵐山駅の近くに住む者にとってはあまり関係のない話だが、松尾駅付近の住民にとっては悲願であったらしい。筆者は何度が自転車を盗まれたことがあるが、それを探しに松尾方面に出かけると、松尾橋のたもとに停めてあることが2度あった。それで勝手に乗って帰って来たが、嵐山から松尾までの2キロを盗んだ自転車で行こうとする者がいることに少々驚いた。罪の意識など全くないのだろ。松尾橋のたもとにはいつも自転車がたくさん停められている。それらの自転車を全部トラックに乗せて撤去する場面を何度か見たことがあるが、そうした費用も馬鹿にならず、また自動車の通行の妨げにもなるので、橋のたもとには置いてはならないらしい。ところが、松尾橋をわたって向こうの右京区側の橋のたもとにも自転車はたくさん停められているから、管轄違いをいいことに、右京区側で停める連中が今後は増えるだろう。またその右京区側は自動車が入り込めないように太い鉄冊が立てられていて、それを越えた比較的広い、道でも広場でもないようなところにみんなは停めているから、さほど問題はないはずだが、それも正確に言えば遺法駐輪なのかもしれない。自転車のことであるので、多少は大目に見ればいいと思うが、筆者の見るところ、駐輪の溜り場に盗難自転車がよく混じっていて、それがずっと雨晒し状態となって、半ばゴミ化しているから、景観の意味合いからも桂川沿いに駐輪は好ましくないとしているのだろう。定期的にトラックで撤去されるので、目の行き届かない松尾大社付近のあちこちに停める者がいる。それが近所迷惑だというので、地元では以前から駅の横に駐輪場を作ってほしかったようだ。そして、その工事開始や完成予定図が新年会で知らされたが、工事費用は6000万円で、桜の木は1本だけ切るとのこと。これでようやく安心というわけだが、即座に思ったのは、毎年楽しんでいるカリン(マルメロ)の木も切られるはずで、『おにおにっ記』に書いて来たように、もうその木が落とした実を拾ってカリン酒やカリン・ジャムを作ることは出来ない。その意味でも、今年に入ってやけに区切りとなる出来事が多いと思ったが、そのカリンの木が鮮やかな色の実をたくさんつけるのを楽しみにしているのはおそらく筆者くらいなもので、ほとんどの人は荒れたその付近をきれいな駐輪場にしたがっていたのだ。
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 それから数日後、確か2月3日か、天気のよい日に早速そのカリンの木と、同時に切られる桜を見に行った。幸いまだ工事は始まっていなかった。カリンの木は歩道からすぐのところに立っているが、鉄条網が張られた古びた鉄柵があって、中には入り込めない。その土地が阪急の持ちものか、近辺の個人の所有かは知らないが、鉄柵の状況から何となく個人のものと感じる。そのためにカリンの実を拾うにもためらいがあった。畑のようでもあるし、そうでもないような様子があって、その半ば自然のままの一画は、それはそれで筆者の好みであった。雑草と言ってよい蔦状の草がたくさん生い茂っているが、そういう場所はその付近にはそこにしかなく、野生を感じさせて面白かった。そんな場所をすっきりと駐輪場にすると、それこそどの街にもあるこぎれいな雰囲気になるが、筆者はその消毒されたような、そしてつんと上品に澄ました表情がきらいで、手垢がついていないと思わせる分、住む人も薄情と感じる。だが、民主主義の世の中であるし、あちこち自転車が勝手に停められる無法地帯よりもいいのだろう。だが、駐輪場は無料ではない。1日160円だったか、とにかくお金がかかる。それに今後の維持も考えれば、税金が限りなく費やされる。改善と思う人が大多数としても、長期的に見ればもっとほかの方法もあるはずで、また土や桜、カリンの木、そしてちょっとした小川をそのまま残す方が精神的に豊かではないだろうか。連合会の会長は、桜を1本切るとは言ったものの、カリンの木のことは口にしなかった。それは眼中にないからで、その眼中にないことが実は本当は恐ろしいことにつながりかねない。人は関心のないことには目を向けないが、一旦関心を抱くと、俄然それが大切なものに見える。そして、その関心の有無は、人によってさまざまであり、何についての関心が上あるいは下と決められるものではない。たとえばの話、わが家の裏には4坪ほどの狭い庭がある。隣近所はみなそうした本来あった庭に建て増しをし、部屋を設けている。それは居住空間が広がることで、つまり豊かな象徴、心も充足されると思ってのことだ。だが、筆者は全くそう思わない。頑として裏庭をつぶして部屋を作ることはしない。トイレや階段も含めて部屋中に本が溢れ返っていてもだ。いや、逆に部屋がモノでいっぱいであるからこそ、庭をつぶしたくない。それは筆者にとって部屋の何倍も重要な空間で、それがなくては日々の暮らしが全く味気ないものになる。その庭はたいした植物もなく、半ば自然に任せているが、それでも筆者にはなくてはならない。
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 昔、親類の身内が家を建ててすぐに死んだ。その家に行ってみると、まるで夢に出て来そうなほどに部屋がたくさん連なっていて、せっかくの庭として設けるべき空間もみな建物が占めていた。明らかに建ぺい率違反だが、家を建てた当人は庭は無駄で、部屋こそが人間にとって最も大切で豊かさを実感させると思っていたのだ。だが、風遠しが悪く、また暗く、家の中にいると息が詰りそうで、筆者は早々にそこを出た。家相のよくないことは誰の目にも明白で、そういう家に住んだから早死にしたと思った。建ぺい率というものは、風水にもかなった思想の産物で、それを無視して、つまり法律を無視して家を建て増しすると、そこに住む者の深層心理にいい影響を与えないのは当然だ。そして、ある家でそうしたことが言えるのであれば、街、そして国全体についても言えるだろう。日本の神の思想は、清められた自然の一画を大切にするというところに発していると思う。神社が建つところは、清水が涌き出る場所であったはずで、それは水道のない時代、人々にとっては生活に欠かせない重要な共同地であった。常にきれいにしておかないと、村人全員が病気になる。そのきれいにしておくという考えはそのまま家の中にも持ち込まれるが、便利な時代になると、いつでもきれいな水が蛇口をひねれば出るから、人々は周囲をきれいにしておくということを疎かにするようになる。TVでよく紹介されるゴミ屋敷はそのいい例だ。一方、神社は昔と同じ場所に建ちながら、そのきれいにするという思想をひとまずまだ保っている。それは酒の神をまつる松尾大社ならばもっとであるはずで、その神社の第1鳥居の真正面に駐輪場が出来るのだが、それは無造作に停められた自転車を整理する意味では、何事もきれいにしておくという神社の思想にかなっているが、さて、駐輪場が以前の半ば荒れた自然よりきれいかどうかは人によって考えが違う。小さな虫や小魚、それを食べる鳥がそこには姿を見せず、またカリンの半ば腐ったような実を拾うマニマンも消えるほかない。
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 季節によって変化を見せる自然が近くにある方が、人間の精神衛生上にはきれいはずで、また駐輪場が出来たからといって、遺法駐輪が解消する保証はどこにもない。現在付近で停められている自転車を全部収容するには小さ過ぎる駐輪場であるし、また160円を払うくらいなら、今までどおりに路上に停めておこうと考える者はまずなくならない。いや、むしろ増えるかもしれない。そうなった時、駐輪場で停めている人から文句が出るだろうし、文句が出ずとも、内心面白くないに決まっている。だが、そうした遺法駐輪を誰が常に監視出来るだろう。そんな暇のある人はいないし、必要ならば税金で雇う必要がある。つまり、念願の駐輪場は出来るからこれで一安心ではなく、新たな問題を抱えるのは必至だ。そして、そういう状態になった時、筆者が思うのは、表向ききれいになった一画の駐輪場が、実は人々の鬱憤が堆積した産物で、その鬱憤が相変わらず解消されないことだ。そして、どの道解消されないのであれば、半ば自然のままの、桜やカリン、あるいはその他の雑草などが生い茂る空間であった方がまだましではないかということだ。松尾の人々がどのように意見が一致して陳情を繰り返したのかは知らないが、土の面をコンクリートやタイルで覆ってしまうことばかりが発展ではもはやないだろう。駐輪場は確かに必要とは思うが、自転車道路が通っている桂川の河川敷をもっと活用するなりすれば、観光客にとってもその自転車道路を利用しやすいし、また広い土地があるため、ほとんど無料で停めることも出来るのではないか。河川敷は管轄が国といった足枷があるだろうが、桂川下流では勝手に地元の住民が畑として耕し、小屋を建てもしている。それは昔からのことで、黙認ということなのだが、おかしな話だ。
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by uuuzen | 2010-03-04 00:16 | ●駅前の変化 | Comments(0)


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